もじもじ猫日記

好きなこといっぱいと、ありふれない日常

「かもめ食堂」

2006-05-16 21:24:04 | 映画
ああっ、もう、好き好き、こういうのっ!
と、映画の内容とはうらはらに、興奮気味に、
しかし、しんとした幸福感に包まれた帰り道。

フィンランドのかもめは、優しい目をしていた。
かもめなんて、結構こずるい目をしているもんだと思っていたのに。

トラムの走る街中に食堂を構えたサチエ。
異国の地で、
いつ来るともしれない最初の客を待っているのに、
ちっともあせらずにグラスを磨く日々。
そして、記念すべき最初の客はオタクの青年。
ガッチャマンの歌詞を聞かれて、
思い出せずに気になって仕方ないところに出会ったミドリは、
すらすらと歌詞をノートに書いてくれる。
それも縦書き。(個人的にツボ)
私はフルコーラスで歌えますけど~。
というか、心の中で歌っていたよ。

気がつくと、ミドリはサチエの部屋に居候をして、
食堂を手伝い始めている。
毎日不機嫌そうに店を覗いてゆく女が一人。
彼女はサチエが笑いかけても反応もせずに立ち去ってゆく。
ある日、その横に日本人が立っていた。
飛行機会社に荷物を紛失されたマサコだった。

このマサコの登場から、さらに話は面白くなっていく。
マリメッコの洋服が妙によく似合ったり、
飲み比べのときの無言のうなずきの男前かげん、
酔った女を抱きかかえる時の要領のよさ、
森でのきのこ狩り、
彼女だけがリアルと非リアルを行き来する。

丁寧に作られるけれど、ありふれた食べ物の輝きは、
サチエが食べ物を愛して、信じていることの証だと思った。
焼鮭やとんかつや肉じゃが、
そしておにぎりが、
おいしそうに光って見えたもの。

最初から気になっていた港の猫おやじが、
あんな風に絡むとは、
猫好きとしては、むふふと笑ったね。

三人は身の上話をしあうわけでもなく、
でも互いを信頼していることが伝わってくる。
おいしいコーヒーの淹れかたを教えてくれた男の人生も、
夫がいなくなって荒んでしまった女も、
「どうして?」が解らなくてもいいこと、はあるのだ。

くすっと笑える場面が多く、
市場やプールなどの街の様子もステキで、
さらにサチエの洋服とエプロンがキュートで、
お店のしつらえも台所用品もかわいくて、
観ている間、楽しかった~。

「かもめ食堂」
本当にあったらぜひ行きたい。
もちろん、場所はフィンランドで。
コメント (17)
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