もじもじ猫日記

好きなこといっぱいと、ありふれない日常

「ミッドナイトスワン」2回目

2020-10-03 00:12:18 | 映画
本気でネタバレです。



ちょっと開けてみました、が、どうだろう。


赤いライターから始まり4羽の白鳥が揃って履く赤いトゥシューズ。
深紅が象徴的に使われる冒頭のシーンがとても好きだ。


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ねぇ
私は産んでって頼んでない
お母さんと一緒にいたくないって言ってない
東京の親戚に預かられるなんて聞いてない
学校が面白いわけじゃないけど転校したいなんて思ってない
親戚はみんなお母さんが新聞沙汰になったりしたら迷惑だって思ってるだけじゃん。
どうして皆「あなたの為」なんて嘘ばっかり言うの!
一度も名前を呼ばなかったけれど
凪沙さんがくれた光が言葉をくれた。
バレエにも出会えて生きるのもいいな、って思えた。
りんに出会えて友達っていいな、って思えた。
でもやっぱり私に幸せなんてやってこないんだね
一度見えた光が消えるのは何も無かった時よりツライよ。
凪沙さんまで「あなたの為」なんて言わないで、頼んでない!
男の人の姿になんてさせてごめんなさい。
そしてお母さんが迎えに来た
お母さんには私が必要なんだ
凪沙さんごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
一果って名前を呼んでくれたのにごめんなさい。


中学を出たらバレエ留学したいと思ってる。
踊ることは続けられたから。
その前に
凪沙さんに会いに行くよ。
なんて言ってくれるかな、喜んでくれるかな。


~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~


お金が貯まらないだけじゃなく何かがその一歩をとどめていた手術を受けたのは
一果のお母さんになりたかったんだろうけど
違うよ、凪沙。
お母さんじゃなくても愛せていたじゃない。
ちょっと間違えたね。
あなたがいなくなったら一果がそれを背負わない訳がないのにさ。



謎だったことがいくつか。
凪沙が貯めていたお金。
あんな丸見えだったら盗っちゃうよ、大抵。
特に最初のお互いに心を開いてない時気になった。
なんのこだわり?監督。
りんの父も母も「今日学校どうだった?」と聞いた。
りんの学校生活には何か問題があったのか、いじめにあってたりしたのか
そこは描かれない。
りんはどうして跳ばなければならなかった?
手術のあのカットは二つも必要だったのか
何より服がはだけるあのシーン。
下着はどうなってんだ?
酷い言葉を凪沙が浴びせられるためだけにしか思えない。


孤独な人しか出てこない作品。
ショーパブの同僚も
少女を性的搾取している大人の男と風俗の客は孤独な上に歪んでいる。
りんもその親も。
バレリーナも舞台の上では孤独だ。
それを知りながら人は寄り添おうとする、光を求める。
そういう作品だと思う。
傑作。
コメント
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