ホスローとシーリーンは、故郷の街から逃れるためにある錬金術師
が住む街にやってきた。錬金術師の住栖兼、研究所の部屋のすぐとなりに
家として使える小屋が存在したので、その小屋を使わせてもらった。
ホスローは鍛冶屋を行っていたので、農機具や劔を作り始めた。
シーリーンは、故郷の街でも、錬金術師が住む街でも生えている
雑草を使って布を作っていた。
錬金術師は二人のものの出來映えに目を見張つたが、
こう呟いた。
「この、オリハルコンとミスリルの合金は私の錬金術を使えば簡単に作れる。
雑草を使って作った布は見事なものだ。ひょっとしたら、私の錬金術
の技術を使えば、つきあいのある人のために水着用布ができるかもしれない。
ここ最近考えるのは、魔法の発展が、人類の幸福につながるのかどうか
全くわからない。だから、彼らのためにも、私は目を細めて待っている。」
とである。
錬金術師が手に取つたのは、修理中の異世界に行ける道具だった。