都内某所、Building の片隅の居酒屋Chain で、送別会が開かれていた。
「では、木崎芳野君の前途をお祝いして、乾杯。」
上司の音頭取りで数人ずれのサラリーマンが杯を上げる。
「木崎、本当に上海に行ってしまうのか?」
彼の、同僚の一人である松井達男が訪ねる。
「ああ。独立して会社を作りたかったし、それをかなえてくれるのが上海だった。」
木崎は達観した表情で話す。
「今の時代、會社に獅噛み付いても佳くないと思って今回が潮時でね。
富士五湖の両親にも告げた。」
木崎はなおも続けた。
「俺みたいに、なんとか飯の種を稼ぐために會社にいる俺からすればうらやましい。」
まだ、半分も残っている麥酒のジョッキに口を付けながら達男は言う。
周囲の人間は、ひそひそ話している。上海の方に起業といったって、瞞されて歸ってくる
人間が続出している・・・。達男にはそう聞こえた。
「いいのか。木崎?」
周囲の聲を聞いていた達男は木崎に尋ねた。
「かまわんよ。それが俺の道だ。梃子でも動かないのは富士五湖の実家も知っている。」
木崎の答えだった。
「まあ、それが木崎らしいと思うね。」
達男は続けた。
こうして、木崎は上海に行った。
つづく
「では、木崎芳野君の前途をお祝いして、乾杯。」
上司の音頭取りで数人ずれのサラリーマンが杯を上げる。
「木崎、本当に上海に行ってしまうのか?」
彼の、同僚の一人である松井達男が訪ねる。
「ああ。独立して会社を作りたかったし、それをかなえてくれるのが上海だった。」
木崎は達観した表情で話す。
「今の時代、會社に獅噛み付いても佳くないと思って今回が潮時でね。
富士五湖の両親にも告げた。」
木崎はなおも続けた。
「俺みたいに、なんとか飯の種を稼ぐために會社にいる俺からすればうらやましい。」
まだ、半分も残っている麥酒のジョッキに口を付けながら達男は言う。
周囲の人間は、ひそひそ話している。上海の方に起業といったって、瞞されて歸ってくる
人間が続出している・・・。達男にはそう聞こえた。
「いいのか。木崎?」
周囲の聲を聞いていた達男は木崎に尋ねた。
「かまわんよ。それが俺の道だ。梃子でも動かないのは富士五湖の実家も知っている。」
木崎の答えだった。
「まあ、それが木崎らしいと思うね。」
達男は続けた。
こうして、木崎は上海に行った。
つづく