ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

写真を整理しながら考えた事。

2015-05-27 05:25:09 | 逆襲の藤隆
「この写真よくとれているよね。」
僕、浅岡蓮次が恋人の平賀知世と瀬戸内に住む
日下部浩一郎と柿沼萌美に送る写真を選んでいた。
8月に僕等は彼女の知り合いのつてをたどって
思いでの高原に足を運んでいた。
その時の彼女の表情を僕は覺えている。
「ここの、高原だけれども、生まれるまえに来たような氣が。」
その言葉は、夏が過ぎ去った今も強烈に覚えているのだ。
麦わら帽子に、白いワンピースの彼女は髪が長ければ、
夭折した、彼女の「母親」に見えた。
「何か付いているの?」
知世は僕にそういったけれども、違う。
亡くなった彼女の「母親」にみえたからだよ。
「やっぱり君のお母さんに見えるこの写真は、瀬戸内の二人に送ろう。」
長袖の僕は、同じように薄手の長袖セーターの知世を確認した。
「そうなの。逆に蓮次君っぽいよね。」
知世は苦笑して、
「私を独り占めにしたい、守りたいという感じがにじみ出ている。」
という。
「うん。」
僕はそう云うしかない。でも瀬戸内の日下部浩一郎が彼女が気に入っている事を
僕は嫉妬しているのだ。
「でも、萌美ちゃんのガードが堅いからダメだね。」
ついこの間、瀬戸内から送られてきた写真をみて言う。
「あ、このバーミリオンとマゼンタと僕等ふたりの4人の写真も送ろうよ。」
僕は咄嗟に、写真を指す。
「うん。」
苦笑しながら、知世は送るリストに入れた。
おわり
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えいさーみちゅぢゅれー

2015-05-26 10:28:07 | 信・どんど晴れ
「?!xx(女の子の名前)ちゃん、沖永良部島の歌をエイサーのレパートリーに入れたんだ。」
私は、鶴見に来ていた。と言っても、前回話題にしたよりも前のことだ。
小禄の親戚の女の子は、鶴見のエイサーグループをしている。
私、松本佳奈は、彼女の練習を見る機会に恵まれた。
聞きなれない沖縄の曲の中に、近所のおばさんが教えてくれた
沖永良部島の曲が流れる。
「しゅんさみ、しゅーんさみ・・・。」
少し、島に戻ったような気がしてならない。自分の家族が歌っていた奄美の曲は
わからないだろうと思って・・・。
「?!xx、ああこれ知っているよ。神戸の祖母が口ずさんでいた。」
?!xxちゃんの高校の同級生で武蔵小杉に住んでいる友人がつぶやく。
「へぇ・・・。」
私は、一瞬友人の方を見た。
「確か神戸に来るまで沖永良部島に住んでいたとかいっていたな・・・。」
友人は言う。
その後、見ず知らずの沖縄の曲が流れる。
おわり
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とーほぐでーじ

2015-05-22 18:54:47 | 信・どんど晴れ
「佳奈ちゃんだっけ?毎回毎回小禄(仮名)ねぇねえと連れ立ってくるよね。」
ここは鶴見である。小禄の関東の親戚が住んでいる街である。
「うん。本当は自分が捨てた自分の生まれたシマが甦ってくるからね。」
私、松本佳奈が話しているのは、是の女店主の孫娘である。今度の春には
高校三年生になるらしい。
「佳奈ちゃんの出身地って加計呂麻島のxxという集落なんだよね。
確か、私が贔屓にしている関西出身の
お笑い芸人だか歌手のお母さんが、加計呂麻の
集落出身だときいた・・。」
女の子はいう。
「あの人のお母さんの集落は?!じゃないかな。私の出身地からは車じゃないと行けないな
。」
私は、つがれた泡盛に口をつけた。
「そーなんだ。でもお笑い芸人だか歌手の話を聞いていると、奄美の人は関西にやたらい
かない。
關東に、もしかしたら、親戚のひとはいないとか。」
女の子は、吃驚したような表情で言う。
「うん。私が親戚の中で始めて関東に出てきた。やはり吃驚したのは、多くの人が言うよ
うに
東北の人が沢山いると思ったけれども、沖縄と鹿児島の本土の人が多いことだ。」
と、なにやら舌を噛みそうな沖縄料理に箸をつける。
「東北の人は上野駅の周りに沢山いるよ。上野駅の周りの下町は人情があるなんて嘘なん
だよね。
特定の地域の人に振り回されて、その人たちの砦になっている。」
女の子も我がルームメイト、横手淡雪と同じ見解のようだ。
「そうだな。貴殿の先祖も、鶴見に居を構えないよ。私のルームメイトにて小禄ねぇねぇ

classmateでもある秋田出身の女性も同じ事を言っていた。」
私は料理を咀嚼し、ふと考えて
女の子に回答し、
「でね、進学して間もない頃、私は下町に憧れていた。そこに行って現実を見た。
昔の繁華街で鳴らした頃の浅草じゃない空気があるって。」
とつづけた。
「でしょー。沖縄や西日本の人間なんて彼らからしたら、守るべきものじゃない。
だから、繁華街の地位を原宿や渋谷に奪われたのかもしれない。」
女の子は感情的になっていた。
「?!xx(女の子の名前)少し脱線しているさぁ。もし、奄美の人が關東に出てくることが
多かったら、下町に対する誤解も無くなるかもね。」
横で聞いていた小禄が横は入りするように答えた。
「ああ。私も會社の面接全滅だったからな。」
私もぼんやりと店の上にある蛍光灯をみていた。
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高原の岡に登る

2015-05-19 11:33:47 | 逆襲の藤隆
「蓮次さんはどうして知世さんと付き合ったの?」
なぜだか朝岡蓮次と二人連れで歩いているのは、バーミリオンの恋人であるマゼンタである。
「うん。最初は不純な目的で彼女に近づいた。」
蓮次はマゼンタの質問に答えながら、
前を進むバーミリオンと知世を見る。
「うん。いっちゃなんだけれども蓮次さんと知世さんはお似合いじゃないから。
あ、悪いこと言っちゃったかな。」
蓮次は口ごもったものの、
「まあ、僕も努力した。そしてマゼンタさんもバーミリオンの彼氏になるために
努力したんじゃないかな。」
と、彼女の方を見る。
「そうだね。バーミリオンも忘れがたい人がいるからなおさらだ。」
蓮次はふと考え
「知世にとっても忘れがたい人だったらしいけれども、今では黒歴史みたいでね。」
とマゼンタに少し困ったような顔をする。
「お互い、前を見なければいけない義務がある。蓮次くんもそれで努力したんでしょう。」
マゼンタは言う。
「うん。だから今がある。」
高原の岡の階段を登り切った時、
そこに頂上が存在した。
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鉄橋を渡る。

2015-05-13 05:44:33 | 逆襲の藤隆
「ごめんね。知世は運転中なんだよ。」
運転中の知世の携帯に出たのは僕、朝岡蓮次だった。
今僕と知世が乗っている車は、自分の家のVolvoが
車検に出しているので、代車屋が貸してくれた
キューバから輸入されたカスタムカーだ。
エンジンとトランスミッションがプジョーの最新鋭のそれで
ボディとシャーシが古いアメ車らしい。
「で、このマニュアルレバー。ロシア車のやつじゃない?!」
知世が、硬いそれを力を入れて変換する。
「それでも、スピードも出るしね。」
今渡ろうとするXX川の鉄橋を渡りながら、答える。
「あれ、バーミリオンの車は・・・。」
ハンドルを握る知世に、
「うん。4/5臺先だね。」
と僕はぽつりという。
「まあ、今の車と同じエンジンだからね・・・。」
知世が言ったか言わないかの時、最新鋭のプジョーが通り抜ける。
「これで、前のインプレッサとランエボを抜かしてみるか。」
僕はそういった。
「まあやってみるか・・・。」
知世はアクセルを踏む。
結構なスピードだけれども大きなボディにプジョーのエンジンは無理があるのか
すぐへたばってしまう。
「目的地まで行ってくれる。これで来てよかったかもね。」
僕は、知世に皮肉を言った。
ハンドルを握る彼女は笑いながら怒っていた。
「次の休憩場所、蓮次くん運転。」
怒られると思ったけれども、ただそれだけだった。
さぁて、魔訶不思議なカスタムカー、また運転するか。
糸冬 了
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別荘に赴く。

2015-05-12 06:45:59 | 逆襲の藤隆
「今日は、浩一郎と萌美ちゃんはこないんだ。」
平賀知世の幼馴染であるバーミリオンは言う。
「ごめんねー。あの子たちに合うのが楽しみだったみたいだけれども。」
いつもは、瀬戸内の岡山と香川の県境にすんでいるようだが、今回は
関東に来ないようだった。
バーミリオンは残念そうな顏をした。
「ところで、知世たちの車すごいね。」
バーミリオンは知世たちが乗っていく車に絶句した。
「蓮次君ところのボルボが丁度車検なんで、代車を貸してくれたみたいなんだよね。
なんでもキューバから輸入した車みたいでね・・・。」
知世は濃いめの緑色のボディーを叩いた。ぱっと見は大昔のアメ車みたいである。
「昔のアメ車か。これって動くの?」
バーミリオンは顏がこわばっていた。
「うん。エンジンとトランスミッションはプジョーの最新鋭のそれを利用して居るみたい
で、
アメ車なのにマニュアル車なんだよね。」
という。
「すごい車。」
バーミリオンは言う。
「バーミリオンところのrvについて行けるかな。」
知世は日本製のバーミリオンのrvをみる。
「不安だけれども、蓮次君と車を別荘まで運転する算段なんだろう。」
バーミリオンは言う。
「うん。私にとっても小学校の頃以来だから楽しむつもりさ。」
知世はほほ笑んだ。
知世とバーミリオン、この先どうなっただろうか?
end
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青天井の牢獄_また

2015-05-11 12:27:48 | 信・どんど晴れ
「徳川家康・秀忠父子、エノケン・・・。下町をつくってそこで活躍した人間が
世を去って、時代が変わる。そしてかつての臭いはなくなっていく。」
松本佳奈が、下町に一人で旅行した後彼女のルームメイトである歴女として
知られる高槻久留実がそうつぶやいた。
ここは松本佳奈他学の学生とルームシェアをしている神奈川縣釜利谷の下宿である。
「浅草に地元に関するposterの隣に、東北のposterが結構貼られていて吃驚した?」
同じくルームメイトの横手淡雪も皮肉っぽく横で言う。
「まあね・・・。横手のかまくらと焼きそばに関するポスターが貼られているのには
どん引きしたけれどもね。」
佳奈は、思ったことを口にした。
「ソレが現実。関東に来ない人には席は設けられていないし、沢山居る人の感情に負けて
しまう上に、
その人たちの都合の為だけにある。」
他の人間は又始ったかという顏で横手淡雪を見る。
「まあ、関東は何處でも関東だけれどもねぇ。佳奈ちゃんは、田口涼平プロデューサーが
演出した
{蒲田Rhapsody}という映画を見たことがある。」
淡雪が熱り立っているのをみて、高槻久留実は、佳奈に質問した。
普段映画やドラマの脚本家やプロデューサーなんて気にならないのに田口涼平という名前

やたら印象的だった。
「ああ、それ大学の補欠合格が決まって、上京する前の晩、友人から借りたビデオで見た
よ。」
と佳奈は言う。
「あの映画は私も見た。私も同じビデオだ。」
高槻久留実は言う。
「私も以下同文。近所のレンタルビデオ屋に足を運んだとき雪が降っていた。」
と横手淡雪も思い出す。
「でも、その映画がなんで気になるのさ。」
佳奈は久留実を見る。
「あの映画が大ヒットをしたのは、関東の事情があると私は思う。
舞台になった蒲田やそこと同じ沿線の川崎や濱の人間が
あんたが憬れた下町に対する違和感に対するアンチテーゼとして
担ぎ上げられたと私は分析している。」
久留実はまるで評論家みたいだった。
この映画1960/70年代頃の蒲田が舞台の作品であり、
かつてはいわゆる浅草・深川・上野あたりを舞台にしたドラマや映画と
同じ構造だったが、蒲田という所がそこに馴染みのある人々に支持された
格好だった。
「たしか大井川以西出身の作家のc氏やd氏もほど近い大森や三多摩に居を構えたと
聞く。」
横手淡雪は口を開く。
「そうだね。他に漫画家の水木しげる氏も調布にに居を構えたって聞く。」
高槻久留実は言う。
「じゃあ、蒲田とか神奈川縣の人は大井川以西や沖縄の人と対峙するケースが多いという
ことなんだ。」
ルームメイト二人の言葉を総合しながら、佳奈は二人に答える。
「みんな上京してから間もないから、佳奈ちゃんも関東の事をじっくり見ることだ。」
高槻久留実は言う。
「そういえば、私のclassmate一人が鹿児島本土で、もう一人が沖縄の人だったな。」
横手淡雪が言う。
佳奈は、二人を冷静な顏で見ていた。
「鹿児島本土と沖縄の人というのが、関東の事情を体現しているね。」
とつづけた。
釜利谷の夜は更ける。
おわり
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青天井の牢獄

2015-05-09 20:52:34 | 信・どんど晴れ
「はぁ・・・。」
松本佳奈は、自分の下宿がある神奈川県の釜利谷に向かう電車に乗っていた。
松本佳奈が、電車に乗る前に赴いていた場所は、浅草や深川など
東京の下町である。
自分の親戚はほとんど大阪などの關西に住んでいて、全く関東には縁もない
だから、漫画やテレビドラマの影響で下町にはすごく憧れていた。
目黒・吉祥寺・下北沢なんて場所は全く頭に浮かばなかった。
「いやよ。あんなところ。あんな青天井の牢獄に行くぐらいならば、吉祥寺・下北沢や
下北沢に行きたいな。」
自分のROOMMATE、秋田出身の横手淡雪はすごい剣幕でそこに行くことを拒んだ
彼女の言葉によると秋田など東北出身者が多く住んでいて、そこから動かないし
ここの住民も東北の人間にばかり優しくすると言う。
赴いて、びっくりしたのが東北のポスターばかり張ってあった。
「奄美とは言わないけれども、沖縄や鹿児島本土あたりのポスターがあれば。」
と佳奈は思わざるを得ない空気だった。
表向き人情と言いながら裏では、自分の目の前の好みにばかり合わせようとするのに
ドン引きすることが多かった。
電車は多摩川を超えたようだった・・・。
おわり
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