ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

CHINESE・ストレートフラッシュ_1

2010-03-31 18:03:46 | 信・どんど晴れ
都内某所、Building の片隅の居酒屋Chain で、送別会が開かれていた。
「では、木崎芳野君の前途をお祝いして、乾杯。」
上司の音頭取りで数人ずれのサラリーマンが杯を上げる。
「木崎、本当に上海に行ってしまうのか?」
彼の、同僚の一人である松井達男が訪ねる。
「ああ。独立して会社を作りたかったし、それをかなえてくれるのが上海だった。」
木崎は達観した表情で話す。
「今の時代、會社に獅噛み付いても佳くないと思って今回が潮時でね。
富士五湖の両親にも告げた。」
木崎はなおも続けた。
「俺みたいに、なんとか飯の種を稼ぐために會社にいる俺からすればうらやましい。」
まだ、半分も残っている麥酒のジョッキに口を付けながら達男は言う。
周囲の人間は、ひそひそ話している。上海の方に起業といったって、瞞されて歸ってくる
人間が続出している・・・。達男にはそう聞こえた。
「いいのか。木崎?」
周囲の聲を聞いていた達男は木崎に尋ねた。
「かまわんよ。それが俺の道だ。梃子でも動かないのは富士五湖の実家も知っている。」
木崎の答えだった。
「まあ、それが木崎らしいと思うね。」
達男は続けた。
こうして、木崎は上海に行った。
つづく



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瀬戸内のサラバンド

2010-03-30 10:51:05 | 逆襲の藤隆
瀬戸内のある街。
幼い男女が街を歩いていた。
「友希君。」
少女の方が少年に聲をかける。
「何?」
少年も少女に声をかけた。
「この前の横浜だけれども、知世さんと蓮次さんうらやましいよね。」
少女は上の空の少年に声をかけた。
「あの2 人がどうしたのかい?」
少年は言う。
「鈍いんだから。私たちもあの2 人みたいに上手くいけばいいなといっている。」
少女は、まくし立てていた。
「あゆみ、何をまくし立てているんだよ。知世さんが俺に気にしているのを気になっている
んでしょう?」
少年は軽い感じである。
「私知世さんにあんたを取られなくない。絶対あのひとなんかに・・・。」
必死なあゆみ少女・・・。
「大丈夫だよ。」
友希少年は思わずあゆみにKiss をした。
「俺も鈍いながら、あゆみちゃんの思いわかるよ・・。」
と、友希少年はいった。
おわり





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雨のスパニョレッタ

2010-03-25 20:31:00 | 逆襲の藤隆
今日は三月だというのに雨が降っている。
そろそろ櫻だというのに。
「ふんふふんふんふーんふふん。」
知世は、雨が降るといつもこのバロックだかルネサンス風の唄を口ずさむ。
「何の曲だっけ?」
「たしか・・・。イタリアのなんとかとかいう作曲家の唄で・・・。」
知世は僕にそう言った。
「ねぇ、蓮次君?」
知世は甘えるように僕に聞いた
「雨の日ってどう思う?」
知世はまたも続けた。
「今日もそうだけれども、雨が振るとね・・・。」
僕はそう答えた
「でも、雨が歌っている感じがする・・・。」
知世は愁いを帯びた顔で笑った・・・。
この愁いを帯びた顔が一番好きだったりする・・。
おわり







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出来杉英才暗殺計画_05

2010-03-01 05:23:30 | 逆襲の藤隆
「亡命してきたんですか。たしかに貴殿の言葉遣いも道行く人と違うなと
思っていました。」
私は窓の外をみてまた久米さんをみた。
「おう。何も今の時代は關東だけが日本じゃないからだ。」
久米さんは安心したような顏をした。
「そういう人間がゲリラ的に出版していれば、關東の出版界に皮肉が言えるかも。」
私は苦笑した。
「出来杉という人はつくづく、甘チャンだねぇ。暗殺されるとは思っては井内だからな。
もし、暗殺されるような敵を沢山作っている人間は用心深くなる物だ。
彼の暗殺の首謀者は、発作的に彼を暗殺したなと俺っちは思っているよ。」
久米さんの言葉に私は一瞬凍り付いた。
「でも、何のために文章を持ってきたのか・・・。」
私はいたたまれない氣持ちになっていた。
「まあ、あんたの話題も話題だ。あんたの証言をみれば、それこそ出来杉英才暗殺計画
が立体的に見えてくる。」
と、言って、久米さんは電話をかけ始めた。
「誰に電話ですか?」
私は久米さんに聞く。
「俺が念頃にしている富山県の印刷業者だ。今夜印刷に回す。」
久米さんは受話器を置いた跡、そう告げた。
「解りました。私の本が無事出版されることに安堵感があります。」
私はそう言った。これまで福岡に住んでいたときも本は沢山出版してきたのだから。
かくして、私の書物「出来杉英才暗殺計画」は世に出ることになった。
おわり
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