モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

高山に咲くシソ科とブルーの穂花

2022年03月12日 | 高山植物

今年正月から続けて来た高山植物シリーズだが、
そろそろネタも尽きたので、今回で中締めにしようかと思う。
                                                          
ミソガワソウ
ってご存じだろうか。

ウィキペディアによると、
『ミソガワソウ(味噌川草、学名:Nepeta subsessilis )は、シソ科イヌハッカ属の多年草。
(以下、略)花期は7-8月。茎の上部の葉腋ごとに数個の花をつける。(以下、略)
日本固有種。北海道、本州の中部地方以北・奈良県、四国の石鎚山に分布し、
亜高山帯の草地や深山の渓流沿いなどに生育し、群生することが多い。
名前の由来は味噌川草の意味で、木曽川の源流部である長野県の味噌川に由来する。
とあった。
この花、東北の山ではあまり見かけない。
私自身は八幡平、焼石岳、鳥海山の一部で見かけた程度。
いずれも一般登山道から離れた場所だった。他には早池峰山にも有るとされる。

2020/09/16 焼石岳にて。ミソガワソウ。



2020/09/16 ミソガワソウ

 

                                        2020/09/16 ミソガワソウ

2020/09/16 焼石岳にて。ミソガワソウの群生。



鳥海山のものは花色が薄いように感じる。

2021/09/03 鳥海山にて。ミソガワソウ。


2021/09/03 鳥海山にて。ミソガワソウ。

 

                                      2014/08/04 八幡平にて。ミソガワソウ。


タテヤマウツボグサ Prunella prunelliformis
は、ウツボグサに比べ、全体に大型。
葉柄はごく短いか、無柄。花柄が短く、花穂がウツボグサほど長くならず、短い。
花冠は長さ2.5~3㎝。
本州(福井県以東)に分布する。

2017/09/01 月山にて。タテヤマウツボグサの群生。



2014/08/02 月山にて。タテヤマウツボグサ。

 

                                      2015/09/05 八幡平山頂部にて。ウツボグサ?。


右上のウツボグサは八幡平山頂部の遊歩道脇で見たものだ。

当初、高山性のミヤマウツボグサ Prunella vulgaris var. aleutica かと思ったが、
人通りの多い場所なので、低地性のウツボグサ Prunella vulgaris var. lilacina が運ばれて来た可能性もある。

イブキジャコウソウは、日本各地の海岸から高山まで岩場や草地に広く生育する小低木だが、
東北の山では少ない。
高山で簡単に見られるのは、早池峰山くらいかもしれない。
他には蔵王連峰の一部(不忘山、雁戸山など)で知られる。


2017/08/03 早池峰山にて。イブキジャコウソウ。



2017/07/20 早池峰山にて。イブキジャコウソウ。

 



シソ科の高山植物は意外と少ない。本頁で取り上げた三種以外は、ミヤマクルマバナくらいだろうか。

この種類は東北では難関の朝日連峰や飯豊連峰に産し、私自身はまだ見ていない。


本頁では、シソ科に雰囲気が似た青紫の穂花を二種類取り上げてみる。
旧ゴマノハグサ科、現在は新分類体系APGⅢでオオバコ科に属するクガイソウとヤマルリトラノオだ。
いずれも主に山地帯に生育する種類だが、東北の一部の山では亜高山帯の草地に群生し、
お花畑を構成する要素なので、高山植物として取り上げてみた。

クガイソウは、
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、
『クガイソウ(エゾクガイソウ)Veronicastrum sibiricum f. glabratum は、
山地の日当たりの良い草地に生える多年草。(以下、略)
北海道、本州の山地に広く生え、サハリンにも分布する。』
とあった。
しかも従来有ったクガイソウとエゾクガイソウが合体していた。
よってここでは、単にクガイソウと呼ぶことにする。

2018/07/27 焼石岳にて。クガイソウ。



2017/08/06 焼石岳にて。クガイソウ。




2017/08/06 焼石岳にて。クガイソウ。




2021/07/24 真昼岳にて。クガイソウ。

 



次の青い穂花は従来、ヤマルリトラノオと呼ばれていたものである。

改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、この仲間の分類は少々ややこしくなっているようだ。
『エゾルリトラノオ Veronica ovata var. miyabei は葉の表面はほとんど無毛で、
裏面に密に短毛が生え、鋸歯はあまり尖らず、本州(岩手県)と北海道南部に分布する。』
とあったが、掲載されている写真は秋田県太平山のものだった。
『これに似ているが、葉の裏面にほとんど毛の生えないものが近畿地方から山形県の
主に日本海に近い近い山地に有り、これをヤマルリトラノオ Veronica ovata var. japonica
と呼ぶ。』とあった。
本頁で取り上げたものは、葉の裏面の毛の有無を確認していないので、
どちらなのかわからないが、
ひとまず従来からの名称、ヤマルリトラノオで通してみる。
個体差は有るが、穂花の色は野草には珍しいコバルトブルーだ。


2016/07/31 真昼岳にて。ヤマルリトラノオとキオンの群生。



2016/07/31 真昼岳にて。ヤマルリトラノオ。

 

                                        2016/07/31 真昼岳にて。ヤマルリトラノオ。


2016/07/31 真昼岳にて。ヤマルリトラノオとキオンの群生。奥のピンクはハクサンフウロ。
 



2019/07/26 和賀山塊薬師岳にて。ヤマルリトラノオ。右奥にウスユキソウ。




以上。






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