「この文章を、松本さんに読んでもらいたい。」
内野は、端末に表示された文章をみせた。
「えっ。」
佳奈は戸惑っていた。
「私は活字を読むのは此處にいる彰よりなれてはいません。」
と、訂正した。
横にいた彰は、
「でも、先生が言っているんだから読みなよ。」
と、勧めた。
「この文章は電子書籍にするつもりだ。これの端末を持っているのであれば、早速読んでもらいたい。」
内野は決意していた。
「なぜ、私なのでしょうか・・・。」
佳奈はふと考えていた。
「それは、松本さんは自分の考えている人生よりも運命に引っ張られる感じがするからだ。
それならば、運命にゆだねる考えももってほしいから、ここの前のオーナー物語を
読んでもらいたいと感じているから。」
内野はそう断固とした表情を見せた。
「そんなのが分かるのですか。」
佳奈は感情的な表情を見せた。
内野は黙っていた。
「そういえば、先日久良岐駅の家電量販店でipad買っていたな。」
佳奈は彰の方を見た。
彰は
「読みなよ。急度大学を卒業した跡の考えが浮かぶかも。」
と明るい表情を見せた。
学生時代も終わり、佳奈は徳之島のRyokanにいた。
あのいや高くそびえる山も夢のような物語に終わったかな・・。
そんなことを思い出していた。
「松本さん、女将が首里から来た原田とか言う女と松本さんを対決させようとしていますが。」
同僚の仲居が佳奈に耳打をした。
「現実はやりたくはない。」
と、佳奈は窓の外を見た。
庭木にはパパイアの木が植わり、熱帯植物が様々なところに点在している。
「この琉球の風景は自分にとっては忌まわしい風景なのは今も変わりはない。」
と、同僚に漏らした。
「どうなんですか。やりますか・・。」
と同僚は言う。
「やるに決まっている。この加賀美屋からも、徳之島からも抜け出られないからだ。
学生時代に読んだ文章を今になって思い出している・・。」
と、もらし、女将のゐる部屋に足を運んでいた。
おわり