「 秋草を手折りかえらん童へと 」子どものころ、草は一番身近な友だちだった。首飾り、川舟、お料理…。風に揺れる友だち。風を感じる友だち。虫の音を聞いた友だち。時を忘れた友だち。痛さを教えてくれた友だち。やわらかさを教えてくれた友だち。ひんやりとした感触をくれた友だち。たそがれを味わった友だち。さびしさを分かち合ったら友だち。いつもいっしょにいてくれた友だち。さあ、何をして遊ぼうか。童へとかえる夕暮 . . . 本文を読む
(外伝というのは、この本編の物語に出てきた人物を別の角度から描いたものです。)
読後メモ
「外伝を読んで、イアル、エサル、エリンの人生を本人たちが語るという形で書かれていて、この人たちにしあわせがあったこと、人生に花も実もあったことを知って、うれしかった。私もしあわせだった。
284頁のエサルの言葉。「・・・ときには、生まれてきてよかったと思える日もあるだろう。」(苦しみから解放される王獣を見 . . . 本文を読む
上橋菜穂子さんの「獣の奏者」全4巻を読み終えました。
この作品は、架空の猛獣である「闘蛇(とうだ)」という、おそらく龍のような大きな蛇と、「王獣(おうじゅう)」という翼のある大きな獣が兵器のような存在として飼われている世界の話です。
人が乗れるほど大きな鳥のような王獣と大蛇が軍事の要となっています。
しかし、これらの獣は元々野生に生きるものでした。
人間が勝手に利用しようとしたので . . . 本文を読む
「 朝顔や曙色に夢ひらく 」朝顔は大好きな花。夏の風情を水彩画にしたような花。色の濃い部分から白い部分へとにじんで色が変わっていく。朝の空の色の変化を映したような花。そんな朝、ひとつの夢が咲く。 . . . 本文を読む
「 一つだけ?七夕短冊声がわり 」毎年、七夕には家族で短冊を書き、笹に吊るす。中三生はもう書かないかな、と思いきや、一つだけなの?と聞いてきた声は低くなったものの、書く気は満々だったようで…。句としては、七夕も短冊も2つは要らないのかな。でも、他には思いつかず…。こんな瞬間があると、まだまだかわいいもんだな〜と思います。 . . . 本文を読む
「 秋の野や郷愁色の九谷焼 」生まれ故郷に九谷焼という伝統工芸があります。殊に、古九谷は深い渋い色のようです。中学校か高校で、石川県立美術館見学の機会がありました。いろいろな伝統工芸品が展示されていました。古九谷の深い色使いに、わかりやすい美しさを発見したわけではありませんでしたが、普段は見ないような色に見入っていた記憶があります。その深い色が、心の中にある秋の色と重なっています。見学に行ったのも . . . 本文を読む
「 今だれか通りしごとく秋の初風 」ふと風に人の気配のようなものを感じることがある。特に、春風や秋風など、季節の変わり目を感じるようなとき。本当に妖精のようなものが季節を変えにきているのかもしれない。声も聞こえたような…。 . . . 本文を読む
「 家まるごと乗っ取るもくろみ蔦茂る 」時々、主人が人間か、蔦か、わからないお家がある。このお家の方は、きっと初めは気軽な気持ちで蔦を生やしたんじゃないか。こんなにすごいことになるとは思ってなかったんじゃないか。そんなお家を見かける。思わず蔦に軍配を上げたくなる。 . . . 本文を読む
「 扇風機に『わ〜』と合唱子どもの本能 」子どもなら誰でも、扇風機の前に立つと、あ〜っとか、わ〜っとか、大きな声を出す。何人か集まれば、何人かで合唱になる。子どもたちが集まるお盆の楽しい風景も思い出す。 . . . 本文を読む