学歴への冒涜

16日のシンポジウムの準備をしている時から気づき不思議に思っている事があります。

診療看護師と管理職を兼任している人が多い。

臨床家なのか管理職なのか聞かれたら、私の答えは臨床家です。毎日80％の仕事は患者ケアで、残りの20%がその他の仕事になります。

日本では副師長、師長、臨床教育を兼任していたり、はたまた看護師として雇われている診療看護師がいるとか。

？？？？？

修士学位を持っていると言う事はリーダーシップを持ち、医療をミクロの視点からマクロの視点で捉えてポリシー作りにも長けて、研究力も持ち合わせている事。管理職にはもってこいです。

しかし上記は診療看護師のみでなく、医療系の修士以上を持っていれば誰でも出来ること。私が卒業した大学院では修士の基礎学の他に診療関係の科目が膨大にあり、ナースプラクティショナーと言う臨床家を育てる課程です。管理職を目指す人は管理職用の課程を受講します。日本には看護系大学が277校あり、修士課程を提供しているのは100校あまり。診療看護師の課程は8校。診療看護師課程以外を卒業されている人で管理職を賄う事は出来ないのでしょうか？臨床家になるべく教育を受けた人が管理職に時間を費やしているのはもったいない事です。

私は先に自分の事を臨床家と呼びました。しかしお給料の体制は？と聞かれれば一般の看護師や師長レベルとは異なり、管理職系のラダーの中の入っています。そして大勢の看護系の職種が入っている労働組合には入る事が出来ません。職場の位置付け的には管理職と呼ばれる位置です。それなのにNPは管理職的な事をしない不思議な職種なのです。

因みに私が働くBC州は
看護師は学士 (3年制卒業生が認可されなくなったのは15年ぐらい前。でもそれ以前に免許を取った人は免許を保持する事を許されている)。
師長などの看護職には学士で十分。
NP、CNS、CNE、部長以上の職種には修士以上の学歴が必須になっています。

カナダ全体の看護師人口で修士以上の学歴を持っているのはわずか5%。私が卒業した時の大学の振り分けは学士の卒業は300人、修士(NP と他のストリーム課程) は30人、博士は3人。数からもわかるように修士以上の学位は大量輩出ではなく、質の高いエリート作りの課程です(私が行った大学は学士、修士、博士の3課程がありますが、修士以上の教育課程を併設していない看護大学の方が多い)。そのようなエリートの学歴を持っている人に学士で十分な仕事を与えるのは、学歴に対する冒涜です。

副師長や師長の仕事はフルタイムの忙しい職種。日本の診療看護師はどうやって臨床の仕事と兼任しているのでしょうか？全くもって理解不能な日本の看護界です。



なんだか食べ物の写真ばっかり。こんな定食が食べられるのも日本の良いところ。副菜が美味しい！！！