「結構上るんですね。」
私横手淡雪は、バイト仲間の「名無し」というコードネームの生物とともに
横浜駅寄りに最寄りの駅から一つ行った久良岐駅に来ていた。
今の言葉は「名無し」が述べた言葉だ。
彼女は神戸出身。どうにも不可解でわかりにくい存在だ。濱をほめたりあるいは
神戸が濱よりかっこいいと述べたり、言動に一貫性がない。
京都の人間はわかりにくいと言うけれども、私に言わせれば大阪や京都の人間よりも
神戸の人間の方がわかりにくいと思う。
「まあ、濱はアメリカ航路が多かったから、あんなにごみごみしているのかもしれない
けれども、神戸は欧羅巴航路が多かったからElegantでどうこうって思っている。
図星でしょ。」
私は車通りの多い露地から細い道に入りながら「名無し」に訪ねた。
「名無し」は、一瞬口籠もって、
「はあ。そうかな。私は神戸の魅力は適当に田舎で適当に都会な所かな。」
と軽く答えた。
私はばつが悪くなった。
「ふーん。」
移動していると、この界隈では流行っているだろう料理屋を発見した。
派手なposterが貼られていて、
「神奈川縣の久良岐市・三浦金沢市・戸塚市の料理やコンテスト」
とか語られていて、料理店の店主らしきイラストが角を突き合わせている
雰圍氣のイラストであった。
「ふーん。神戸だったら街のスイーツ売り場でコンテストとかやるんだろうな。」
とposterを見ながら答えた。
「さあ」
{名無し}は、ごまかすように言う。
「まあ、そこら辺は京都さんや大阪さんが姿を変えた企画をやりそうですね。」
と言う。訛りもない關東弁である。
「神戸ってよくわからない。京都も分からないけれども、彼らの行動の方が
わかりやすいかもしれない。そんなに、コンプレックスと優位性を
いろいろと使い分けて真意を隠している。關東の人は認識もしていないし
大阪や京都ほど近畿圏の巨大な存在とは考えていないとおもうよ。」
私は神戸に対して、思ったことをはき出した。
「まあ、神戸とは、一歩引いたところで大阪や京都の方々が
自らの誇りとかプライドと大きな声でおっしゃっているのを引き立てるのが
關東での役割だと思っております。まあ、關東の人にはそれがいいのかもしれない。」
と「名無し」は、と、私の少し前で前進していく。些か急勾配なのだが。
「ところで、{名無し}さん、あなたの生まれた街って坂ノ上に写真館があったんでしょ。」
私はふと聞いた。
「ええ。まあ建築学に関心のある方が見たら面白いと思うかもしれません。
濱の方が見たらがっかりするかもしれない写真館です。でも、私にとって誇りでした。」
振り向いて「名無し」は私に答えた。
「うん。目的地は直ぐそこだね。」
私は神戸出身の女性に、前の風景を望んだ。
Owari.
私横手淡雪は、バイト仲間の「名無し」というコードネームの生物とともに
横浜駅寄りに最寄りの駅から一つ行った久良岐駅に来ていた。
今の言葉は「名無し」が述べた言葉だ。
彼女は神戸出身。どうにも不可解でわかりにくい存在だ。濱をほめたりあるいは
神戸が濱よりかっこいいと述べたり、言動に一貫性がない。
京都の人間はわかりにくいと言うけれども、私に言わせれば大阪や京都の人間よりも
神戸の人間の方がわかりにくいと思う。
「まあ、濱はアメリカ航路が多かったから、あんなにごみごみしているのかもしれない
けれども、神戸は欧羅巴航路が多かったからElegantでどうこうって思っている。
図星でしょ。」
私は車通りの多い露地から細い道に入りながら「名無し」に訪ねた。
「名無し」は、一瞬口籠もって、
「はあ。そうかな。私は神戸の魅力は適当に田舎で適当に都会な所かな。」
と軽く答えた。
私はばつが悪くなった。
「ふーん。」
移動していると、この界隈では流行っているだろう料理屋を発見した。
派手なposterが貼られていて、
「神奈川縣の久良岐市・三浦金沢市・戸塚市の料理やコンテスト」
とか語られていて、料理店の店主らしきイラストが角を突き合わせている
雰圍氣のイラストであった。
「ふーん。神戸だったら街のスイーツ売り場でコンテストとかやるんだろうな。」
とposterを見ながら答えた。
「さあ」
{名無し}は、ごまかすように言う。
「まあ、そこら辺は京都さんや大阪さんが姿を変えた企画をやりそうですね。」
と言う。訛りもない關東弁である。
「神戸ってよくわからない。京都も分からないけれども、彼らの行動の方が
わかりやすいかもしれない。そんなに、コンプレックスと優位性を
いろいろと使い分けて真意を隠している。關東の人は認識もしていないし
大阪や京都ほど近畿圏の巨大な存在とは考えていないとおもうよ。」
私は神戸に対して、思ったことをはき出した。
「まあ、神戸とは、一歩引いたところで大阪や京都の方々が
自らの誇りとかプライドと大きな声でおっしゃっているのを引き立てるのが
關東での役割だと思っております。まあ、關東の人にはそれがいいのかもしれない。」
と「名無し」は、と、私の少し前で前進していく。些か急勾配なのだが。
「ところで、{名無し}さん、あなたの生まれた街って坂ノ上に写真館があったんでしょ。」
私はふと聞いた。
「ええ。まあ建築学に関心のある方が見たら面白いと思うかもしれません。
濱の方が見たらがっかりするかもしれない写真館です。でも、私にとって誇りでした。」
振り向いて「名無し」は私に答えた。
「うん。目的地は直ぐそこだね。」
私は神戸出身の女性に、前の風景を望んだ。
Owari.