走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

一理あるけど

2017年03月19日 | 仕事
昨日の方、20代の頃から慢性疼痛で麻薬のお世話になっている。過去にトラウマの経験があり不安症からベンゾ系のお薬のお世話にも。使用量はうなぎのぼりで、一度高用量を使うとそこから減らすのが難しい。

救急では依存症と呼ばれ、処方してくれる医師もいなくなった。

で、私の患者になってからベンゾ系の薬を減らす事になったのだ。

説明をしている時、

私は61歳。こんなに様々な病気に悩まされているから長生きはしない。もうすぐ死ぬような者に、どうして減量なんてことをしようとするの?

と言われた。一理ある。しかし、誰が彼女の余命を予測できる?もし彼女が床から出る事さえ出来ない人なら私も考える。健康とは言えないが、歩行器を使えば歩く事ができ、介護の世話にもなっていない。

それに不安症の在宅治療はベンゾ系より習慣性の低い他の薬を使用するべきだ。その旨も伝えた。彼女の話も聞いた。長い人生の話だ。モチベーショナルインタビューも使った。

今まで依存、依存って言われるばかりだったけど、あなたは私の気持ちも聞いてくれる。私の体を気遣ってくれるのがわかるし今まで出会った医師とは違う。じゃあ、やってみる、と言ってくれた。

長い道のり。上手くい気ますように。



夜明け

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