井の頭公園のはな子さん

「７２時間」というＮＨＫの番組は
時折ディレクターの意図が見え見えの残念回があって
はな子さんの回はそうだった。

はな子さんは長く生きている間に
勝手に入ってきた人間を踏んだことがあるんだよ。
その後にも事件があって
「恐ろしい象」とレッテルを張られて疎まれていたことがある。
それに全く触れないで
『みんなに好かれている長生きのはな子さん』に仕立てていた。

はな子さんに会ったのは２回ぐらいだと思う。
一番最近は５,６年前かな。
秋の曇り空の下ではな子さんはお客さんを見ないで
ゆらゆらしていた。
どこにいるとか何も考えてないように。


子供が笑顔になったのも
自分の人生を重ねてた老人も
危険だと恐れて鎖でつないだのも
その鎖を外せるようにしたのも
人間が勝手にやったことだ。
はな子さんは自分の寿命を生きていただけ。

はな子さんの魂は、暖かな故郷に帰ったのだろうか？