走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

中絶へのアクセス

2018年01月19日 | 仕事
日本では中絶を行う産婦人科があちこちにある。しかし北米ではそうはいかない。なぜって宗教の思想のためです。

キリスト教では胎児を人間と認め、その命を絶つことは殺人に等しいと考えるからです。なので中絶ができるクリニックの前で抗議活動が行われたり、嫌がらせだって。

しかし人権の意識が高い国でもあるので、もちろん妊娠の継続や中断を選ぶ権利は認められている。権利はあるが社会の目は厳しいといえばわかってもらえるだろうか。

こんな状態なので中絶が出来る施設は限られアクセスが難しくなる。NP学生の時、実習先で高校生が中絶を希望して200kmも離れたバンクーバーまで行かなければならなかった。親に隠れてなんて事は出来ない状態。だって親に頼らなければ誰が連れていってくれるの?

望んでいない妊娠をしてしまうと、どうして良いかわからない女性は悩み、時間は刻々と過ぎて中断するタイミングを失う人は多い。

だから北米ではその妊娠の防止に躍起になる。なので経口避妊薬や注射、パッチ、リング、そしてIUDと早くから始める。

こう思うと日本は逆。中絶出来る施設は多く、避妊治療は積極的に行なっていない。

どっちが女性にとって良いのでしょうか? 私は両方が大切だと思います。避妊治療に積極的で、中絶施設へのアクセスは良好に。この二つが女性の苦しみを軽減すると思います、と先日の彼女を診察後に考えていました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。