「過労死のない社会を目指して」と題するトークイベントが2014年 9月22日夜、東京・池袋のジュンク堂書店で開かれた。
「過労死等防止対策推進法」 (略称・過労死防止法) が 6月、議員立法として国会で成立したが、大きな推進力になった「過労死110 番」の川人博・弁護士と、中原のり子・東京過労死を考える家族の会代表が、その意義や苦労、これからを語り合った。
■製糸場「世界遺産」の陰で何があったか
1998年に岩波新書から『過労自殺』を出版した川人さんは、今回の法成立で大幅に書き直した『過労自殺第二版』を出版、ジュンク堂が企画した。
川人さんはまず、群馬県の富岡製糸場の世界遺産登録を取り上げた。テレビや新聞などの報道は過熱したが、川人さんは「日本の製糸の歴史は女性労働者の過労死の歴史であることを、メディアは報じない」と鋭く指摘した。川人さんによると、富岡製糸場を含む製糸工場は「女工哀史」の現場。諏訪湖周辺には270もの製糸工場があり、1927年の半年間に湖に身を投げたり、鉄道へ飛び込んだりして自殺した女工は47人もいた。女工たちは休憩時間もなく、毎日15時間も働かされていた。
1947年に労働基準法が制定され、1日8時間労働が原則になった。ところが、労使の協定で長時間労働が可能になるなどの抜け口があり、1990年後半から過労自殺が激増し、
過労死防止法、これからが課題 「110番」「家族の会」関係者が語り合う