(本頁は「真昼岳、花の稜線を行く。前編」の続きです。)
真昼岳の稜線は赤倉沢ルートの合流点付近を境に花がパタッと少なくなる。
これはササの勢力が強くなって、他の草花の生育が難しくなるせいだろうか。
花が少ないせいか、真昼岳の一つ手前の山の登りはいつもしんどいなと思う。
その山はすっぽりとササに覆われていた。
南峰から真昼岳山頂を振り返る。
真昼岳山頂からはとても眺めが良いのだが、
今日は晴れていても、空中湿度が高いせいか、霞んでいて鳥海山など遠くの山は見えなかった。
真昼岳の山頂標
北側、音動岳や北ノ又岳を望む。
西側。いつもなら仙北平野(横手盆地)の眺めがみごとなのだが、今日はあいまいだ。
山頂付近で見た花。
キオン
ノリウツギ
南峰や女神山を望む。
多くの皆さんは真昼岳山頂に到着するとそのまま下山されるようだが、
私は必ず南峰に行き、急な南斜面を少しだけ下るようにしている。
何故ならそこには素晴らしい花園があるから。
ここのお花畑、ちょっと変わっていて、鳥海山や秋田駒ヶ岳など他の高山とは花の種類がかなり違っている。
高山植物と言うよりも低山性の花の奇麗なものが急斜面にへばりついて咲きまくっているのだ。
かつて来た時は、登山道にタカネナデシコが繁茂していてみごとだった(こちら)が、今回はそれが無く、その点はタイヘン残念だった。
帰りに出会った地元役場関係者によると、登山道の過度の草刈りが原因ではないかとのこと。
花も維持しながら、登山道を整備するのはなかなか難しいようだ。
南峰の急斜面
南峰の急斜面と女神山
南峰の急斜面
南峰の急斜面 急斜面の花畑。
急斜面の花畑。手前にはキオンやキリンソウ、ハクサンフウロ、ウスユキソウ、イワオウギなどがびっしり。
イワオウギ キリンソウ
南峰の急斜面にはヤマルリトラノオが群生している。
この植物、けっして高山植物ではなく、他の低山や高山山腹でときどき見かけるが、
こんなに群生しているのはおそらくここだけだろう。
コバルトブルーの花色は珍しく、イングリッシュガーデンのようだと形容する人も居る。
かつて見た時(こちら)よりもやや背が低くなった感じがするが、それはたぶん日照り続きのせいではないかと思う。
今回の山行きでいっぱい咲いていた花、二種類をクローズアップしてみる。
【トリアシショウマとヤマブキショウマ】
今回の真昼岳稜線では、トリアシショウマが最盛期だった。
場所によっては、登山道沿いがこの花で埋めつくされているほどだったが、よく見ると、
同じ場所にはヤマブキショウマの残り花も有った。
この両種、前者はユキノシタ科、後者はバラ科なのに、花といい、草姿といい、とてもよく似ている
(擬態ではなく『他人の空似』とも言われる)。
自身も含め、この花たちの識別にはいつも難儀している。
今回、両種が混生している場所もあったので、これはいい機会だと思い、両種の識別にチャレンジしてみた。
まずは一枚目と二枚目、どちらがトリアシかヤマブキかわかりますかな。
正解は一枚目がヤマブキショウマ、二枚目がトリアシショウマ。
次は両種混生で
手前の古くなった花がヤマブキショウマ、奥のまだ若いのがトリアシ。二枚目はトリアシ単体。
穂花の形はともに(複)総状花序と言うようでなかなか区別できないのだが、
トリアシの方は心持ちクリスマスツリーのような円錐形になるように感じる。
それに対し、ヤマブキショウマの方はばらけている感じで円錐形とは言えない。
花が無い時でも葉で識別できないかと思い、次に葉を並べてみた。
葉の付き方は、根生葉で見ると、どちらも三出複葉(小葉が三枚ずつ出る)で、
トリアシは3回3出複葉、ヤマブキショウマは2回3出複葉とのことだが、書籍によっては例外もあるようだし、
この二回、三回というのは非常に分かりにくい(根元までかき分けて数えなければならない)。
小葉で識別できないかと葉の形やヘリの裂け方を見たが、これもほとんど同じ。
ヤマブキショウマの葉 トリアシショウマの葉
しかしヤマブキショウマの方は小葉の葉脈が平行して葉の縁にまで達している。
この様子が樹木のヤマブキの葉に似ているので、ヤマブキショウマの名が付いたとも聞く。
それに対し、トリアシの方(五枚目)は葉脈自体が不明瞭で平行かどうかもあいまいだ。
葉面に艶がある点を分類の目安にしている人も居るようだ。
開花時期はヤマブキショウマの方が早く、それが終わる頃にトリアシが咲き出すが、
場所によっては重なるので要注意。
・・・と書いてみたが、 (´π`;)はたして伝わったかどうか。
以上。
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