可愛い子には 旅をさせろ・・・
絹甫が入院して以来、ず~~っとこの言葉が頭から離れません。
親と子、逆さまと言われるかも知れませんが、実際その通りでして。
祖母である初代から押絵の跡継ぎとして英才教育を受けた絹甫は、押絵以外は何一つすることも、さされることもなく生きてきました。
父が初代に、絹甫と結婚させて欲しいと言った時、
「押絵以外のことは何も出来ませんけど、それでもよろしゅおしたら、どうぞ」と言われた父。
当然、社交辞令だと思いきや、正真正銘だったと気が付きますが・・・もう後の祭り
そこから父と娘による、お姫様サポートクラブが発足した訳でござりまする~~
絹甫を大切にすることこそが生きがいのような父。
その父から幼い私は「松恵はお母ちゃんを助けるのが役目だぞ」と洗脳され、かけらの疑いを持つこともなく、うま~く育てられてきたモンです。
膝の固定をされてから、もう少しで3週間。
最初の1週間ほどは完全に笑顔が消え、初めて見る絹甫の暗い表情に、こちらの胸も締め付けられるようでした。
でもただ一つ、良かったと思うことが!!
絹甫が父に対して、これまで見たことのない優しさを素直に表わし出したんです。
父はいつでも、絹甫を大事にし過ぎるあまり、煩がられて来ていましたが、そんなに優しい父に対する自分の感謝の無さを反省することしきりで「罰が当ったんですわ」と、
主治医の先生にまでお話したり・・・
それを聞いて、生まれて初めて位の喜びをかみ締める父!!
「退院したら、今度こそ仕事の時間を減らして、少しは旅行にでも付き合ってくれよな」
「ほんとにそうやったわね~~」と絹甫!?
あ~~美しきかな、夫婦愛・・・
大変な代償を払ったかも知れませんが、脳梗塞のおかげだな~と、私は、思いました。
しかし、聡甫は冷静でした。
「おばあちゃんが絶対そんなはず無いわ。退院したら、まぁ2週間がいいとこやろと思うよ」
「???!!!」
固定したままの状態でリハビリが出来るようになった頃から、だんだん元通りの元気な顔になり、私の胸のつかえが無くなるのと平行して、父の立場も逆戻り・・・
心配して苦言を呈する父に「もう帰って帰って!!」
したり顔で聡甫が
「この頃、2日が限度かと思ってたけど、やっぱり2時間もムリやろね~」
祖母を知るに、孫に如くはなし・・・
てな訳で、片膝伸ばしたままですが、気分的にはもうすっかり元気印の絹甫ですので、
皆さま、どうぞご安心くださいませませ。
父がちょっと、胸が痛いとか・・・
そりゃ~中も外も、痛みますわね~~