ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

せぷてんばー・すてっぷす_6

2009-09-24 05:55:05 | 信・どんど晴れ
「少し寒いな。」
水に潜った佳奈は、そう言った。それほど水泳は得意ではない。
故郷の加計呂麻島で、泳いではいた物の、ほとんどが我流である。
逆に彰はそれほど水泳は得意ではない物の、Sports はそつなくこなすので
スムーズな泳ぎ方だ。
「あはははー、佳奈ちゃんでたらめ。」
彰は笑っていたが、水の中だからから解らない。
犬かき高なんだか解らない佳奈の泳ぎ方とハイレグ競泳水着は不似合いだ。
「きついんじゃないの。」
浜辺にアガった水着を直している、佳奈を見て彰は答えた。
「どうだか。」
佳奈は、ばつが悪そうに彰の問いを解らないふりをした。
「この前の夏、おまえさんと一緒に加計呂麻島に帰省した時、競泳水着かっこよく思えたから
着てみたんだかな・・。」
佳奈は、かっこつけてそう言う言葉を言ってみた。
「そうかな。佳奈ちゃんはそのグラマラスな肢体を見せつけた方が、いいと思うけれども。」
彰は真顔で答えた。
「Bikini か・・。」
佳奈は彰が着ている水着を見て思った。
「私もハイレグ競泳水着は好きなんだけれども、おしゃれな水着を着たいなと思って。」
と濃紺のビキニ姿を佳奈に見せた。
「私には解らんな。」
佳奈は彰に聞こえない声で言った。
帰り道、彰が運転することになった。
「おまえさんの運転は安全でイイ。」
マニュアル車のGearを眺めながら、佳奈はそうつぶやいた。
「ありがとう・・・。これが男性だったらうれしいんだけれどもね。」
そう、彰は苦笑した。
車は、京急田浦駅の方向に向かっている。辺りはすっかり暗くなって、
所々に燈が点っている。
「もう、遅くなっちまったな。」
助手席から、窓の外を眺める佳奈。
「めいっぱい遊んだんだから当然だろ。」
彰がハンドルを握りつつギアを変えた。
「あ、ああ・・。」
佳奈は、田浦駅前の信号が赤になっているのを確認した。
「京急田浦駅をまっすぐ行くと、確か泥龜駅に行くんだっけ。」
彰が聞いた。
「そうだな。」
佳奈の顏には、家に近くなることを確信する表情があった。
泥龜駅が近くなった。
「この市役所通りを超えたら、佳奈ちゃんが住んでいるアパートだっけ。」
彰がそう確認した。
「そうだな。横浜や東京に行くときは釜利谷驛を利用しているな。」
佳奈はそう回答した。
「私は、笹下釜利谷道路を使って先輩の住んでいる久良岐驛付近まで車を返しに行くから。」
彰はそう言った。
「ここらへんの地理に詳しくなったじゃねえか。」
佳奈はひっひっひという笑い声を出した。
「毎回ここら辺に足を運んでいるから覺えるよ。」
彰は率直に回答した。
車を走らせて数分後、釜利谷驛近くの佳奈が住んでいるアパート近くに付いた。
「少し不安定だけれども、此處に止めるね。」
彰は、車を止めた。
佳奈の住んでいるアパートは、もともと敗戦直後、ここら辺の素封家が建てた邸宅を
改造したので、そこを間仕切りをして何世帯かが住めるようになっている。
そのなかの左端のドアを佳奈は開けた。
「じゃあな。」
佳奈の問いに彰は黙って項をしゃくった。
彰だけを乗せたスバル・インプレッサはそのまま先輩が住んでいる街に向かっていった。
「まだ、誰も帰ってねぇのか。」
真っ暗の部屋に電気をつけた。
同居人の横手淡雪と高槻久留美はいつも一緒に行動しているからだ。
洗い場に行って、皿を見た。
皿は、きれいに成っていた。
料理好きの淡雪の性癖で皿などは必ず洗うように厳命されているから。
佳奈は冷蔵庫を開けて、何か飲むものがあるか物色した。
麥酒にしようかな・・・。それとも・・。
でも、2人は疲れているから、この前覺えた料理をつくって、疲れた同居人に見せてやろう。
と佳奈は考えた・・・。
「ふぅ・・・。」
その跡料理をしながら、何を考えたか解らない。
数年後。
佳奈は徳之島の老舗旅館で働いていた。
何故、此處にいるかは跡で話すとして、お膳を部屋に運んでいた。
「私はここに来るのを拒んだけれども、何故か数年ゐる・・・。」
あまり此處にいることをいやだと思いながら、此處の生活にも慣れた・・・。
そんな複雑な気持ちがある。
「佳奈。」
男性の声が聞こえた。
「はあ。新一さん。」
佳奈はその男性を見た。
「また、關東にいるときのことを思っていたのか。このまえ此處の海は關東の葉山の海より
好きじゃないと言ったけれどもどうしてだい。」
新一と名乗る男性は残念そうな顏をした。
「たしかに、徳之島の海の方がきれいかもしれません。でも、關東の海には楽しかった
思い出があるから思い出の中できれいに思えるのでしょう。」
と佳奈はきっぱりイイはなった。
「そのことはお袋の前では言うな。また機嫌を悪くするぞ。」
新一はそう言った。
他の旅館の従業員は
「相変わらず新一さんと佳奈ちゃんは夫婦みたいというか・・。」
と影でくすくす笑っていた。
つづく





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せぷてんばー・すてっぷす_5

2009-09-23 17:18:42 | 信・どんど晴れ
「陳列してあった、最後の絵はすごかった・・・。」
佳奈は何度も彰に言っていた。
「穏やかな感じだったね。あの画家は天才にありがちな情緒不安定なところが
存在していて、何度か自殺未遂を繰り返している。」
と彰は語った。
「じゃあ、その最後の穏やかな境地にあの絵はあったんだ。」
佳奈はそう言う。
彰は黙ってうなずき、
「そろそろ海に行こうか。」
と佳奈の表情をみた。
「いいよ。実を言うと私は島に住んでいるとき、海の季節はなんども泳いだからね。」
と答えた。
「当然9 月も泳げたんでしょ?」
彰は同意しようとした。
「ああ。」
佳奈はそう言った。
2 人は水着に着替えた。まだ夏の余韻は残っている物の、海の家は既に片付けられていた。
「車で着替えてきて正解だったな。」
ハイレグ競泳水着姿の佳奈はそう言った。
「そうだね。」
ビキニ姿の彰も同意する。
「然し、似合わない格好をしているね。佳奈ちゃんぐらい胸が大きいならば
ビキニの方が似合うよ。」
彰は、きつそうにしている佳奈を見た。
「おまえさんもSlender で足が長いから、ハイレグ競泳水着の方が似合うけれどもな・・。」
そんなことを言っては見たけれども、お互いがお互い、憧れているが故の選択である。
誰もいない9 月の葉山の海・・。涼やかな風が心地よい・・・。
つづく





 
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せぷてんばー・すてっぷす_4

2009-09-22 07:42:43 | 信・どんど晴れ
「なるほど・・・。」
彰は、真剣に繪を見ていた。
しかし、基本的に藝術とは無縁な雰囲気の佳奈は
「私にはただ色を塗りたくっているしかわからん。」
と言った。
「そんなものなの?!私にはこの杉某の情熱を感じる。」
と反論した。
情熱か・・・。そんなことを分からずに、巡回路を佳奈は巡っていた。
「なんだ是は・・・。」
これまでみた激しい色調の絵から見た場合、この絵は穏やかに感じた。
「杉某の、最晩年の絵だよ。」
普段画集で杉某の絵を見慣れた彰も、珍しそうに其れを見ていた。
「最晩年か・・・。いったい何処なんだろうか。」
佳奈は興味を示した。
「福井県のどこかだと、書いてある。誰かに進呈するつもりだったとか・・・。」
彰は、佳奈に先生のように説明し始めた。
「誰に進呈するつもりだったのかな。土地の人だったのかな・・。」
佳奈は素朴な質問をした。
「地元の人だったら面白いね。奄美に滞在した田中一村も、絵を地元の人にあげたという
エピソードがあるよ。」
と彰は説明した。
「なるほど。あってもおかしくない。」
佳奈は納得していた。
「ただ、杉某はどういう心境の辺境があったのかな・・・。」
彰はミステリアスで興味があることがあると猫口になる。
「猫口になったということは知りたかったのか。」
佳奈は苦笑した。
つづく
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せぷてんばー・すてっぷす_3

2009-09-21 18:16:06 | 信・どんど晴れ
「此処が美術館か。」
2人は、建物を見渡した。平家建の、まだ出来て新しい感じで、低層かつガラスを
多用した明るい雰囲気である。直ぐそばが海水浴場である。
こんな良いところに美術館があるのは葉山だからか。
そんなことを考えていた。
「前売り券は買ってあったっけ?」
佳奈が聞いてくる。
「まあね。」
チケットを渡す彰。
駐車場から、入口に歩き出すとちょっとした竹林がある。
日本にある美術館として海外のお客さんに対する配慮か?
そんなところもあるのだろう。
まだ暑い日差しが2人を照りつける。
「あつい・・。」
彰はつぶやいた。
「あついか・・。」
佳奈は平然とした顔をしていた。
加計呂麻島の地獄のような暑さから比べればである。
2人は、自動ドアをくぐり、チケットを見せる場所に赴いた。
30がらみの係員がにこやかに微笑んでいる。
発泡スチロールの看板に
「杉某」とでかく書かれている。
藝術とは何か分からない佳奈は惚けた顔をしていた。
つづく



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せぷてんばー・すてっぷす_2

2009-09-20 05:33:22 | 信・どんど晴れ
「確かさあ、今乗っている車なんだけれども、この前先輩の家で見た
映画なんて言ったっけ・・・。スティーブなんとかの・・・。」
ハンドルを握りながら、佳奈は助手席の彰に聞いた。
「スティーブ・マックイーンのブリットだろ。なんだかそれに似ていると言いたい。」
彼女はクスリと笑い、佳奈を見た。
「アメリカやイギリスの映画だからアメ車だと思うんだ。でもさあ、雰囲気が似てゐるんだ
よ。」
と、言いながら彼女は車のタコメーターを見ている。
スピードは上がっているようである。
「ちょっと、佳奈ちゃんSPEEDあげすぎ。」
彰は、吃驚したような顔をした。
「こういう車だからSPEEDあげてみたいなと思ってもいる。」
車は狭い路地を通り過ぎながら、目的地の葉山に向かっている。
「今回の葉山へのドライブは杉何とかとか言う芸術家の展覧会だっけ。」
佳奈は彰に聞いた。どうもこういうのは苦手という顔をして。
「そうだね。」
彰は微笑んだ。
「佳奈ちゃんも折角上京してきたんだから、藝術とか学んで加計呂麻島にカエルと良いよ。」
と偉ぶってもいた。
「そうなのかー。実を言うと水着持ってきたんだ。」
佳奈は恥ずかしさと、それを感じない雰囲気が雑じった複雑な表情をしていた
「9月に泳ぐのは秋田では聞いたことがないけれども、面白いかも。」
と彰も水着をちらりと見せた。
目的地に近くなれば近くなるほど緑が濃くなっていくのを車でも確認が出来る。
でも、葉っぱは所々黄色くなっているけれども。





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せぷてんばー・すてっぷす_1

2009-09-19 21:57:37 | 信・どんど晴れ
「なんだか凄い車だ。」
松本佳奈は友人の追浜彰とともに先輩が貸してくれた車を見ていた。
「まあね・・・。なんだかレースのための車じゃないかな。」
佳奈は苦笑しつつ、車のドアを鍵で開けた。
「確か、名前はスバル・インプレッサという名前だと思う。」
と、佳奈はシートに座り、運転を仕様とする。
「ライバルが、ランサー・evolutionだとか言うのをネットで見聞した。」
彰がそう言った。
「そうなんだ・・・。私もこの車はネットで調べたな・・。」
佳奈もそう言った・・・。
「スピードメーターを見ていると結構スピードが出ているよ。」
彰の顔はなんとも笑ってはいるけれども、複雑な顔だ。
秋になったとは言えども、まだ暑い9月。
2人で葉山に行くことが決まっている。
三浦金沢市の佳奈の自宅から30~40分ぐらいの距離にある。
「安定はしている。でも、rvとかバンの方が良いと思ったんだけれども・・・。
先輩が乗る車もマニアックすぎる。私的には・・。」
ハンドルを握る佳奈の隣にいる彰が
「こういうくるまって嫌いなんでしょ?佳奈ちゃんは農家の人だから
山道とか物が詰める車とか好きなんだよ。この前アメ車のピックアップトラック
とかうらやましがっていたよね・・。」
秋田市内出身で基本的に街の中でよく考えられる考えの彰には加計呂麻島出身の
佳奈の考えは田舎の考えだと思わざるを得ない。でも其れを受け止めるのは
自分だと彰は考えてしまう。
「いつも言うけれども、こんなレース用の車なんてそう言う筋の人間ならokなんだよ。」
佳奈は渋い顔になった。
「關東は、まだ暑いな、秋田はそろそろ葉っぱが色づき始めるかな。」
日差しの暑い海沿いの道を彰は見やった。
つづく





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木更津の猫は高雄の犬の夢を見るか_6

2009-09-09 05:22:05 | 逆襲の藤隆
「借りちまったなあ。あそこの小学生ふたり。」
店長は従業員にそう言った。
「そうですね・・・。あれで失敗しなければいいですけれども。」
なんともクールな店長の答えであった。
「台湾ドラマの入魂の一作だと聞いていますが、本当にそうでしょうか。」
剣呑そうに従業員は答えた。
「まあな、俺は台湾ドラマルネッサンスだとおもっているがね。」
店長はかなり燃えている。
「台湾ドラマなんて窮余の一策だと思うんですがね。」
まるで他人事のような店員の回答。
「少女漫画ドラマから進化した・・・。か・・・。」
皮肉ばかり言っていた店員に少しばかり明るい兆しが出てきた。
「どうだった、ビデオ・・。」
はるかが逹彌に聞いた。
数日後のことである。
「最後の、ヒロインの女刑事が警察内部の裏切り者を撃ち殺す處なんて・・・。」
逹彌は口元が滞ったようである。
「コーヒョン・ドッグウッドは、なんともやるせない氣持ちにさせられるドラマよね。」
はるかは、達也の気持ちを思いを察しながら、彼の表情をみた。
「小学生には難しいと思ったけれども、第貳部が楽しみだなと。」
さすが小学生、小学生がころころ変わる。
「ねぇ。はるかちゃん、あんたがみたドラマどうだったかな。」
逹彌ははるかに質問をした。
「まあね。」
何ともいえない複雑な表情だ。と同時に、ポスターを見やった。
「遠泳大会。」
はるかはぽつりとつぶやいた。
この夏の暑いさなかこの瀬戸内の町では遠泳大会をする。
「あんたの弟の友輝もでるだろうなぁ・・・。もっとも俺も出るけれども。」
逹彌は面倒くさそうに笑った。なんとも皮肉があるような感じで。
「あいつのことよ。急度一番を取ると張り切るね。」
はるかも笑った。
「あ、そうだ・・・。今度の夜・・・。」
逹彌はもどかしそうにはるかに話題を切り出した。
「そうね・・。」
何があったのかは著者は多くを語りたくはない。
(fine.)


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木更津の猫は高雄の犬の夢を見るか_5

2009-09-08 07:20:05 | 逆襲の藤隆
「そうだなぁ。」
店長は臺灣ドラマのことを考え始めた。
「たしかに、評判悪いね。これを有り難がっているのは、一部の日本人と
有る程度な中國大陸の人間だ。」
と苦笑した。
 一方、逹彌とはるかは、海外ドラマの棚付近をうろうろしていた。
「どれがイイかなあ。」
逹彌は、迷っているようである。
「いつもの通り、阪神タイガースの何かにすればいいじゃない。」
はるかは、ふと提案をした。軽口のつもりらしい。
「それじゃ駄目なんだよ。なにか冒険しないとね。」
はるかは、鼻歌を歌いながら・・・。
「こんなのは・・・。」
と涼宮ハルヒの憂鬱とかかれたビデオないしはdvdのパッケージを指した。
「うーん。」
一瞬考える逹彌。
「なんとも、決定打に欠ける。もっと甘い感じなのは・・・。」
Asiaラブストーリーの棚を物色した。
「あ、to Heart2日だまりの中で・・・。」
これがいいな。逹彌の顏は確信犯だ。
「逹彌君のImageが崩れるけれども・・・。まあいいか・・・。」
はるかは、
「私はこのコーヒョン・ドッグウッドでいいかな。なんとも惹かれる物がある。」
面白そうな物があると、必ず鼻がひくひくするのははるかである。
「鼻がひくひくしている。じゃあ決定打だね。でも刑事物か・・・。」
逹彌は、はるかの父親が好きであろう太陽にほえろも、西部警察も余り好きでは
ないことを知っている・・・。
「何々、コーヒョンとは臺灣にある高雄の臺灣語読みである。
木更津キャッツアイの大ファンであるプロデューサー入魂の一作。
實にうさんくさいな。」
汚い物半分疑いが少々、そして笑ったような顔を逹彌が持っている表情だ。
「それでいいならば、颯颯とレジに向かおう。」
達也は返す刀ではるかの顔を見た。
そして、はるかは頷いた。
つづく
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木更津の猫は高雄の犬の夢を見るか_4

2009-09-07 16:42:46 | 逆襲の藤隆
「コーヒョンってなんなんですか。」
従業員はビデオ屋の店長に聞いた。
「ああ。コーヒョンというのは高雄の臺灣語読みだ。北京語ではかおしゅんになるけれど。」
店員は
「パッケージを見る限りでは、コーヒョン出身の刑事がAsia 中を活躍する話しみたいですね。」
と、ただ通見るような顔でみた。
「Asia といってもなぜだか日本を舞台にした感じがするけれどもね。」
店長はそう答えた。
そんなことを言っているウチに、店内に馴染みの客が来た。
「店長さん、例の競艇のビデオあるかね。」
あから顔の初老の男は、映畫のCorner ではない逆の方向を見ていた。
「ああ、あるなあ。あの今し方死んだ、Yacht の和久寺とかいう選手のことだけれども、
私は、競艇の釘宮浩治を思い出すよ。当時ベテランの日野とーじを妙にライバル視
していてね・・。いざRace をやっているとき、彼のBoat がCrush して・・・。
たしか・・・。關東の是政だったかな・・・。」
とパッケージを見ながら男はさも、関東に行ったことがあるような表情をした・・・。
店長は男に
「借りるんですか、それとも・・。」
と問いつめた、冷やかしでくることも多いからだ。
男は
「ああ。」
と、言って競艇のビデオを借りていった。そして、そそくさと出て行った。
店長は、店員をみながら、
「やはり、アジア系は韓國の方が良好かなあ・・。」
少し寂しそうな感じを漂わせていた。
「ええ。韓國物の方が、受けますよ。」
と店員はネット上の臺灣ドラマの評判を見せていた。
「なんだか悪い評価が本国では言われていますよ。」
と、妖しげな臺灣ドラマをプッシュした人間を皮相的な顏で眺めた。
(つづく)
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木更津の猫は高雄の犬の夢を見るか_3

2009-09-06 05:33:48 | 逆襲の藤隆
「コーヒョン・ドッグウッド、珍しい名前ね。」
はるかはそう言いながら俺の方を見た。
おそらく此処の店長が書いたかもしれない、その表示板を見た。
サインペンなどを多用して、いかにも手作りである。
「台湾人刑事が主人公なんだ。」
はるかが足を止めたので、俺もその表示板を見た。
一方店長の方である。
「私がお勧めの其れが受けるだろうか。」
なんだかわくわくした表情で、女性店員を見ていた。
「どうでしょうかね。CLANNAD や天使なんかじゃないのほうが世間では
録画率が高いと言いますよ。このコーヒョンなんちゃらが受ける確率は少ないと思います。」
女性店員は確信を満ちた顔をしていた。
また、はるかと達彌の話題に戻る。
「ねぇ、達彌は天使なんかじゃないが好きなんだよね。主人公の相手役の男優がすきだと
友輝から聞いた。」
はるかはそう苦笑していた。
「まぁな。はるかはCLANNAD のヒロインの女の子が好きだと顔に出ている。」
と達彌も返した。
「例のコーヒョン・ドッグウッドだけれども、結構長いね。」
はるかはそう言った。
「そうだね。そういえば、奄美大島を舞台にした映画のビデオが見つかったかい?」
と、はるかをせっつかせた。
「まだよ。」
はるかは焦っているようであった。
「ところで、なんではるかは奄美大島が最近マイブームなの?」
達彌の疑問とするところだった。
「最近、琉球聯邦の首都が奄美大島の名瀬に移転してきたからよ。この国家が
旧沖縄県の歴史的地域とも言える奄美大島を併合したのは有る意味悲願
だったからよ。当初は伊豆諸島を併合するところを諦めて、旧神奈川県、
旧静岡県の伊豆と駿河を領有する足柄聯邦に譲渡したところを見ると・・。」
はるかはこういう話になると凄く長いのだ。
「わかったよ。はるか。」
達彌はそう言うしかなかった。
つづく
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