ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

信州探検記_6

2010-12-18 17:26:32 | 信・どんど晴れ

「この文章を、松本さんに読んでもらいたい。」
内野は、端末に表示された文章をみせた。
「えっ。」
佳奈は戸惑っていた。
「私は活字を読むのは此處にいる彰よりなれてはいません。」
と、訂正した。
横にいた彰は、
「でも、先生が言っているんだから読みなよ。」
と、勧めた。
「この文章は電子書籍にするつもりだ。これの端末を持っているのであれば、早速読んでもらいたい。」
内野は決意していた。
「なぜ、私なのでしょうか・・・。」
佳奈はふと考えていた。
「それは、松本さんは自分の考えている人生よりも運命に引っ張られる感じがするからだ。
それならば、運命にゆだねる考えももってほしいから、ここの前のオーナー物語を
読んでもらいたいと感じているから。」
内野はそう断固とした表情を見せた。
「そんなのが分かるのですか。」
佳奈は感情的な表情を見せた。
内野は黙っていた。
「そういえば、先日久良岐駅の家電量販店でipad買っていたな。」
佳奈は彰の方を見た。
彰は
「読みなよ。急度大学を卒業した跡の考えが浮かぶかも。」
と明るい表情を見せた。
 学生時代も終わり、佳奈は徳之島のRyokanにいた。
あのいや高くそびえる山も夢のような物語に終わったかな・・。
そんなことを思い出していた。
「松本さん、女将が首里から来た原田とか言う女と松本さんを対決させようとしていますが。」
同僚の仲居が佳奈に耳打をした。
「現実はやりたくはない。」
と、佳奈は窓の外を見た。
庭木にはパパイアの木が植わり、熱帯植物が様々なところに点在している。
「この琉球の風景は自分にとっては忌まわしい風景なのは今も変わりはない。」
と、同僚に漏らした。
「どうなんですか。やりますか・・。」
と同僚は言う。
「やるに決まっている。この加賀美屋からも、徳之島からも抜け出られないからだ。
学生時代に読んだ文章を今になって思い出している・・。」
と、もらし、女将のゐる部屋に足を運んでいた。
おわり
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

信州探検記_5

2010-12-18 17:25:59 | 信・どんど晴れ
午前中から雪である。
内野は、pcでなにやら文章を執筆していた。
キーボードの音が聞こえるので、興味を持った彰、そして佳奈は
内野の端末をのぞき込んだ。
「いったい何の小説ですか?」
彰は質問した。
「此處をかつて管理していたオーナーの物語だ。」
内野は忙しくキーボードをたたいていた。
「なぜ、執筆する義務が存在するのですか?」
佳奈は聞いた。このひげ面の男の考えている事は全く分からないのだ。
「私の友人で大澤の話をしただろう。彼が此處のオーナーの壮絶な一生に
感動をしてだな。私が作家のまねごとをしているのを見て、自費出版でも
出版してみたら如何かと言われたからその気になってルポを執筆している。」
内野の必死さが少しは、伝わっては來る。
「Coverの装丁は道祖神なんですか。」
彰が質問する。
横からのぞき込んだ佳奈は
「そーだなー。この道祖神は鹿兒嶋の本土にある田の神さぁみたいだなと付け加える。」
と一言言う。
「鹿兒嶋の本土のそれと此處や群馬県や神奈川県にある道祖神は似ているね。」
内野はそう語る。
この執筆作業は、午前中いっぱいかかった。
つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

信州探検記_4

2010-12-18 17:25:26 | 信・どんど晴れ

「もし、自分が死ぬんだったらこの信州でいい。」
佳奈は、内野や彰に漏らした。
「またまた。佳奈ちゃん一流の皮肉でしょう。」
彰は其れを否定しようとした。
「今みたいな冬の寒い時期でも、耐えてみせる。」
佳奈は決意をあらわにしていた。
「そびえている山をみていたら、シマの事を考えたくなくなる。」
と言いつつ、窓から見える安曇野の山を見た。
これらの山はまるで岩の壁のようである。
佳奈自身、シマで抱える苦しいことから逃げ出したくて關東に出てきて、たどり着いた信州で
考えることは、ある意味現実逃避に彰は考えていた。
「追浜、あの連れの奄美の女の子、關東では成功しないかも。」
と内野は困った顔をした。
「先生少し、彼女に夢を見させてやってください。」
彰はそう答えた。
内野にそういう事を言うしかない。悔しいかな松本佳奈という女性は、島の屈折した感情を一心に引き受けている。
彰も他の人に説明するのは其れしか言葉が出ない。
つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

信州探検記_3

2010-12-18 17:24:55 | 信・どんど晴れ
「かつて、ここは蕎麥屋だったと聞きますが。」
佳奈は、もう一回内野に聞いてみた。
彼は黙って頷く。
「屋号が、そば処太陽という名前だったんだ。以前の持ち主は敗戦直後の苦しい中でこの店を出発させた。」
オーナーは握り拳を作りながら説明した。
「先生は秋田の高校を退職後、何をなさっていたんです?」
彰がなんともナシに聞いた。
「秋田を出て、北海道を放浪、そして、九州を一周した。で、関東に出てきて少し出たところにこの信州に
たどり着いた。」
とカタル内野。
「この民家をペンションに改造する費用はどこから出たんだか、飲まず食わずの生活をしていた人が此處を変えたというか。」
佳奈は疑問に思った。
「そこの資金は、東京の医療機器メーカーで研究員をしている大澤という關東で知り合った人間が
協力してくれた。」
内野は余裕で答えた。
「少し疑問に思いますが、先生たかったんじゃ。」
彰はいぶかしげな顔をした。
「まあ、そうかもしれないね。でも彼も自分の研究のためになると資金を提供してくれた。彼の学生時代からの
研究テーマは、100年前の技術においてどう現代医療を遂行するかという人間でね。」
と内野は回答した。
「ここで100年前の技術においてどう現代医療を遂行する研究をするのかな。私の集落でもやってもらいたいね。」
と佳奈は言う。
「奄美の方でもおもしろい研究を行いたいと、大澤氏は論述していたよ。」
内野はそう回答する。
つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

信州探検記_2

2010-12-18 17:24:25 | 信・どんど晴れ
翌日、佳奈と彰はゲレンデにいた。
彰はへたくそな自分を尻目にBoardで滑降していく。
このゲレンデに来てから思っているが、現実に彰はSports万能でうらやましいと思った。
彼女のボーイッシュな雰圍氣はゲレンデにいる女性たちがかっこいいとおもっていそうだった。
「おまえさんみたいな人のことをかっこいいというのかな。」
佳奈は皮肉交りにいう。
「そうかもね。この前加計呂麻島で佳奈ちゃん、お姫様抱っこしてくれたでしょ。意外と私の女性っぽさを知っていて・・。」
そういった彰を、打ち消すように佳奈は・・。
「あれは恥ずかしかったんだ・・・。」
とリフトの方向を見た。
「うふふ・・。そういうのって関東の学校に進学したからあえるのかも。」
と含み笑いをした。
佳奈は次回は絶対うまくなるぞと考えてはいた。
日が落ちて、宿に戻る。
洒落た西洋風のペンションが多い中で、伝統的なこの地域の民家の像をしている。
「なんというか、どうしてこういう作りの建物を選んだのですか?」
彰は、髭面の内野と呼ばれる男に聞いた。
「かつて此處でそば屋を開いていた人がいて、そこのオーナーの精神に感銘を受けたからだよ。」
と胸を張った。
「うちの島や大島でも古民家を大切にする考えがあるけれども、本土でもあるんだ。」
と佳奈は感心していた。
と、辺りを見回し、注文していた紅茶に口をつけた。
大島/加計呂麻島と違うのは、いろり周りが巨きく作ってあることだった。
つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

信州探検記_1

2010-12-18 17:23:47 | 信・どんど晴れ
「そろそろだっけ。」
松本佳奈は、運転をしている追浜彰に聞いた。
「もうすぐだね。」
車窓から見える風景とカーナビの表示を見て助手席の相方を見た
追浜彰はそう論述した。
カーナビの表示は安曇野市と書かれている。
こんな所に来たのは、佳奈は彰に誘われてSkiに來たのだ。
けっこうすんなり来たな。彰もそう考えているなと、佳奈は思っていた。
「関東に来たからには、そこならではの事をしないとな。」
佳奈はそう言っているのを、彰は聞いていた。
「インターチェンジを降りて、すぐだね。20分もかからないぐらいのところに
スキー場と泊まるところがある。」
彰はいった。
「ああ。初めてだけれども胸がわくわくする。」
佳奈は、車窓の風景を見た。岩の壁みたいなものは、加計呂麻島には存在しない。寒さも気にならない。
「佳奈ちゃん、寒いの大丈夫。」
彰は心配そうに聞いた。
「大丈夫だ。問題ない。」
佳奈はサムズアップを繰り出した。
「そんだけ、やれば大丈夫だ。」
彰は苦笑気味な表情だったけれども。
秋まで田圃であったところを抜けながら、カーナビの色がついた道を確認して
宿泊場所まで急ぐ。
程なくして、宿泊場所のペンションに着いた。
「いったいどういうつながりなんだ。この信州の安曇野って處は秋田とは明後日の方向だな。」
佳奈が意地悪く聞いた。
「昔、テニス部の顧問をしてくれた人でね。高校を退職後、信州のここでペンションを開いたんだ。」
と、彰は率直に答えた。
佳奈は押し黙り、自動車のドアを閉めた。
「おう、追浜,能く来てくれた。東京の大学に進学したとは聞いていたが。」
髭面のぶっきらぼうの男性は彰を見つつ、佳奈を見て、
「ところで、こっちの女性は?」
と答えた。
「訳あって、私の幼なじみの横手淡雪と神奈川縣で同居している松本佳奈というんです。出身は
沖繩の近くの加計呂麻島とかいう島なんです。」
と彰は答えた
「ああ、しっている、奄美の方か。友人がダイビングが趣味でそこによくいくよ。」
と笑いながら答えた。
「そうですね。関東の方の人は知らないと思っていたから・・・。」
佳奈はそう答えた。
つづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中京圏探検記_5

2010-12-12 17:50:48 | 信・どんど晴れ
「息子を殺したとなると、穏やかではありませんね。」
田久保は、社長の顔を真剣な表情で見た。
「どうでしょうね。山長の社長のことだから、ある種のレトリックかもしれないと私は考えていますが。」
その顔は笑ってはいるものの、なにやら複雑だった。
「まあ、土地柄、よくて名古屋大学、悪くても名門私立に入ってもらいたかったですからね。
父親としても無念だったんでしょうね。息子の出來の悪さが。」
社長は客観的にとらえながら田久保を見た。
「ふーん。」
田久保は一瞬考えて外の景色を見た。もし、その社長の息子だとしたら、勘当されて、
大学を苦労して卒業したとかいっている松井達男のことを思い出していた。
高校までは愛知県の名門高校に在学したものの、失敗して東京の大学に進学、
援助も何もなく、などと入社当時愚痴をこぼしていたのを考えていた。
そんな田久保の表情をみていた、スーパーChainの社長は
「關東でなにやら生きていたら、わたちも救いがあります。」
ただ、それだけだった。
「私もそうありたいのですが・・・。」
田久保は事の複雑さをかみしめていた。
「まあ、彼は急度關東の空気を吸って生きていますよ。」
社長はFollowした。
田久保は泣いていた。
それは、松井達男の同僚だからだ。
 帰り道、三重県の古い神社の前にいた。古来から地元を統治した大名や名士の崇敬を集めてきた。
彼はそこにお参りして思っていた。
「松井達男が父親と仲直りをして、そしてここら辺のお寺や神社に許しを請うことを・・・。」
おわり
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中京圏探検記_4

2010-12-12 17:50:14 | 信・どんど晴れ
田久保は本社ビルのエレベーターをアガっていく。
Floorを表示するLampが、上へ上へ点灯する。
田久保は唾を飲みながら、社長とはどんな人かと考える。
本社ビルの最上階に社長室は存在した。
「東京の商社の田久保です。」
社長室のドアをKNOCKする。
「まっていたよ。まあかけたまえ。」
声をかけた社長は45-6歳ぐらいだろうか。
まだ、若いようである。
「今回は三重県内にチリワインを売るというPlanでしたね。面白いですね。
見返り、我がスーパーが展開している、三重県のプライベートブランドを
全国に売るという事ですね・・。」
社長は、田久保が提示したPlan表をしげしげと見ていた。
「あの、以前にも貴社が展開するスーパーの中を視察してみたのですが、
例の伊勢うどん、必ず、関東圏などでは受けると思います。他にも
郷土菓子も、まだ關東などでは知られていない物があります。」
と、田久保は身を乗り出した。
「なるほど・・。でもお総菜コーナー見たでしょ?この津市ってみそかつとてんむすの発祥の地
なんですよね。味付けが近かったせいか、名古屋の名物見たくなっていますが・・。」
と、社長は苦笑しながら、皮肉そうに答えた。
「そのようですね・・・、お宅の方で山長という会社の味噌を扱っていますね。」
田久保はかまをかけて聞いてみた。
「ええ、そうですが。」
社長もそれには同意する。そして、口を開いた。
「この社長でしたら、2~3日前にはわが社に訪れましてね、息子を最終的に殺したということを言っていました。」
田久保は驚愕の事実を耳にすることになった。
つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中京圏探検記_3

2010-12-12 17:49:32 | 信・どんど晴れ
三重県津市。田久保章二の出張先は、ここである。
「何か、同期の松井達男のにおいがする・・・。」
また考えた。
この中京圏に足を運ぶ爲に利用するBusや鐵道に乗っていると思うときがある。
今回は岡崎よりは西にある。
でも、岡崎と同じ経済圏・文化圏であることは否定しない。
津駅に降り立って、三重県では大手として知られる自分の會社と取引のある
スーパーの社長とである。
驛から歩いてすぐ、そのスーパーの本社である。
近隣他縣には、勢力はない物の、アル一定の地域に腰を下ろしている會社としては
まあ、大きい方であろう。
「関係者立ち入り禁止」
と、自動ドアのそばに書かれているばしょに田久保は行く。
「xx商会の田久保章二です。社長にアポイントがあります。」
インターホンで、守衛ないしは受付嬢のような人間に応対をする。
「どうぞ。」
内鍵が開き、そのまま、エレベーターに乗る。
ドアが閉まり、社長室に行くような感じである。
「東京の田久保です。」
つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中京圏探検記_2

2010-12-12 17:48:17 | 信・どんど晴れ
次に銘ぜられた出張。
俺は三重県・愛知県・岐阜県の陶器工場に行くことになった。
いわゆる中京広域圏のここら辺では土鍋や廉価な食器などを作っている
地域として知られる。全国でも1/2を争う産地で海外のお客さんに向けて
日本の陶器を売り出すという自分の會社の目的を果たすためにここを訪れた。
オートメーションと家内工業を両方使ってここらの工場では使っていると
自分は考える。
「お、懐かしいラーメンどんぶりだ・・。」
まだ、今みたいな和食のどんぶりと兼用するデザインではない。
赤い小振りなやつだ。
全体的に産地を訪れて、或る意味で日本の産業を支えている。
そう実感した。
どこに行ってもみえるのは、味噌の看板である。
色々あったが、山長という會社はなにか見覚えがあるんだよな
どこだっけな・・・。
つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする