走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

おめでとう

2015年02月02日 | 仕事
オルガは元看護師。現役中に薬物依存となり病院の薬を隠れて使用するようになる。注射部位からの感染で指を数本失い片手全体の機能も失った。傷が治り次第服役となった。服役終了後直後に母国であるカナダへ強制送還。息子を頼ったが一緒には住めないと追い出されホームレスに。

そんなオルガに出会ったのはホームレスになった直後の夏のこと。シェルターに来たけれど途方に暮れていた彼女。薬物を絶って4年が経ち、その問題はないがうつ病や高血圧、その他もろもろの慢性病のため内服薬は多く定期的な診察が必要だった。BC州の身分証明書や保険証もなかった。そういう手続きをして3ヶ月後までサンプルの薬で繋いだ。

彼女のような高齢者は社会復帰を目的としたテンポラリーの格安のハウジングに入りにくいが特例で入居できたのが夏の終わり。働けない代わりにボランティアを週に数時間頑張った。

障害者手続きをして収入の安定を図かればパーマネントの住居が決まると、申請したが見事に断られた。再申請して通ったのは1月中旬。

そして今週、住む家が見つかった。3月1日付で入居できる。60歳以上の障害がある人用のハウジングだ。狭い部屋だがれっきとした自分の家。オルガは嬉しそうに報告してくれた。

服役中の話を時々していたオルガ。テレビや映画より酷い状態で服役中に精神状態が不安定になる人が多い理由がよくわかった。

辛い年月を経て、ようやく得た安住の地。それも生まれ育った地で。息子との関係も改善し程よい距離を保っている。息子におんぶに抱っこではなく、辛抱強く待ち続けて得たカナダでの新しい人生のスタート。私も自分の事のように嬉しい。




私が撮った写真ではありませんがとても綺麗に撮れているので拝借を。ゴブリンバレー州立公園、ユタ州

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