走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

やりくりができる人の意味

2016年05月25日 | 仕事
昨日の記事でコメントを頂いたのでそれにお答えして。

コメントは母子家庭への支援

母子家庭でも働いているのかそうでないのか、何人子供がいるのかで収入は変わります。





昨日の彼の母親は病気で働けない、子供は未成年が2人。

という事は彼の家族はG でUnitサイズが3。月に支払われる収入は
$423.58
そして賃貸料として
$660
BC州は地価高騰で賃貸料金もウナギのぼり。私が住んでいる町の1BR (日本でいう1LDK)が$880からと言われています。3人で一部屋に寝ているとしても不足分$220は$423.58 から出すようになります。

現在12歳以下の子供一人当たりカナダ政府から$60支払われますが、この彼の家庭は弟だけが対象なので一人分$60がエキストラの収入として入ってくるのみ。どうも州からも19歳以下の家族に上乗せがあるようですが金額の計算はいろんな事が関係してくるのでオープン情報ではないようです。

という事で食料費と光熱費を月$263.58でやりくりしなければなりません。
フードバンクという収入が低い人のためのフリーの食料品を支給してくれる場所へ毎週せっせと通えば食料費はかなり抑えられますが、それでも贅沢は全くできない状態です。

ちなみに我が家4人家族の食費は嗜好品を除いて月$400-500 ぐらい。外食は含まれていません。

ちなみにBC州の物価は

タバコ200本が$104.90 (これも13州のうち7番目に高い州)
1Lの牛乳 $2.11
卵1パック$3.38

やりくりというのは病気がなく頭がちゃんと機能している人ができる事。重症の鬱状態の人はこういう事ができなくなるし、外へ出るのも億劫になってしまい、フードバンクに通えない人がほとんど。なので彼の母親はフードバンクを利用していないと推測します。月の半分は食料が全くない状態が起こりえるという事です。

母親が治療しようと積極的ならそれなりのサポートが受けられる事もありますが、話を伺う限りその可能性は低く、子供が酷い環境のもとで生活している事を想像します。

もし母親が喫煙者だったら、月に10箱のタバコを買う人なら食費の半分近くがタバコに消えてしまいます。

悲しい現状です。

フードバンクはボランティア団体で個人や企業のドネーションで成り立っています。政府からの支援もあり、使用者は収入を証明するものを持参し登録しなければなりません。1週間に一回ぐらい開催され、家族の人数分に見合ったものを選べるようになっています。しかし賞味期限の長い缶詰や箱ものが多く野菜などは不足がちです。鮮魚や肉は全くないと言っても過言ではありません。

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2 コメント

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こんにちは (のびた)
2016-05-25 16:19:02
詳細のデータ ご紹介頂きありがとうございます
まだ お仕事のことさえも理解できずにいることもあります
つたないコメントに対して恐縮の限りです

フードバンク 通常の頭では使えるものを この状態では無理ですね
それにしても こうした制度は食品ロスに対しても 効果があり日本でも導入を急ぐべきですね
イギリスでもフードバンクがあると聴いて居ます
こちらで言う民生委員 母子家庭や高齢者の支援相談を
される方 街のボランティアに等しいですが 行政の補助になっています
このような制度で 訪問や相談がされると良いですね
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のびたさんへ (美加)
2016-05-27 04:20:20
いえいえ、コメントは大歓迎です。励みにもなるしブログのアイデアにもつながります。医療界で生きていると慣れてしまって、医療界外の人に説明不足になってしまいがちです。新鮮な言葉はそこに気づかせてもらえます。ありがとうございます。
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