ブルーシャムロック

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人は、退出下さい。

カレドニアの骨牌また_7

2018-02-16 14:07:04 | 逆襲の藤隆
車が { 先生 } の自宅がある東京都地方に差し掛かっていた。
先生のいつぞやの言葉を平賀知世は思い出していた。
「出来杉英才博士はクローンをつくって複数の個体を作ることは可能だったと思います。
しかし、あなたという個体しか作らなかった。彼の優しさであり強さかもしれませんが、
それが、彼を危うさに巻き込んでいることに鈍感なようですね。」
と、苦笑して話していたことをハンドルを握りながら考えていた。
現在彼は最愛の妻を何者かに殺害されていた。
彼とその妻を取り合った人間が、
「彼女が亡くなってから、冷静に彼と向き合うことができた。彼女は自分を Femme Fatale だと
考えていたけれども、どうもそれには役不足だ。」
という言葉をネットか雑誌で見た事があった。
自分は何なのだろうか。やはり、自分が Femme Fatale なのかなと。
かつて親友で、バーミリオンの恋人で、 { 先生 } の實の娘だと
思われていた女性が、最近家に帰っておらず、樋口という男性のもとに通っているとも聞く。
ひょっとしたら、バーミリオンも私もいないところで新しい物語を作るのかなとも考えていた。
知世の端末にメールの着信音がした。
運転席に自分一人なので、受け取れない。
気がつけば、 { 先生 } の自宅が見えるところまで来ていた。
知世は車を止めて、先生のインターホンを押していた。
ところで、メールの主は誰だったのだろうか。
知世の養父だった。
「私は君とは長い付き合いになるとロンドンで考えていた。いろいろあっても
二人の父親という状況を楽しんでいこう。」
と言う内容だった。
終わり
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カレドニアの骨牌また_6

2018-02-10 16:43:18 | 逆襲の藤隆
「ところで、 { 先生 } がこの前のレストランで話していたけれども、君のお父さんと君が
出会ったのって、 { 先生 } とお父さんが、一緒に Scotland に行く前だったんだよね。」
そういう質問を朝岡蓮次は、恋人の平賀知世に彼女の端末宛にメールを送信した。
その文面を読んだ、知世は蓮次にこうやってレスを返した。
「そうね。あの時、父と初対面だったけれども、私を知っていたような顔をしていた。
もしかしたら、 { 先生 } が情報を流していたのかな。」
知世はメールソフトの送信ボタンを押しながら、口をへのじぐちにした。
今日は、また { 先生 } の自宅に行く日である。
知世はガソリンスタンドにいたので、蓮次にメールを送ることができた。
「軽油満タンになりました。」
gs の店員は、知世の方を見る。知世の愛車はアメ車であるが、プジョー製のディーゼルエンジンだからだ。
「ありがとうございます。」
上大岡から { 先生 } の住む東京都地方の街まで、車を走らせるつもりが、燃料が底をつきかけていたので ,
途中の港北区あたりのガソリンスタンドで給油をした。
マニュアル車である車のシフトレバーには FIAT と書かれている。
元々がキューバの車で、 Russia 車のシャーシを流用しているので、修理の際、ライセンス生産元の
フィアットの部品を使ったからだ。
「流用したプジョーやフィアットの部品は新し目の型番の車からとったとは美幸さんは言っていたけれども。」
美幸さんとは、知世の姉貴分の女性。トンデモナイ姐さんなのは、機会があったら話す。
車は、スピードを上げて、港北区から東京都地方に向かっている。
続く
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カレドニアの骨牌また_5

2018-02-06 21:50:29 | 逆襲の藤隆
「でも、なんでその人に會わなければいけないんだい。そんなに特別な人なの ? 」
平賀知世の恋人の朝岡蓮次は、彼女と彼女の養父と共に横浜元町の瀟洒なレストランに
来ていた。
「蓮次君その { 先生 } は私とお父さんにとって特別な人なの。ぜひ蓮次君に會わせたいの。」
知世が言う。
「知世にとってのもう一人のお父さんというところかな。」
養父はアペリティフを口にしながら、蓮次を一瞥している。
「ああ。わかりました。」
蓮次は、今回のデートは知世の友人であるバーミリオンとマゼンタカップルとダブルデートだったから
多少不満だったが、知世の家族の複雑さやユニークさを感じた時、なぜだか { 先生 } を知りたくなっていた。
「あのー、お父さん { 先生 } とは何時頃知り合ったのですか ? 」
蓮次が、知世の養父に聞いた。
「ああ。私がイギリスにいるときに仕事の関係でロンドンの学会で出会った。」
と養父は軽く答える。
「ああ、そうなんだ。」
蓮次が答えたのに対して
「私がお父さんがロンドンで初めて出会った年だっけ。 scotland に行ったのは ?
その時に何を話したの ? 」
知世も多少意地悪そうな顔をした。
「ああ。それはね。」
養父が答えようとした時
「すみません、遅くなりました。」
{ 先生 } が現れた。
「今の人が { 先生 } ですか。」
蓮次が彼の顔を見た。
「 { 先生 } 、今日は時間を作って頂いてありがとうございます。父も私と { 先生 } と
話したいと思っていまして、こちらは私の恋人です。」
知世も蓮次を { 先生 } の顔を見るように仕向ける。
「ああ、平賀知世さんの恋人である朝岡蓮次です。宜しくお願いします。」
と、蓮次も { 先生 } に挨拶をする。
「はじめまして、 { 先生 } と言います。知世さんのお父さんとは長らく共同研究者を
させて頂いています。」
とみんなに一禮をする。
こうして三人の晩餐が始まった。
晩餐がお開きになった時、 { 先生 } が言う。
「朝岡蓮次君か。いい青年だ。もう一人の父親として知世さんが悪い男に
引っかからなくてよかった。」
と言う。
「まあ、知世も苦労しましてね。もっとも蓮次君は安心する男ですが。」
と知世の養父が言う。
前の方を進む知世と蓮次をみて二人の父親は安心したようだった。
つづく
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カレドニアの骨牌また_4

2018-02-02 11:03:51 | 逆襲の藤隆
話は多少遡る。
我らがヒロイン、平賀知世が現在の父親と出会う少し前の、 scotland 。
片田舎の b&b でのことである。
片田舎だから、そんなに交通の便があるわけではなくて、平賀知世の養父と
渦中の男 { 先生 } は共同研究の為に訪れた scotland で面倒に巻き込まれて
片田舎の b&b に宿泊することになったのだった。
「一応ツインベッドはあります。」
店主は二人をその部屋に招いた。
二人はありがとうございます。と言って部屋に入った。
これから二人でどうするか話をしていた時のことだ。
「ところでね。私の娘の { 木之本さん }( コードネーム。以下このコードネームで表記 )
は、私の娘ではない。」
{ 先生 } はいきなり口を開いた。
「ええっ。」
先生はいきなりびっくりした。
共同研究者として、その { 木之本さん } と { 先生 } となくなる前の奥さんなどが写った家族写真
を知世の養父は見せてもらった。
「うん。 { 木之本さん } は、実際は私が不倫相手の女性との間に生まれた子供だ。で、
不倫相手は、妻のクローンを娘として育てている。」
{ 先生 } はなおも続ける。
「たしかあなたは、奥さんを亡くして、奥さんの卵生細胞を、かの科学者、出来杉英才博士に託した
ようですよね。それで、奥さんの分身をつくろうとした話を前に聞きましたが。」
実は養父は、 { 先生 } の奥さんの葬儀に参列し、彼の話の聞き役になっていた。
「はい。」
{ 先生 } は養父の言葉に頷く。
「実は私はそれと同時に、出来杉英才博士のスポンサーの企業の創業者一族の女性と
不倫関係になっていて、その子供を彼女に宿していた。」
{ 先生 } は答えた。
「まさかそれが、 { 木之本さん }?! 」
養父は目を丸くした。
「そう。で、その時クローンは完成した・・。私は妻の分身の乳児が
完成すると思っていたのだけれども・・。」
{ 先生 } は出来杉英才のラボに赴いた時愕然とした。
「なんで 10 歳前後の少女なんだろうと・・。」
クローンを培養する溶液に全裸の 10 歳前後の少女が入っていた時、
{ 先生 } は、
「私はこんなものいらない。と言いました。傍にいた創業者一族の女性は
ならば私がこのクローンを育てます。ならば、私とあなたの間に生まれた子供を
あなたの娘として育ててください。と言われた。それ故に { 木之本さん } を
育てることになりました。そして、あの時、出来杉英才を責めました。
なんで乳児にしなかったんだと。」
と、言って傍の新聞をとった。
養父は、
「出来杉英才博士はついでになにか言っていませんでしたか。
私も彼の強がったところはあまり好きではないのですが、
彼は、傲慢なところのない優しさがあったはずです。」
と、これまでの彼のことを思い出しながら答える。
{ 先生 } は、
「本来ならば、複製が作ることは可能ですが、あなたの娘さんだから、
一体しか作りませんでした。」
と言った。
それを聞いていた養父は「そうですね。またこの問題があるならば私も協力して解決したいですね。」
と話した。まだウェルカムドリンクのコーヒーがカップに残っていた。
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