走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

医療者に求められるもの

2016年03月03日 | 仕事
You changed me.

と言われた。

50代後半の彼は8年のホームレス生活と薬物依存性の歴史がある。彼に出会ったのは2014年の夏。

痙攣の既往があるのに抗痙攣薬を飲むのはいい加減。C型肝炎もほっておけばいい、血便陽性も、ポックリ死ぬからどうでもいいんだ、だった。箸にもかからない人だった。積極的にクリニックに来るような人ではない。しかしアウトリーチの時に会えば声をかけるような関係だった。

で、彼が今週クリニックにやって来て障害手当の申請、大腸スコープをする、C型肝炎が治療できるかどうか診てほしいとやって来た。薬物使用は減り、このままタバコも何もかも止めるつもりという。ホームレスから抜け出したい。家探しを真剣にやっているとまできたもんだ。

ビックリして動機は?と問うと初めの言葉が返ってきた。

?????

私のことをfair, cheerful, positive (平等、明るくて、前向き)と言い、クソみたいな人生だったけど変われるかな?と私を見ていて思うようになった、と。

あら、嬉しいことを言ってくれるじゃない。本人のやる気さえあれば、前へ進めます。

教科書に書いてあるようなことを説かなくても、人を変えることがあるんだと思った。医療者に求められるには診断や治療能力もだがそれ以上に求められるには人間と向き合うことができることではないだろうかと感じた。



日本からやって来たお雛様。今年も晴れ舞台です。

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2 コメント

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嬉しい言葉ですね (kay)
2016-03-03 12:16:36
美加さんの存在が患者さんの人生をプラスに変えたことを、
患者さん自身の言葉を通して実感できるのは、素晴らしいですね!
人と向き合うこと。わたしもそれが基本の基だと思います。


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Kayさんへ (美加)
2016-03-04 10:39:43
患者さんから言われる言葉が一番嬉しいものです。そして難しいと言われる人が前向きになることが一番嬉しい。仕事していて良かったなーと思う瞬間です。ありがとうございます。
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