(本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである。)
藤里駒ヶ岳(標高1158m)は昨年、紅葉時に一度、登っている(記録はこちら)が、
夏場にどんな花が咲くのか、わからなかったので、7月3日に確認のため登ってみた。
この日は平日だし、ここはクマさん密度の高い山なので、クマ除け?ホイッスルを吹きながら入山。
田苗代湿原と藤里駒ヶ岳
黒石沢登山口から歩いてすぐの田苗代湿原ではニッコウキスゲらしき花が疎らに咲いていた。
ウラジロヨウラク
ニッコウキスゲ(ゼンテイカ)
近寄ってみたらやはりニッコウキスゲだった。一応、今年初のニッコウキスゲになる。
ニッコウキスゲの小群生。
この日の入山者は我独りかと思ったら、駒ヶ岳下山後、再び立ち寄った湿原で初老の男性一名に遭遇。
「昨年、ここのニッコウキスゲは湿原がオレンジに染まるほどみごとだった。
それをまた見たくてはるばる兵庫県からやって来たが、
今年はさっぱりだね。いったいどうしたんだろう。」
とお嘆きだった。
それに対し、
「昨年はたぶん当たり年だったんでしょう。これから二、三年は裏作が続きそうですね。」
と答えておいた。
サギスゲとミツガシワの葉っぱ
トキソウ
この湿原にはワタスゲが無く、代わりにサギスゲが少々。
トキソウがパラパラ咲いていたが、先の男性の話では、この花に限っては今年の方が多いようだとのこと。
トキソウ
今回のマップ
湿原におさらばして駒ヶ岳山頂をめざし、旧コースを登る。
そのためには樹林帯に入らなければならない。
旧コースのブナ林
旧コースのロープ箇所
そこに花は皆無だった。
稜線に出たら、晴れてはいるものの、雨後のもやのせいで視程が極めて悪く、白神山地の眺めもさっぱりだった。
駒ヶ岳稜線から北側、白神山地を望む。
稜線や山頂に花はほとんど無し。
イワカガミ(たぶんオオイワカガミ)やシラネアオイは咲き終わった後で、
強いて挙げると、下界にもあるタニウツギと亜高山性はゴゼンタチバナくらいか。
下山に使った新道の稜線ではハクサンシャクナゲが少し咲いていた。
タニウツギ
ハクサンシャクナゲ
ゴセンタチバナ
新コース下山途中から駒ヶ岳東面を振り返る。
駒ヶ岳の東面は傾斜が急だ。
新コースのブナ林
ブナの芽生え
ギンリョウソウ
新コースのブナ林の中で咲いていたのはギンリョウソウとツクバネソウくらいだった。
今回の藤里駒ヶ岳は、今年訪ねた山の中では花が最も少ない山行きになるかもしれない。
藤里駒ヶ岳の山麓、岳岱(だけだい)にはみごとなブナ林がある。
今回は駒ヶ岳の行きと帰り、二回立ち寄って散策してみた。
ここのブナ林は下草にササが少なく、岩がゴロゴロしているところも有った。
岳岱のブナ林
400年ブナ (2022年の春、倒伏)
サンカヨウの実
このブナ林の林床にはギンリョウソウがうじゃうじゃだった。
既に花が終わり、実になっているものも有った。
ギンリョウソウ。ゾンビのようになった株。
ギンリョウソウの実。目玉おやじが二人。
以上。
(本頁は「春の七座山登山」の続きです。)
七座山の東斜面は杉や広葉樹の巨木に覆われている。
ウィキペディアによると、
これは久保田藩時代に御直山(おじきやま)として保護され、ほとんど伐採されず、残ったものだそうだ。
西斜面は完全な里山だが、東斜面はほとんど原生林のような状態になっている。
林の下草も秋田県内の他の山ではなかなか見られないものが幾つかある。
まずはニリンソウから。
これは県内、どこにでもある草だ。
ここではあちこちでニリンソウが群生しているが、
半月前まではキクザキイチゲやアズマイチゲ、カタクリが咲いていた場所だ(こちら参照)。
ニリンソウの群生
ニリンソウ
ニリンソウに混じって秋田では珍しい花が咲いている。
そのひとつがクルマバツクバネソウ。
クルマバツクバネソウ
クルマバツクバネソウとニリンソウ
四葉四弁のエンレイソウ
この山にはエンレイソウも多いが、今回は四葉四弁の個体に遭遇した。
原生林内にはタチカメバソウや猛毒のハシリドコロも多く茂っていた。
タチカメバソウ
タチカメバソウ
ルイヨウボタン
ハシリドコロは秋田県内ではあまり見かけないが、ここにはすこぶる多かった。
比較的大型の草なのに、ウィキペディアによると、
「夏先には休眠状態に入るため枯れる。夏から冬までは見ることができない典型的な春植物である。」
とあった。
花は地味な暗色だが、ここでは黄色のタイプも生えている。
今回はもう終わってしまったため、黄色タイプは撮影できなかった。
ハシリドコロとニリンソウ
ハシリドコロ
ハシリドコロの近くにはトリカブトも多く、最強の毒草群落になっている。
そのため、以前はこの場所を私は勝手に『毒ヶ森』と呼んでいた。
一般的なラショウモンカズラは咲き出したばかり。
サワハコベ
林縁の笹薮で割と大型の白いスミレを見つけた。
ヒカゲスミレだった。このスミレ、疎らだが、けっこうな数が生えていた。
七座山は、意外にもスミレの種類が多かった。
前編の権現座(ごんげんくら)への登山中もほとんど切れ目なく何がしかのスミレが咲いていた。
オオタチツボスミレだろうか。
オオバキスミレ
スミレサイシン
この山にはスミレサイシンがとても多いが、花はそろそろ終わりころだった。
他にはナガハシスミレやヒナスミレらしきものもあったが、花は終わっていた。
最後に稜線に多かったマキノスミレ。
以上。
大型連休最後の5月7日は能代市二ツ井にある七座(ななくら)山に登ってみた。
このお山、最高峰の権現座(ごんげんくら)で287mなのでとても低い山だが、
東斜面には岩壁や秋田杉の天然林があり、深山幽谷に迷いこんだような気分になる。
登山口から米代川と七座山の北側一部を望む。
今回のマップ
歩き始めはニリンソウの小道。
やがて権現様という巨岩に辿り着く。
岩の上に杉の木が生えている点に着目されたし。
なおこの後も法華の岩屋までは、岩上に樹木が生えている壮絶な光景が延々と続く。
杉や広葉樹の樹冠
ヒトリシズカ
岩上に生える木の続き。
山頂手前の法華の岩屋は巨大なハチの巣のような岩壁だ。地質学的には凝灰岩とのこと。
法華の岩屋
この岩屋はでかすぎて私の広角レンズでは収まりきらなかった。
法華の岩屋
この後、少しだけ急斜面を登ると、あっという間に山頂。
最高峰の権現座(ごんげんくら)は南北方向にはとても緩やかな山で、この先、ずっと稜線歩きが続く。
権現座(ごんげんくら)の山頂
烏帽子座付近から米代川を見下ろす。
稜線で見た花。
シュンランの咲き残り。
ノギランの芽出し
マキノスミレ
マキノスミレ
チゴユリ
ヤマツツジ
ムラサキヤシオ
蓑座の展望台から東側、米代川を見下ろす。
南側に森吉山があるが、今日はよく見えなかった。
縦走路は更に北に続いているが、今回は途中から鉄製の階段をさっさと下りた。
鉄製の階段を上から。
鉄製の階段を下から。
以上。
「春の七座山原生林」に続く。
本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである。
七座山(ななくらさん)は能代市の東部にある低山。
米代川を挟んできみまち阪公園(こちらは割と有名?)と向かい合う。
以前から山麓には何度も訪ねているが、何故か山頂はまだ極めていなかった。
今回、fb友人から、山頂付近でそろそろイワウチワが咲くとの情報を入手したので、
4月13日に山頂も含め、一帯を訪ねてみた。
登山口の天神荘跡地にて。右の川は米代川。
黄色い破線が今日歩いたルート
今日歩くルートは、まずは天神荘跡地(マップの現在地)から、展望台まで登り、山頂をめざす。
その後は展望台まで戻り、稜線伝いに松倉まで行き、そこから途中まで下りて、山腹の小道を辿って出発地に戻る。
七座山の東面は天然スギがみごと。そして
断崖絶壁も凄い。
どうやって登るのか思案していたら、目の前に立派な鉄梯子が。
分岐点(鉄梯子の降り口)
分岐点から稜線を右に辿るとほどなく展望台に到着。
そこからの眺めは素晴らしかった。
展望台から北側(松倉方面)を望む。奥の白い山々は白神山地。
藤里駒ヶ岳(1158m)。いつか登ってみたい山。
東に目を転ずると、米代川が大きく蛇行している。
更に南の方を望む。遠くに竜ヶ森(1050m)、右奥に森吉山(1454m)。
七座山の頂上・権現倉を望む。
七座山山頂(標高288m。)
オオイワウチワ
山頂から稜線を辿り、松倉に向かう。
稜線に花は少なかった。咲いていたのは・・・ マルバマンサクくらいか。
稜線のダウン、アップを繰り返し、松倉へ。
右側は断崖絶壁になっていた。
この稜線は最初に登った展望台以外はほとんど展望が効かなかった。
今頃の時期の七座山(ななくらさん)は花が多いが、それを見るには稜線よりも中腹や山麓を歩いた方が好い。
松倉から一旦、中腹まで降りて、展望台分岐点下の十字路まで遊歩道を歩いてみる。
松倉から降下するにつれ、花が現れて来る。
カタクリ スミレサイシン
花に夢中になっていたら、道に迷ってしまった。
というよりも、道が消えていた。
それでも今の季節は藪になっていないのでどこでも歩ける。
そのうちキクザキイチゲも出て来た。
キクザキイチゲ(白タイプ) キクザキイチゲ(薄いブルータイプ)とカタクリ
ここにはいろいろな濃度のキクザキイチゲが咲いているが、
圧巻はやはり濃い青紫。
やっと道も見つかり、再び遊歩道を歩く。
ここにはエンレイソウも多かった。
アズマイチゲ コチャルメルソウ
最後に米代川対岸にあるきみまち坂を眺めて、帰宅の途へ。
この山にはちょっと変わった花が咲く。そのためには半月後にまた来なければならない。
たまにはグルメ系の話を。
蕎麦マグロ寿司セット
秋田地方は(角館で紅葉狩りした翌日の)11月9日以降、ずっと雨降りの天気が続いている。
私も家内も一週間以上、どこにも出かけないで缶詰め状態だったので息が詰まりそう。
昨日の予報では17日は雨が止み、晴れ間が出そうとのこと。
久しぶりに山に登ろうとも思ったが、ずっと雨続きだったので登山道は歩きにくいだろう。
どこか好いところはないかと思っていたら、
16日夕方、秋田放送のニュース番組で、秋田県内でも奥地、上小阿仁村のとある食堂を紹介していた。
蕎麦がメインのようだが、山奥なのに何故か新鮮なマグロの寿司かマグロ丼が付くとのこと。
美味そうだったので、家内と二人で急遽、訪ねてみることにした。
朝9時20分に自宅を出て、食堂には10時45分に到着。
するとなっ( ̄π ̄;なんと数名の人が入り口に並んでいた。
急ぎ向かいの駐車場に車を置き、我々も並んだ。
行列が20名くらいになり、11時3分前に開店。
急ぎ、入店したら、何故か我々のところに一番に注文を取りに来てくれた。
店主おすすめのメニューの蕎麦マグロ寿司セット(冒頭写真)を注文。
なかなか美味しかった。
不思議なお菓子「みやみいなり」。たちまち売り切れた。
11時半頃、店を出たら、店の外には延々と行列が出来ていた。
食べ終わってから、高橋旅館を振り返る。
ここは高橋旅館という村唯一の老舗旅館だった。
現在、宿泊部門は休業中で昼の間、食堂だけオープンしているようだが、
こんな山奥で新鮮なマグロ、しかも行列の出来るお店は珍しいなと思った。
コ〇ナ禍もあり、私も家内も外食は久しぶり。しかし今回はちょっと不思議な、狐につまされたようなグルメ?体験だった。
私自身、勤め人時代は約40年間、何百回(もしかしたら千回以上)にもわたり、この旅館の前を通り過ぎているが、
ついぞ此処に泊まったり、食事することは無かった。しかし旅館の存在は知っていた。
リタイアして五年、今頃になって食事するとは全く予想してなかった。
今日は何とも不思議な気分だった。
食後、近くの上小阿仁の道の駅へ。
こあぴょん
家内は道の駅で買い物していたが、私は村のゆるきゃら「こあぴょん」ばかり見ていた。
上小阿仁村は秋田県で最も人口の少ない自治体であり、これといった観光地も無い。
しかし此処には立派な杉林がある。
それは上小阿仁村の西側、上大沢地区にある。
一般的には後で出す「コブ杉」が有名だが、それ以外の杉の木も立派、いや杉林そのものが凄かった。
その杉林は秋田杉の天然林なのだった。
森の案内板
杉林の入口
駐車場から歩いても5分もしないうちに、とてつもなく深い原始の林に紛れ込んだような気分だった。
入口付近の杉林の下は羊歯でびっしり。いきなり中生代の森に入り込んだような気分。
杉林の梢 本格杉林
秋田杉の天然林の中核エリアに到着した。
天然杉はゴツゴツしてて太いものだとイメージしていたが、
ここの杉は皆スラっと背が高く、真っすぐで下枝もほとんどなかった。
高さは50m近くありそうだ。
中核の杉林の梢
中核の杉林
中核の杉林の根元付近
特にでかい木の前で立ち止まったら、やはりこの森で一番高い木だった。
高さ56m、胸高直径222cmとは凄い。
一番高い木 一番高い木の説明
この杉林の一番の有名杉は「こぶ杉」。
杉の木としてはそれほど高くはないが、それでも40mあるそうだ。
こぶ杉
こぶ杉 こぶ杉を裏側から見ると・・
もう一本は幅の広い杉。
ここでは珍しく二股に伸びた杉だが、根元付近は一本いや一枚になっていて「妖怪ぬりかべ」を連想した。
ぬりかべ杉
今日は登山していないが、グルメと秋田杉、異色の山歩きとなった。
以上。