ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

ぱっしょなーれ

2013-08-30 21:20:12 | 信・どんど晴れ
さっきから松本佳奈は自分の住んでいる家のモニターにかじりつきながら見ていた。
画面に映っているのはBulldogのような顔の強面男。
もうひとりは以前流行した映画の「ぶちょー」というキャラを演じた俳優に似た顔の
脚本家、そして紅一点、かつて上方落語の噺家を目指す女性やないしは
和菓子職人を目指す女性に扮した女優のような顔の娘と差し支えない年齢の子である。
ある番組の記者会見である。
Bulldogのような顔に「古崎某」とテロップが出る。彼の役職はドラマシリーズの
制作総指揮を担当する、制作団体の外部から呼ばれた人間である。
「今回、みなさまを集めたのは他でもない。これまで大河ドラマと呼ばれたドラマ枠を
{ドラマチック・ヒストリア}として坂本龍馬や徳川家康を登場させないドラマを作りたいのです。」
と低く、断言する声で言っていた。
会見現場の看板には幕が下ろされている。
古崎氏の命令一科、幕が上がる。
看板には
「アンコロモチストーリーズ」
と書かれている。
「今回のドラマの題名です。内容は脚本家から述べられます。」
という。
脚本家は
「今回一年間公開するドラマは、和菓子職人があんころ餅を作ることになって
それに、和菓子を作る意味を問いただす現代劇です。」
と説明した。
「あのー、このドラマ枠この間まで時代・歴史系ドラマじゃないの。そんな現代劇じゃ」
佳奈は画面に突っ込みを入れる。
「ですから、現代劇は歴史ではないというのでしょうか。それはみなさまのPassionが
足りないと思います。現代も歴史になるのです。」
と、古崎は言った。
一人のインタビュアーは
「古崎さん、あのこれまでの枠の香氣を持たせた企劃はやる気はないのですか。」
といぶかしげに聞いた。
「もう計画進行中です。」
古崎は言った。
「えっ。」
佳奈は首をかしげた。
「本当にできるのかな。」
同じようにテレビモニターをみていたRoommateの横手淡雪や高槻久留実に問いかけた。
Roommateは
「さぁ。」
というダケだった。
 そして、アンコロモチストーリーズが始まって一ヶ月してから、高槻久留実がInternetを
見ていたとき、
「佳奈ちゃん見て、ドラマチック・ヒストリアの次回作は伊能忠敬・間宮林蔵・近藤重蔵
最上徳内が登場する、北海道探検記みたいだよ。」
と画面を指した。
佳奈は、それに潜り込むように見る。
「おおっ。なんだかすごいことに。」
後日だけれども、堀越二郎が登場する戦後新幹線を設計した人間の物語、
あるいは天武持統時代に取材した古代史ドラマが公開されたことを付け加えておく。
他の枠は、何かにとりつかれたように不特定多数が大好きな坂本龍馬や
徳川家康が
出てくる企劃のドラマを公開開始したという。
古崎、剛腕ながら結構時代に物を問いかける力はあるのだな。
おわり
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ああ、すばらしき輸入文学_2

2013-08-22 04:46:18 | 逆襲の藤隆
「でもさぁ、歌のなかに輸入文學用語を入れるのはたいした物だよ。」
この前原稿を取りに行った先生がそう答えていた。
私は先日の原稿である明治の残光の後先に登場した編集者である。
現在、福岡發羽田行きの飛行機に乗っている。
他に担当している神奈川縣の葉山に住んでいる作家さんに合うためである。
この前の先生は、結構音楽好きでcdやlpを沢山持っていて、暇さえあれば其れをかけている。
私が原稿を受け取りに言っているときはブルーハーツのアルバムを聴いていた。
その中で、車輪の下とかほら男爵とか長靴下のピッピという歌詞の曲に対して
「こう輸入文学を読んでいても日本音楽の人間としてある程度は大成するのかな。
輸入文學は資料にしかならないという宗教家(笑)がいたけれども
無理にバックボーンにならないのに谷崎とか太宰とか読んじゃだめだ。」
と流れてくる音楽に耳を傾けながらワープロのキーボードを叩いていた。
実を言うと私は、どちらかといえば谷崎や太宰などの日本文学ばかり読んできた人間だ。
砕けたところで藤沢周平や有川浩あたりというばりばりの日本文学党なのだ。
先生も流れてくる音楽の作者同様、輸入文學ファンとしての共鳴を感じていたのか。
先日、ライバル団体の漫画雑誌で原作をつとめる企劃が展開開始したが、
そのなかでラブレーを愛読しているインテリヤクザ登場するが、ちらりとみた
ラブレーの著作からヒントを受けたのかな。
今度の先生は、輸入文學嫌いな人だったな。
羽田に着くまで時間があるから眠ろう。
おわり
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ああ、すばらしき輸入文學_1

2013-08-21 05:08:28 | 逆襲の藤隆
私、平賀知世は親友である有村佐和子の新宿で行われるビブリア古書店堂なる
人気ラノベの作者のサイン会に足を運んだ。
私は乗り気ではなかったものの、サイン会ついでに脇に売られていた原作本を購入した。
仲に書かれている内容に結構輸入文學に関するエピソードがあったのが興味深い。
「なになに、平賀さん面白かった?」
夢中で読んでいる私に有村がのぞき込んだ。
「うん。輸入文學に関するエピソードが面白いね。」
私はそう回答した。
「ふーん。平賀さんは輸入文學好きだもんね。」
有村はそう答えた。
「うん。小学校の頃から長編文学集とか読んでいたから。」
私の回答に有村は
「小学校時代か、平賀さんは全く語らないから分からないよ。」
という。
このことは回答が決まっていて私は黙って頷く。
「まあ、小学校時代からドストエフスキーを読んでいた。」
少々ふざけて答えた。まあ彼女は嘘だと思っているなと思って。
「はぁ、まあはったりでしょ、」
有村はそう答えた。
「うん。でも輸入文學は日本文学の題材になるんだから、やはり読んでいてそんはないかな。

私は言う。
「谷崎潤一郎や太宰には饒舌なのに、輸入文學には言葉が詰まる文学者気取りが
多いね。」
有村は怒って答えた。
「うん。そういう人は井の中なんとかというと思う。それだけビブリアの作者は分かって
書いているんだね。」
と言う。
それからお互い自分の驛の方に分かれた。
おわり
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温泉で考えたこと。

2013-08-15 05:31:03 | 逆襲の藤隆
「私は本当にとなりにいる有村をどう考えているのかな。」
温泉からアガってMassage椅子に座ってリラックスしている親友有村佐和子を見ていった
「えっ。何か言ったかな平賀しゃん。」
有村はふざけたようなすっとんきょうな表情をしていた。
「私自身、小学校の頃と嗜好が変わってきているなと。」
また、親友の女性を見た。
「変わるんじゃないの。」
私がお守り代わりに持っている写真を見た。
「この小学生のがきんちょのファンでもあるんだろ。」
という。寫眞の主は褐色の元気そうな少年である。
「うん。彼、恋人も生意気にいるけれども妹みたいな者かな。」
私は妙に納得している。
「長い休みになると、遊びに来る瀬戸内の方の子だったね。」
有村は回答する。
「ああ。」
私は現実を飲み込んだ表情をした。
有村にしろ小さな友達である萌美ちゃんにしろただに即物的に女性である。
「まあ、平賀さんは現実を定着させる能力が存在するような。」
有村は答えた。彼女は時折私が迷ったときに答えを明確に出す。
「そう。ここの名産のテルマエ牛乳を飲まない?」
私は有村の話題をそらすように張り紙を指した。
おわり
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明治の残光の後先_2

2013-08-14 04:45:05 | 逆襲の藤隆
「今回の新作能の脚本は私が書いたんだよ。」
と、先生は言う。私は能楽堂を出るとき眩眩しながら出た。
冬なのに眩暈がする。
でも、先生はマルチな才能をもっているのだろう。
「ええと、先生あなたはいつ頃から能に興味を持ったのですか?」
私は話題を切り出してみた。
先生は一瞬考えて、
「そうだなぁ。学生時代私が所属していた文學サークルではみんながみんな戦国時代や
戦国武将に耽溺していて、まるで集団催眠で息苦しいとき南北朝時代に関する
本をよく読むようになったんだよ。そのとき当時のベストセラー菊の名前が存在していて」
先生は、周りの空気を読まずにべらべらとしゃべる。
「菊の名前ですか」
私は先生を遮断するように答えた。
先生は頷いた。
「菊の名前は当時爆発的な人気だったねぇ。鎌倉末期から南北朝時代の寺で起こる
殺人事件というSituationが当時新鮮でね。だから飛びついて。」
先生は苦笑した。
「それで能にたどり着いた訳だ。」
私は一人で納得した。
「まあ、現在の新作の能だけれども、君、あの謡いに食いついていたね。」
先生の表情は私を分かったような感じで言う。
「はい。」
私は図星だという表情をした。
「菊の名前は私の創作のルーツだ。」
先生は自宅に急いでいた
つづく?
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明治の残光の後先_1

2013-08-11 04:49:38 | 逆襲の藤隆
長い石段をのぼりながら、私は作家の家に向かっている。
私は本の編集をしている。
現在私が勤務している会社は福岡に本社が存在している。
ここは、關東・東京からも遠く、大阪・京都からも遠く、名古屋・中京からも遠い
じゃあ、北日本はというと。札幌・仙台からも遠い。
それでも、この街に着たのだ。
特急列車が止まってくれるので、そこまで移動には困らなかったけれども。
彼が、自分の雜誌に小説を書いてくれるのだ。あの人気漫画家の企劃とともに
彼の執筆する企劃を目玉にする予定なのだ。
彼の存在は、藤沢周平と鳥山明と鴻上尚史と同じくらいの実力と存在感がある。
私もそう思っているし、彼もそう言っている。
石段を、登り切ったとき、彼の家が見えた
二階建の古い日本家屋。
縁側で彼が居た。もう冬が始まろうとしていたのに、寒くないのだろうか?
もっとも、ここじたいそこまで雪が降るかと言えば降らないけれども。
「やぁ、まっていたよ。なんだか若い担当だね。」
彼は私を小馬鹿にしたような感じである。
「ええ、新作だっけ。」
彼に玄関の方に案内され、彼の書斎の方に向かっている。
ぎしぎしぎし、床が音が鳴っている。最寄り駅の方におしゃれなマンションがあるから
そんな風な家に住めばいいのに。
「今回の原稿はどんな感じなのですか。」
せっかちな私は彼にせっついた。
「慌てるな。まあワープロの前で話すよ。」
彼のワープロだけれども、とんでもない機種である。みんなが使いたがる機械じゃない。
よっこいしょと、かれはワープロを入れてある機械の座椅子に座った。
なんとosがLinuxだ。
「ワープロ専用機の時代から思って居るけれども、あんまり普及しているマシンは使いたくない」
なんとも馬鹿にした感じだ。
かれはほいと、手にすれば重いぐらいのa4の紙を渡す。
「あの、faxでもNetでも手早く福岡に送る手段はあるでしょう。」
私は苦笑した。
「ああ。そうだねぇ。でも、編集の人間に渡さないと分からないでしょ。
私が執筆していることが。」
彼は飄飄とした感じで答えた。
内容は味も素っ気もないラブストーリーである。
「今回のThemeは不偏性だね。」
彼は言う。
彼の書斎を見回すと、かつて東京一極集中を批判した内容の演劇の戯曲、
あるいは、すごくREALな絵を描くことで有名な作画の人間と組んだ、
Suspensの漫画のコミック、
デビュー時のホラーの短編集が収録された文庫が所狭しと並んでいる。
「私もいろいろ執筆して、好奇心の赴くままいろいろ楽しんだ。
でも、テーマを固めるべき何だ。」
静かながら、彼の重い原稿から其れがうかがい知れた。
「まあ、これ福岡の編集部におくるから。次はNetかなにかでおくるから。」
物事をマジに考えているか分からない人だ。
これからどうかるのかな。
(つづく、でも次回はいつになるか)
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ちむぐーる

2013-08-10 05:20:11 | 信・どんど晴れ
松本佳奈は、小禄さんの愛車、fordのピックアップトラックに乗っていた。
運転するのはもちろん小禄さんである。
bgmは宮古島の民謡である。ハンドルを握っている小禄さんからすれば複雑な感じを
佳奈は、うかがい知ったけれども。
「島唄か。小禄さんてきには無理しているんじゃないのかな。」
cdの入っていない宮古島のAlbumジャケットを持った助手席の佳奈が言う。
「佳奈ちゃん、あんまりこの前の澁谷の集りを見ていて思ったけれども、佳奈ちゃんは
こっちの方が好きじゃないの。」
厳しかった顔をゆるめて、小禄さんが口を開く。
佳奈はううむという顔をした。
関東に着てから、洋楽を聴く人の存在をはじめて知った。Roommateも
ブルース・スプリングスティーンを聞いているという。
「洋楽を聴いていると皮肉にも関東を感じる。」
佳奈はぽつりとつぶやく。
「宮古の親戚も、あまり洋楽は聴かないよ。」
小禄も言う。
でも、本当なのか。佳奈への謙遜だろう。
トラックが代わり、cdは他の曲に移っていた。
小禄さんがその曲を懐かしそうに口ずさんでいる。
佳奈には全く分からない。でも、三線の音が妙に心地よい。
「奄美の島唄って、三線使うの?」
小禄さんが不思議そうに聞く。
佳奈はうなづきながら、
「使うが、本土の民謡みたいな曲が多い。」
と普通に述べた。
「佳奈ちゃん、実はね今度鶴見の親戚たちがエイサーをやるんだけれども、
聞き慣れない曲があるのよ。沖縄本島の曲や宮古や八重山は
聞いたことがあるけれども、そのなかで沖縄音階の不思議な曲が・・・。」
止め処もない小禄の言葉に、佳奈は
「エイサーって、赤い大きな太鼓を持って踊る沖縄の伝統的なあれか。
でも、それに耳慣れない曲だって、もしかしたら本土の作曲家の曲じゃないかな。」
佳奈自身、伝統的な民謡・島唄だけじゃなくて比較的最近の作曲家が作った
島唄の存在が奄美でも歌われているのを知っている。だから声を荒げた。
「あれは、沖縄の伝統曲でも作曲家の曲でもない。」
小禄さんはまたハンドルを握っている手が堅くなっていた。
「そーなのかー。まあ鶴見に行かないと実物は分からないね。でも、なんで
神奈川県の鶴見や川崎に沖縄の人がいるんだ。」
佳奈は小禄に聞いた。
「私も大まかにしか分からないけれども、沖縄の人がハワイに行くために横浜港を
かつて使ったわけ。でも行けない人が留まって神奈川県に住んだわけ。
上野駅のお膝元の下町とは違うわけ。」
表情を変えない小禄を見ていて、Roommate横手淡雪が下町に
取り込まれたくないと話しているのを思い出していた。
車は、
ごみごみとした住宅街に入っていった。
小禄さんは、駐車場を見つけて止める。近くの空き地で赤い太鼓を持って練習をしている
男女の一團を発見した。
「おっ。沖繩のxx(小禄の下の名)じゃないか、なんだ、關東に着ていたのか。」
と、リーダーと覚敷四角い顔の男が、小禄を見た。
「そちらのお嬢さんは、沖繩の人か。大学で知り合ったとか。」
と男性は小禄と佳奈を見た。
「彼女は、私の大学の同級生を介して知り合ったの。」
と小禄は男性に紹介した。
「私は奄美の、加計呂麻島という島の出身なんです。ご存じありませんか?」
男性は顔が曇りながら、
「俺は分からないな。現在見手の通りエイサーをやっているんだ。」
と自らとエイサーの格好をした自分とメンバーを指した
「演舞やってみます?!」
一人が言う。
重い太鼓を漬物樽を持つように、肩手持ち上げ、歌いだす。
「くわしゃもあわれ、ゆるひるぬむゆめ~。」
意味はわからない。傍らにいた小禄が
「この曲よ。沖繩の曲でもないし、現代の作曲家のそれでもない。」
と難しい顔をする。
ふと表情が、変わったのが佳奈だった。
「これは、沖永良部島の民謡だ。親父が歌っていたよ。」
目を丸くした佳奈に
「え、これ沖永良部島の民謡だったんだ。」
と小禄が言った。
「この曲だが、だれかが沖永良部島に赴いたときに、気に入って何曲か
エイサーのレパートリーに入れたと言われたんだよ。」
とエイサーの太鼓をリーダーは叩きながら言う。
「こういうつながりがあるのか。」
小禄が言う。
「關東は奄美とは縁遠いと思って居たけれども、あの、リーダー
奄美の人も結構沖永良部島の曲をアルバムに入れているんですよ。」
と佳奈はリーダーに言う。
「このあと、おばさんが沖繩料理をごちそうしてくれるつて。」
と小禄は佳奈の肩を叩いた。
おわり
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