走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

駄々をこねる

2020年08月24日 | 仕事
以前書いたブログの補足

経営費用が高い多種職のコミュニティー診療所を政府は作ろうとしているか?それは医療の発達により医師による診察と治療だけでは上手くいかない複雑な病状の患者が増えたから。看護師の介入、薬剤師の介入、カウンセラーの介入、ソーシャルワーカーの介入。チームで患者の健康の向上を目指すと言うわけだ。これは病院で既に取り組まれている図式。それをコミュニティーへ持ち込む事が政府の方針。

しかし運営費が高いのに???

経費は高いが上手くいけば入院患者数を抑えられる。そう、入院患者を減らす為の将来への投資なのだ。既存のクリニックシステムの運営費用(医師の人件費を含む)は1.2 ミリオン 同じ規模で多種職クリニックは2.5ミリオン。しかし一人当たりの入院にかかるコストに比べれば安いもんだ、というわけ。入院中にかかる費用が州の医療費を圧迫している。入院もコミュニティーも全てを賄っているカナダだからこのような発想になる。

しかしあの会議に参加していた医師たちはこんな事さえわかっていない。そして他の職種と協働して患者の健康向上にケアしていくには多種職間でのコミュニケーションが重要だ。多種職を自分のクリニックによこせと言った医師はそのような時間を設けるつもりなのでしょうか?私は答えを知っています。多くの医師が嫌がる事を。多種職と話す時間は医師にとって報酬にならない(雀の涙程度の報酬手当しかつかない)からだ。看護師時代の経験でよくわかっている。

複雑な患者を避け、複雑な患者のための医療に反対する。全員がそうだとは思わないけれど、声を上げていた医師達が駄々をこねている子供に見えてしまった夜でした。

さ、本日から夏最後の休暇。フェリーに乗って島へ。久しぶりの島生活〜


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