走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

病気の保障

2018年12月04日 | 仕事
この方、胸痛で来診。脂汗、顔は真っ青。心筋梗塞の疑いが高く救急車を呼ぼうとすると断固として断った人。説明した事を書き上げて、私の勧めを拒否した旨に署名をしてもらった(後で聞いてないと本人や家族から訴えられてはたまりませんから) ぐらい。

で、外来で行った心電図や血液検査も陰性。ストレステストに行ってもらいました。ここではっきりしなかったため、専門医がMIBIテストに送りました。

で、この彼初回の胸痛からずっと胸痛が続いている。不安で仕方ないそうだ。不安症もある人です。MIBIの結果も陰性。MIBIの結果を伝えている時に、何度も「本当に大丈夫ですよね」と聞きます。

これに対しては、2つのテストが陰性だった。心筋梗塞も狭心症もないと言えます。しかし先の言葉と同時に「これからも大丈夫なんですよね」と聞かれます。

うーん。彼は高血圧もあるし、高脂血症で、タバコがやめられない。今は心筋梗塞も狭心症もないけれど、これからもそうだとは言いきれません。だから禁煙し、運動もしましょう〜〜と言うけれど、彼が望んでいるのは将来の保障。

将来の保障はないんですよ。がん検診で引っかからなかったのは、今ガンが見つからなかっただけで、将来もならないの保障でないのと同じ。罹患のリスクは生活習慣によって変わる。それでも可能性はゼロではない、、、とても理にかなっているけど患者にとっては理解したくない事実なんだろうなと思った午後でした。


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