走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

違いがわかる看護界へ

2019年07月22日 | 仕事
私が日本の看護界で1番問題だと思うことは、スタンダードもレギュレーションもないのに

認定看護師
特定行為看護師
専門看護師
特定行為看護師

と乱立を行ってきたこと。リーダーシップの欠如と題して書いた以前の記事はこちら。

先日書いた記事で認定看護師さんの気分を害したようで。ツイッターでコメントをみつけました。名前が書かれていなくても私が書いた事に対する反応だとわかります。

私はどちらが上か下かなどはどこにも書いていません。自分が働くカナダのBC州で認定とナースプラクティショナー(NP)の2つの職業がどう違うか書いただけです。日本でも名前が違うのなら、看護の団体がそれぞれがどう違うのか明確に説明できるべきです。それが欠けているのです。不明確さは世の混乱を招きます。

逆に考えてみましう。それぞれの違いが明確で、それらに対する教育課程の違いも明確であれば、キャリアパスが明確化されます。看護師プラスアルファ的な業務内容に対する付加価値が明確になるのでそれに対する給与も明確になります。雇用側も違いがわかり期待する内容も明確になります。同僚者もそれぞれのタイトルを保持する人が何であるかわかります。こうなれば国民も理解できるのです。そして何かあった時の弁護にも役立ちます。

勉強を沢山して頑張っている認定だから診断ができるなんて言ってもらっては困ります。診断学は数ヶ月かじれば、とか数ヶ月間学んであとは臨床で実践すれば出来るようなものではありません。診断学そのものは看護の延長線上にあるものではなく、全く違うものです。医師と看護師が異なる仕事と認められているように、カナダではNPとそれ以外の看護師は同じではないのです。それと同時に診断学をマスターしても医師とNPは異なります。違いがはっきりしているから協同できるし尊敬しあえるのです。違う職業だと言っているのであって、どちらが上か下かなんて言っていませんよ。

私はカナダで緩和ケアの認定看護師を経てNPとなりました。認定の仕事に誇りを持ち生涯の仕事としている同僚もいます。しかし私は違うものを求めNPになったのです。どちらが偉いかではなく、その資格を保持するためにかかった時間と労力とその仕事をする責任に相対した給料をもらい社会的地位もあります。

このツイッターで書かれていたコメントはこの方だけではありません。今回の日本旅行で、認定さんから同じような反応をもらいました。20年も行ってきた看護協会の事業です。多くの人が認定を保持し日々活躍されてそれを自負されている事でしょう。しかしだからと言って2年もの大学院というハードルをこなしてきた診療看護師や専門看護師と同じと思われたいと言うのは、誰にどんなメリットを生むのでしょうか? 「同じだ」と言う事で日本の大学院教育の質をコケにしていると思いませんか? 認定を取って臨床で頑張れば大学院を卒業した事と同等に認められる、と言っているのと同じですよ。大学院は職業訓練機関ではなくてグローバルなリーダーを育成する学問を学ぶ場です。

そして今年のシンポジウムで何度も言いましたが、診療看護師と専門看護師は大学院卒業者として、自分の使命を明確にし、学士保持者とは異なるAPNらしいプラスアルファをしっかり認識し日本の医療界の発展に貢献して欲しいと思います。

そしてもう一度。日本の看護師を総括する団体となる日本看護協会は看護界のリーダーとして乱立するOO看護師についてスタンダードやレギュレーションを作るべきです。それが日本の看護の質の向上への第一歩となります。私は強くこのメッセージを発信し続けたいと思います。



短歌発祥の地、須賀神社は島根県にあるのです

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