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塚田盛彦のつれづれなるままにサッカー

世界中で親しまれているサッカー。このサッカーをフィルターとして、人間社会の構造に迫っていきたいと思います。

痛みを負わせた相手と対峙することの重み

2025-01-30 06:26:23 | 日記

 文春文庫「灰色のピーターパン」

 

 これは池袋ウエストゲートパークの6作目であり、4つの短編で成立しています。

 

 その2作目「野獣とリユニオン」は、イタリアンレストランで働いていた男性が、突如暴漢と遭遇、わずか3000円を奪われただけでなく、歩行困難に至る大けがに見舞われる、という形です。

 

 兄のために、暴漢に同じことをしてほしいと伝える妹

 しかし、暴漢には暴漢としての理由があった

 

 結果はある種の爽快感を得られますが、実際この心情になることは難しいでしょうね。

 

 小野伸二はその際、何を感じたのでしょうか。

 

 彼の経歴を語るうえで避けて通れない怪我が、2000年シドニー五輪予選、フィリピン五輪代表戦で負うこととなる大けがです。

 

 小野伸二といいますと、その視野の広さと的確な技術だけでなく

 

 浦和レッドダイヤモンズに入団するも、当時のJクラブ全てが注目していたとされる

 1998年のワールドカップに出場し、既にその力量を証明

 苦境でも笑顔で戦況を打開

 

 という、クラブでも代表でも中軸としての責務を果たしていました。

 

 しかし、小野自身子の怪我を堺に、全くプレイの意図が明確でなくなったと語るように、リハビリの日々、復帰しても戻らない感覚に、彼は途方に暮れたと思います。

 

 フィリピン五輪代表の選手が、当時、そして小野伸二の復帰の際、何を感じたかは定かではありません。

 

 ただ小野は案外、リハビリの段階からこの選手の事を許し、自分の道を歩む決心をしたのではないでしょうか。

 

 そう、小説の主人公は

 

 暴漢を許し、彼と握手する

 妹と共に、イタリア料理をキッチンカーで提供

 両親が他界している現在、二人で協力して生きていく

 

 事を考えたのでした。

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