研修は1カ月続いた。朝8時から夜11時半まで拘束されたのに、この間は無給。業務がスタートした後は、サービス残業を強いられた。「お金のために働くのは奴隷。自分は違う」と思うと、残業代は請求できなかった。「上司の言うことは絶対」と半ば洗脳されて、セクハラも我慢した。研修では「会社のルールを知らない親や友達の言うことを聞くな」とも刷り込まれたので、誰にも相談できない。3カ月後には再びうつ状態に陥り、いまも休職している。
女性から相談を受けたNPO法人POSSE理事の坂倉昇平さん(30)は言う。
「これは明らかなブラック企業ですが、彼女は働いている間はブラック企業だとは感じていなかった。ポイントは、入社前に持っていた価値観をはぎ取り、『働くのはお金のためではなく、お客さまや自分の成長のため』などの理屈を押し付けること。『働きがい』を掲げてサービス残業や滅私奉公を正当化し、従業員を使いつぶす。この会社ではまさにカルト教団のような『洗脳』がおこなわれていました」
AERA
まるでカルト教団? 「働きがい」洗脳でうつになった女性