走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

帰る住処

2016年03月18日 | 仕事
月に一度、アクティブな患者とそうでない患者をチェックし、4ヶ月以上受診していない患者のカルテを閉じるようにしている。こうする事で本当に私を必要としている患者さんを残し、閉じた分新しい患者さんを受け入れる事ができる。

ただ閉じるだけではない。電話を持っている人には電話をかけてその意思を確認する。3人に1人ぐらいはその電話を感謝し再び受診に来るようになる。受診していなくてもハイリスクな人で地域に住んでいる事が確認できれば残すようにしている。ほとんどの人が他の街への引っ越し(移動)がカルテを閉じる理由だ。

月に平均10人ぐらい閉じて10人ぐらい新しい人を受け入れる。

先月は忙し過ぎて出来なかったので今月は2ヶ月分しなければならなかった。

あ、この人シェルターで見かけなくなったよなー。引っ越しできたんだー。とかカルテの記載を読みながらその患者を思い出す。

ハイリスクでフラフラと居住地を変える人。継続的なケアが大事なのに、、、どうしてるかなー?と心配する。

子供の頃からフォスターファミリー*を転々として、6ヶ月以上同じ住所に住んだ事がない20代前半の子がいる。トランジショナルプログラムにいて6ヶ月を過ぎたところ。それをとても喜んでいる。同じ場所、周りのサポートも同じ、そんな些細な事で喜びを感じる。帰る住処があるって大切な事だよね。

*BC州には孤児院はありません。フォスターファミリーシステムがあるからです。親が亡くなったり、親が子供の面倒をみれない状態(病気、薬物依存、犯罪、虐待など)の場合、子供はフォスターファミリーに預けられます。政府は養育費としてお金を支払います。フォスターファミリーは審査登録された家族です。フォスターケアから仲が深まり、親が親権を放棄すれば、養子縁組を組む事もあります。しかし、残念ながらお金目当てで酷いケアをするファミリーもあり、逃げ出す子供たちもいるし、フォスターケアがトラウマ体験をしてしまう子供たちもいるのが現実です。



あー我が家の庭にも春が来た。蜂が早速忙しそうに舞っていました。

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