走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

看護の多次元性と多様性

2020年07月25日 | 仕事
昨日、看護を2つに分けるなら技術と理論と書きました。

で、海外の看護先進国の大学院で学ぶのは看護の背骨。看護理論なのです。看護のフィロソフィー。こう言うと、OO理論はXXを重要視、、、と表面的な事を学ぶと勘違いする人が多い。何度も何度も書いていますが大学院では次元の異なる看護の視点を養う場所。エキスパートは医療を縦割りにした分野(例えばICUやERや循環器、小児、透析などなど)を深く追求して行く事。しかし修士以上で学ぶ看護学は一つの物事を様々な視点で考察できる力です。エキスパートが一元とすれば看護学は3次元4次元と広がりを見せるものです。だから学士では学ばない違う次元の看護となるのです。その力量は背骨をより強くしてくれます。

違う次元って何よ?と思われるでしょう。そのうちの一つがマクロのケアです。これについても何度も書いてきています。看護師は患者1人1人のケアを考え実行する。APNは患者を集団の事象として看護の介入を行います。それが病棟での一対一の看護ではなく地域や国や世界を見据えたグローバルな看護となるのです。

で、こう言うとじゃあ、エキスパートよりAPNの方が偉いの?凄いの?と言う話になり、エキスパートな看護師は自分を否定されたように感じられるようです(日本訪問中やSNSで私は経験)。もしくは私だって大きく考えています!と言う方も。んんんんんん、説明につまります。私だって看護師時代はわかりませんでしたから。「人間知らない事を知らない」の説明につきます(凄く大袈裟な例えになりますが、学びもしていないのに私はそれができます!って言うのは弁護士に向かって私も刑事訴訟法を知っています!って言っているのに近いものがあると思う)。どちらが偉いではなくて、昨日も書いたように同じ看護師でも違う。違いがあるから知識を修得する場所も学び方も違うのです。私が働くカナダでは全看護師人口の5%しか修士以上の学位を持っていないので選ばれた人、努力した人とも言われます。そして臨床では業務も異なり次元の違う事をしているので、それを認められて給与も学位がない人に比べて高額です。

おっと横道に逸れそうになった。私がカナダで知り合った同僚にはずっとエキスパートナースとして専門分野で看護を楽しむ方もいれば、何個も認定をとって数を増やす事を楽しみにされている人もいました。看護の楽しみ方はいろいろです。看護の中にも向き不向きだってあります。それで良いのだと思います。大学院は誰にもアクセスがありますが、誰でも入学できるところではないし、卒業に辿り着ける所でもありません。2年の時間を費やしたのではなくて、自分が追求したかった臨床の疑問に答えを見つける事ができた人が学位を得る場所です。その時間と労力には敬意を払って欲しいと思います。敬意を払うと言うのは給与、そして働く環境も。そして貴方が管理者なら折角のAPNの才能を無駄な場所で埋まらせないでくださいませ。間違っても一般の看護師と同じ病棟業務をさせるなんて才能の無駄遣いにも程があります。いやー1:7の診療報酬制度の壁があって、、、と言うのならその壁を取り除くために何かを始めてくださいませ。壁は眺めていても何も変わりません。その間にAPNの才能は無駄遣いされるのです。そして貴方がAPNなのなら自分を売り込む事ができるぐらいの自分の使命感やビジョンを持ってくださいませ。環境がないから、管理者や同僚に理解してもらえないから、と他人のせいにしているようではAPNとしての度量を疑いたくなります。

だらだらと書いてしまった。昨日と今日のまとめ看護は専門分野による多様性と理論による多次元性がある。一本道でも階段でもありません。

続く



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2 コメント

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法学に引き寄せると、 (舶匝(@online_checker))
2020-07-25 10:34:54
比較法学に近いのかも。
たとえば、
経済法(競争法)や知財では、
日本・米国・EU・中国は、
それぞれ若干の違いがありつつも、それぞも発展。それぞれを比較し合いつつ検討することで、理解と腕を上げるものです。
(それらの界隈では、当局間の三極・四極協議もそれなりに盛んです。)

日本法の中でも、行政法と民訴法は意外に密接な関係があったり、経済法と知財との関係も無視できなかったり。かといって、それらとの領域と、債権回収やクレサラ案件との間に優劣が付くわけでもなく、畑が違うだけの話。

「貴方が管理者なら折角のAPNの才能を無駄な場所で埋まらせないでくださいませ。」
オーケストラの指揮者の中には、色々な楽器を弾ける人もいて、中には演奏会で楽器弾き引きつタクトも振る、という人もいます。
ただ、指揮者と奏者とでは要求される素養が少なからず違います。大物オーボエ奏者が指揮者に転じたものの、身体にガタが来てついに指揮者を辞めた、ということも。

身体にガタが来ない範囲内で御尽力を、と願いたいです。
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Unknown (missy0806)
2020-07-26 00:47:24
船匠さん はじめまして!何度も読み返して んんんんんん?これはどう受け取ったら良いのだろうか?と考えました。答えが見つかったわけではありませんが自分の都合の良いようの受け止める事のしました。そう言うポジティブ思考も自分の長所だと思っています。信じている事を真っ直ぐと。お気遣いありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
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