走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

冷血人間

2015年05月08日 | 仕事
COPD(慢性閉塞性肺疾患)を持つサマンサの調子が悪い。喘鳴、息切れ。その上ステロイドのディスクをなくし使用していない。息子が薬物依存症を直す施設から逃げ出し行方不明。精神的ストレスも高い彼女。

COPDが悪化した時の薬も服用しているのに良くならない。私は死ぬのではないか?と。不安が非常に強い。彼女の前回の記事はこちら

診察をしてみるとそんなに悪くはない。彼女の不安を受け止め、リラクセーションのテクをすると結構落ち着いてきた。

しかし診察の終わりに彼女が私に言う。
睡眠薬とT3を処方以上に服用した。だから不足分を処方してほしいと。同じ頼みごとを聞くのはこれで3度目だ。薬物依存歴のある彼女。調子が悪ければいくらでも薬を服用していいと判断するのだ。こういう傾向があるので1週間ごとの処方にしているのに、これでは意味がない。前回、もし同じことがもう一度起こったら、誘惑に対してコントロールできないと言うことで1日ごとの処方にしますよ、と言ってあったのに、、、。

今回は引かないサマンサ。私のことを冷血人間だとか、病人の苦しみをわかろうとしないとか、他の医師は問題なくいくらでも処方してくれたのにと。

彼女の睡眠薬はすでにマックス量だ。それを増量している彼女。そこに目を瞑るわけにはいかない。薬物依存患者の習性を助長するようなケアを私は絶対しない。何と言われても私は態度を変えなかった。

彼女の捨て台詞は、他の医者に行って処方してもらうからいいわよ!

どうぞ御勝手に、、、、。



先日行ったブッシュキャンプへの道はピクニックでもしたくなるほど。



キャンプは廃墟と化していましたが。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。