実家に来ると、何か詩情を感じるときがある。
家の古さかな、長年過ごした思い出からかな、もう実家を出てから倍ぐらいの月日が経ってるし… でも、この感覚は風に感じるんだと思う。ちょっとキザだけどね!
今のマンションとはちがって戸建ての家は風の音を近くに感じる。今も虫の音が聞こえている。日差しの明るさや暗さもよくわかる。夏は夏色。冬は冬色。
無味無臭という言葉があるけれど、実家にいると、空気はにおい、色、温度、音…いろんな要素がまざり合っている。
その風は家の中だけではなくて、外の景色から風物詩を運んでくる。今は実る稲穂のつややかな空気、蝉のエネルギー、少年の汗…
いっちゃんを涼しい座敷に寝かしたら、外からの風がカーテンをゆらした。じいちゃんがそっと風に乗ってやってきて、ひ孫の頭をなでているような気がした。
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