クリスマス、と言えば、忘れられない出来事があります。
あれは、2000年頃だったでしょうか。
上京して数年、僕がまだひとり暮らしをしていた頃のお話です。
*****
その年のクリスマスは土曜日だったんですが、
当時勤めていた会社の出勤日でした。
でも、その日の夜にコンサートに行く予定にしていたので、
フレックス出勤を使って、早く仕事を終わらせようと、朝5時に起きました。
すると、ワンルームの自宅に、明らかな異変が起こっていました。
目の前が霞んでいます。そう、部屋中が煙が充満しているのです。
僕『え?マジ!』( ̄□ ̄;)
驚きつつも、当時の部屋には機材関係が山のようにあったので、
すぐに火の気を探し回りました。しかし、何も見つからず。
火のない所なのに、煙が立った状態。
これは、隣か下の部屋が原因としか考えられません。
しかし、まだ朝の5時過ぎ。外は真っ暗。土曜日。
僕の部屋は、2階建アパートの2階角部屋だったので、
ひとまず外に出て、お隣の真下の部屋の様子を伺いました。
お隣は真っ暗。真下の部屋は、電気が点いているものの、人の気配なし。
しかし、本当に火事だったらシャレになりません。
そこで思い切って、お隣と真下の部屋の呼び鈴を鳴らしてみました。
…反応なし。う~ん、どうしよう。
再び部屋に戻って考えるも、煙は消えず。
そうこうしているうちに、1時間が経過しました。朝の6時。
再度、お隣の真下の部屋をノックし、
反応がないことを確認してから、まず110番しました。
電話に出たお巡りさんに、
自分の部屋には火の気がない、でも煙が充満していることを告げ、
消防車を呼んだ方がいいか、相談しました。
*****
10分ほどすると、サイレンを鳴らさずに、パトカーと消防車が1台到着。
早速、お巡りさんが部屋やって来たので、詳しく状況を説明すると、
巡『じゃあ、専門の消防士さんを呼んでくるから』
と、消防車に向かい、ひとりの消防士さんが部屋にやってきました。
推測するに、その消防車に乗ってき中では一番エラそうな人。
僕の部屋に入り、ひと通り火の気がないことを確認。
そして、煙の臭いをクンクンとかいた後、突然、
消『焼肉だね。焼肉食ったでしょ?』
とひとこと。
あまりにも唐突だったので、驚いていると、
消『昨日、焼肉したでしょ?』
と自信満々でダメ押しされました。
もちろん、焼肉なんぞはしておりませぬ。
僕『いえ、焼肉はしてませんが…』
とうろたえながらも返事をすると、
もうひとり、誰かがアパートの階段を上がってくる足音がしました。
その音に気付いて外を見ると、なんと狭い路地に4台の消防車が
ひしめいているではありませんか!増えとるやんけ!
階段を登って来たのは、今到着した3台の消防車に乗っていた
ひとりの消防士さんでした。すると、焼肉消防士野郎が、
新しく登場した消防士に向かってひとこと、
消『隊長、ホルモン焼きの煙ですよ』
おいおい、お前!さっき焼肉って言ってだろ!( ̄□ ̄;)
いやいや、怒りの矛先は、そこではありません。^^;)
人の家に来て、いきなり焼肉だのホルモンだの、なんて失礼なヤツだ、
と、だんだんと真っ当なポイントに腹が立ってきました。
僕『焼肉もホルモン焼もしてませんって!』
というと、『いやいや、すみません』という感じで、
後から上がってきた消防士さんが話し始めました。
どうやら、この方、一番エライ隊長さんのご様子。
長『いや、焼肉ってのは例えで、これは食べ物を焦がした煙なんです。』
と、丁寧に説明をしてくれました。
つまり、壁なんかの木材が燃えて出る煙ではない、と。
しかも、煙の出所は僕の部屋ではなさそうだ、と。
さっきの焼肉消防士野郎、ちゃんとそういう風に説明しろよ、
と言おうと思ったところ、既にヤツの姿は見えず。逃げたなテメエ。
*****
まあ、そんなこんなをしていると外も明るくなり、朝の7時を過ぎました。
そこで、消防士さんとお巡りさんが話し合って、
巡『この時間なら、もう他の部屋を起こしてもいいでしょう』
ってことで、お隣と真下の部屋を確認してみることに。
僕は、部屋で待っててください、と。
その時間になると、お隣さんは警察のノックにすぐ出てきたようで、
お隣も煙の出所でないことが判明しました。
残るは、真下です。
で、この真下の部屋が、曲者だったんです。
僕は仕事柄、郵便や宅配の受け取りが多いのですが、
何度となく宅配業者さんから、
宅『下の部屋って、人、住んでます?』
って聞かれたことがあったのです。そう思ってみると、
確かにポストには、はみ出るくらいのチラシが詰め込まれていたり、
玄関のドアの隙間にいろんなメモが挟められていたり、
時には『連絡ください』とか、張り紙がしているような部屋だったんです。
でも、たまにそのチラシがごっそりなくなっていたり、
夜には電気がついていたりと、人は住んでいる様子。でも、人の気配なし。
そんな感じですから、
朝の5時過ぎに僕がノックしても出てくるはずもないわけで。
でも、さすがに警察が行けば、すぐに出てくるでしょう。
甘かった。(_o_)
ドア越しに聴こえてくる、
巡『おはようございま~す。警察です。おはようございま~す』
と言うお巡りさんの声が、次第に荒くなり、
どんどん語気も強くなって、
巡『開けてください!警察です。開けなさい!』
そして、遂には、
巡『開けなさい!警察だ!開けろ!』
って、リアル・スネークマンショー状態になっちゃったのです。( ̄w ̄)ぷ
恐る恐るドアを開けて1階を見下ろすと、
外にはパトカー1台に消防車4台、
1階の角部屋を大勢の警察官と消防士が取り囲むの図。
やっべぇ~!( ̄◇ ̄;)
この時間になると、遠巻きに通勤通学途中のヤジ馬も集まり始め、
ちょっとしたパニック状態になっちゃったのでした。
こんな大騒ぎになるとは。
と、思ったその時!
遂に消防士がベランダから部屋の中に強行突入の体勢!
さすがに僕も、ちょっと怖くなって…
そっとドアを閉めました( ̄w ̄)ぷ
その後、多少のドタバタが聴こえた後、しばらくすると、
消防隊長さんがわざわざ部屋に来てくれました。
長『いやぁ~、下の人が鍋を焦がしちゃったのが原因でした。』
と、事の顛末の報告をいただいて、一件落着。
しかし、上の僕の部屋でこれだけ煙が充満していたのに、
下の部屋はどういう状況になってたんだ?(@_@)
っていうか、やっぱ人が住んでたんだ。^^;)
そんな、新鮮な驚きと新たな疑問が生まれつつも、
火のないところから立ち上ったクリスマスの煙騒動は、
ほとまず無事(?)に終焉を迎えたのでした。
結局、その日はフレックスどころか午前中は出勤できず、
午前半休にしたうえに、休むわけもいかず、午後出勤して定時まで働いたとさ。
*****
それにしても、今回は鍋を焦がされただけで済んだとは言え、
本当に火でも出されたら、もう、たまったもんじゃありません。
アパートを管理している不動産屋にもクレームを入れて、
もう、真下の部屋の住人が改心してくれることを心から祈りました。
その甲斐あって、その後僕が引っ越すまでに3~4年で、
2回しか、煙騒動は起きませんでした
凸( ̄□ ̄;)くぉらぁ~!