盗人宿

いまは、わかる方だけ、おいでいただければ。

大黒

2019-03-29 16:32:27 | にゃんころ
宗派によって異なりますが、仏教では坊主に妻帯女色を禁じていることが少なくありません。

ところが古今東西どこにでも生臭坊主はいるもので、禁じられた住職がこっそり妻を娶ったり妾を囲うことが多く、そのような女性を江戸では「大黒」と呼んだそうです。
古い川柳にも、

 大黒と 呼ぶのは釈迦も 知らぬ知恵

 梵語で大黒 俗語で山の神

というのがございます。
大黒天の甲子(きのえね)祭りから出たことばとされています。


ある人が寺に用事がありまして、玄関で案内を乞いますが、誰も出てきません。
これまで何度もきて勝手知ったるところですから台所に回りますと、和尚が鉢巻をしてせっせと蛸の料理を作っている。般若湯(酒)の熱燗もできている。
こいつはまずいものを見てしまった。
見られたほうはさぞかし恐縮するだろうと思い、また玄関に戻って改めて案内を乞いますと、今度は和尚が出てきて座敷に案内され、「まあどうぞどうぞ」と酒が出ます。

「生憎と肴がまだございませんで……」
「和尚さま、何もお隠しになることはないでしょう、こんな心お安い仲なのに何をお隠しなさる。実は先ほど、ちょいと拝見してしまったんですよ」

和尚、少し伸びた無精髭をさすりながら、

「ご覧になりましたか。それでは是非に及ばぬ。おーい、お光や、出ておいで。お心やすい方じゃ。こっちへきてお近づきになりなさい」

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