線は線でも、色がつかないくせにハッキリと見えてしまう線はなんだろうか。
問いかけを考えて、その問いを考えたのは本人であることに気付き、
既に答えのわかっている問題について、いつまでも緻密な描画に努めているのは心の画家。
回答を先延ばしにしているうちに、線が描き込まれていくのは嬉しい反面ちょっと辛い。
◆
紫とピンクの飴。昔はどこにでもあったキュービィロップ。
今は、そう簡単には見つからない。
数種類の味を一緒くたにすることがどんな功罪をもたらしたか、知る者も多いのだろう。
飴は甘酸っぱい。甘酸っぱい、とは甘くて酸っぱい味覚のことだが、
それは感情に置き換えると感情の起伏を起こさせるもの、といった意味合いが強くなる。
"彼女は理知的だが、それ以上に感情の人だった"
飛行機の中で読んだ散文。小説は、引用をしてしまうとその価値がどれほど損なわれるのか、彼は知らない。
震える手で飴の包装を開けようとするが、
プラスチック包装特有のがさがさした音ばかりが耳について、袋が開かない。
しまった、ぎざぎざの包装なのに、開かないじゃんか、これじゃ。
残念なんだけど、鋏はないんだ。
ポケットにはお菓子がなくなり、立ち尽くす彼には寝ること以外、することがなくなった。
そういえばそろそろ冬眠の季節だ、なんてことを考える。
葉が赤くなり落葉を迎えるのを目の当たりにし、
いよいよ首周りの寒さが本格的になってくる。裸では、いられない。
人は風を受ける。あるいは、風邪を受ける。
歩きながら、プラットホームにはまだ飴があったことにびっくりする。
まだ、あったのか…
そのパステルカラー(から不透明さを除去したもの)は目に優しく、
彼の腰の辺りを引っ張っている。やめてくれよ、ぼくの想像を叶えないで。
問いかけを考えて、その問いを考えたのは本人であることに気付き、
既に答えのわかっている問題について、いつまでも緻密な描画に努めているのは心の画家。
回答を先延ばしにしているうちに、線が描き込まれていくのは嬉しい反面ちょっと辛い。
◆
紫とピンクの飴。昔はどこにでもあったキュービィロップ。
今は、そう簡単には見つからない。
数種類の味を一緒くたにすることがどんな功罪をもたらしたか、知る者も多いのだろう。
飴は甘酸っぱい。甘酸っぱい、とは甘くて酸っぱい味覚のことだが、
それは感情に置き換えると感情の起伏を起こさせるもの、といった意味合いが強くなる。
"彼女は理知的だが、それ以上に感情の人だった"
飛行機の中で読んだ散文。小説は、引用をしてしまうとその価値がどれほど損なわれるのか、彼は知らない。
震える手で飴の包装を開けようとするが、
プラスチック包装特有のがさがさした音ばかりが耳について、袋が開かない。
しまった、ぎざぎざの包装なのに、開かないじゃんか、これじゃ。
残念なんだけど、鋏はないんだ。
ポケットにはお菓子がなくなり、立ち尽くす彼には寝ること以外、することがなくなった。
そういえばそろそろ冬眠の季節だ、なんてことを考える。
葉が赤くなり落葉を迎えるのを目の当たりにし、
いよいよ首周りの寒さが本格的になってくる。裸では、いられない。
人は風を受ける。あるいは、風邪を受ける。
歩きながら、プラットホームにはまだ飴があったことにびっくりする。
まだ、あったのか…
そのパステルカラー(から不透明さを除去したもの)は目に優しく、
彼の腰の辺りを引っ張っている。やめてくれよ、ぼくの想像を叶えないで。