もじもじ猫日記

好きなこといっぱいと、ありふれない日常

「ある子供」

2006-05-22 21:58:37 | 映画
名画座にて。

ソニアが赤ん坊を抱いて部屋に戻ると、
そこはブリュノが勝手に貸し出していた。
部屋を空けるのは、わずか一週間のことだというのに。
ブリュノはチンピラともいえない、
不良が歳を重ねただけのつまらない犯罪者だ。
子供に盗みをやらせて上前をはねたり、
路上で小銭をねだったり。
20歳ともなればその日暮らしにも程があろうが、
始終ソニアとじゃれ合う姿を見て、
ため息が出るほど子供なのだな、この二人は。

ブリュノが子供を売ってしまったのも、
邪魔だとかうざいとかの感情が働いたわけでもなく、
『あ、これって売れるんだっけ』
ぐらいな感じで。
盗品を捌くのと大差なく。

しかし、ソニアは卒倒するくらいのショックを受ける。
捕まりたくないからか、
ソニアの心を取り戻すためか、
子供を取り返しに走り回るブリュノ。
やっとのことで子供を連れ帰ったが、
ソニアに冷たくつきはなされる。

全ての行動がその場しのぎで、
人生の”じ”も考えていないようなブリュノが最後にした選択は
大人への階段を登る、大人になる決意をする、
などというよりも
”明日のことを考えるようになる”くらいの気持ちの変化だろうが、
とても大きな前進だったろう。

前作「息子のまなざし」と同じように
全編音楽がなく、
手持ちのカメラで映し出される映像はドキュメンタリーのようで、
ぐいぐいと引き込まれる。
コメント (3)
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