もじもじ猫日記

好きなこといっぱいと、ありふれない日常

「ニコラス・ウイントンと669人子どもたち」

2016-12-30 15:48:43 | 映画
2016.12.28

ナチスのユダヤ人迫害はドイツ国内に止まらず、
侵略したチェコスロヴァキアから、ユダヤ人の子供を国外に逃がしたのが
イギリス人青年ニコラス・ウイントンだった。
彼はビジネスに長けた普通の青年であったが、
友人に誘われて行ったチェコスロヴァキアの難民キャンプで事の重大さに気づき
その商才をフルに発揮し
資金の用意、受入国との交渉、子どもたちの合理的な輸送手段をやり続け
669人の子供をイギリスに脱出させた。
1939年3月14日から8月2日までのわずかの期間にだ。

映画の中で彼は何度も「商行為のように進めなければならなかった」と自分を責めるように話すが
子供たちに番号を振り、カタログから選ばせるように受け入れ家庭を探したことをいうなら
優れた手段だったと思う。
子どもたちの写真、名前、性格などをノートに記し、
子どもを選んだ家庭の調査までしていたのだから。

ニコラス(映画内ではニックと呼ばれている)は最大の輸送として計画をしていた250人の子どもたちが
第二次世界大戦勃発のため脱出できなかったことをずっと悔やんでいた。
そのためか自分の成したことを語ることはなく
妻が子どもたちのノートを発見する50年後まで
彼が助けた子供たちが事実を知ることもなかったのだ。
子どもたちは世界各地で生き延びて、その家族を含めると6000人まで命を繋いでいた。

当時の実際の映像と、現在のニコラスや大人になった子どもたちのドキュメントのコントラスト。
助かったと解っていても、緊迫感が高まったあと
今を生きている人々が思い出を語る安心。
しかし、モノクロの世界に止まるよりなかった親たちはナチスによって殺されてしまった。

ニコラスが成した善は、
それを受けた人から、その話を聞いた子どもたちから、講演を聞いた子どもたちから広がってゆく。


それにしても、
くまのパディントンがユダヤから逃げ延びた子どもたちだったとは知らなかった。
首から番号と名前を書いた札を下げて、トランクひとつで異国に逃げた子どもたち。
知らなかった自分を恥じるより
知ったことを何かにつなげていきたい、そう思った。
コメント
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