今日の大分合同新聞には、日田市役所本庁舎1階フロア階段撤去問題に関するパブリックコメントについて、大きな記事がありました。
先日との重複になりますが、パブリックコメントの部分のみを抜き出し、改めてお示しします(少し短くしています。ぜひ、ご一読ください)。また、その後に、パブリックコメントに関して、市長はじめ執行部の認識と私の考え方を示しました。記事を補足できればと思います。
《令和2年12月8日(火曜日)
日田市議会定例会 一般質問》
●中野
9月定例会の閉会直後、市は階段についてのパブリックコメントを決定した。パブコメの一つ、意見提出手続は、平成20年10月の制度創設以来、99件で実施されており、そのほとんどは、条例の制定・改廃、計画の策定・変更が対象だった。これまで、議会の議決を得られなかった1事業案件に対して、パブコメを実施した事例があったのか。
○総務部長
これまでの議会の中で、否決された案件を再度、議会に上程したケースはあるが、今回のように議会で否決された案件について、パブコメで市民の意見を求めたといった事案は、多分なかったと認識している。
●中野
今回のパブコメは、議会の閉会から12日後の開始といった慌ただしさだった。要綱の第3条第4号に定める「その他市長が必要と認めるもの」が根拠になっているようだが、市長が必要と認めた理由を伺う。
○市長
何度も申し上げるようだが、委員長報告の中でいただいた御指摘は、ちゃんとみんなに連絡がきちっととれたのかということに疑義があるというような話だった。その件について、市民や職員の意見をという言葉もしっかりいただいた。それに合わせて誠実に、我々はできることをやったということ。
●中野
議会の議決に異議を唱えるようなパブコメは初めてであったと総務部長の答弁だったが、異例のパブコメであったと思う。市の内部でどのような議論があったのか。
○市長
議会の意見に真っ向に反対するためのパブコメをやったんではなくて、議会からいただいた御意見に対して、私はそれに向き合った。そこのとこは、考え違いをしないでいただきたい。それから、御指摘いただいたお話の中の様々な指摘、小さな指摘もたくさんあったので、それを一つ一つきちっと確認するようにということで、現場のほうはしていただいた。
●中野
階段撤去の是非がパブコメの対象になるかどうかという点はあるが、何らかの方法で市民の意見を求めるのであれば、9月定例会の議決後ではなくて、この9月の提案前に本来行うべきであったということを改めて申し上げておく。
●中野
今回のパブコメ自体に関して、市長は、自ら市民に向けて、階段撤去に賛成を呼びかけたことがないか、何か働きかけをしたことがないか。
○市長
働きかけというのは、どういう状況のことを申し上げるのか。パブコメに私は前文書いているが、ああいったものか。当然今回、我々は提出してる側なので、その意思というものを伝えた上で判断いただきたいということが、当然の経緯だというふうに考えており、その手続をとったということ。
●中野
ホームページに市民の皆様へと題した市長のメッセージが確かにあり、階段撤去を進めたい、皆様の御理解と御協力をというふうに結ばれてあった。このメッセージが、偏ったものではないか、公平さを欠いていないかといった市民の御指摘があったが、この点について市長はどう考えるか。
○市長
当然、議案提案者として、どっちかに偏ってるという話ではないとも思うが、当然議案を提案してる側なので、我々の意思というものをそこにお伝えして、今回のお話の中でも、議会もしくは委員会のほうで審議いただいた中で、御理解いただけなかった部分が先ほどの御指摘だったろうということなので、それに向かって、だからきちっとした御意見あればいただきたいということを申し上げてる。
●中野
開会日に市長から話があった中で、「肯定的な御意見」「懸念や疑問の声」といった表現があった。パブコメに寄せられた204件の意見のうち、階段撤去に肯定的な意見と否定的な意見の件数や割合をお示しいただきたい。
○総務部長
パブリックコメントでいただいた204件の意見を分析をした結果で申し上げると、階段撤去に賛成であるという意見が143。反対であるというふうに受け取れる意見が61であった。
●中野
このパブコメとあわせて市の方には、階段撤去に反対する旨の360名分の署名や意見書が提出され、受理をされている。つまり市に寄せられた560件の市民の意思表示のうち、パブコメでの反対意見と、反対の署名・意見書を合わせると、その割合は75%に達する。報道によると、市長は、「賛否の数ではなく、寄せられたのはどんな意見なのかを重視した」ということが書かれていたが、市長にとって都合のいい意見だけが重視されてはならないと思う。そこで、市長は何を基準として、どのような意見を重視して、今定例会の再提案に至ったのか、この点の考えを伺う。
○市長
パブコメはどうなのかということ、御説明を申し上げた。数の問題ではないという話ではないんだという、委員長もそういう認識でよいか。署名という形で持ち込まれたものがあったということもこの意見の一つだというふうに私は聞いており、そういうふうに捉えている。
●中野
私も議員として数多くの意見をいただいて市政に届けてほしいという思いを託されて質問に立っている。市長はパブコメを見て、最終的に判断するといったとこもあったと思うが、この再提案という市長の判断は、31日間、パブコメで意見を求めて、75%の方の思いを反映しなかったという結果になる。この反対署名や活動というのをどういうふうに受け止めているか、伺う。
○市長
反対署名活動された方々、そこに賛同いただいた方々がそこに署名をされてるということで、数の問題で多数決でものを決めるというわけではないが、そういう方々の意見があったということは当然、承ってる。特にいただいた中で、その費用対効果を求めてるという話があったが、私的には、それは費用対効果というよりも投資的効用というものがこのお金の問題だろうというふうには考えていた。そこで、ビジネス用語としての費用対効果というのをよく使われるわけで、これはビジネスでやってるわけではなく、この感染予防というもの、これから出てくる負の遺産、もしくは、風評被害も含めて、大きな損失を考えた上で、日田市という役所の在り方、それから日田市の中で、そういったところを一つでも、一人でも二人でも減らしたいという思いでいるので、できればその費用対効果ということに関して、ここで御議論できればいいなというふうには思っている。
《市の認識と私の考え》
◎議会の議決を得られなかった(=9月議会での減額修正)案件、言い方を替えれば、執行部の言い分が通らなかった案件をパブリックコメントという手法を用いて、市民の皆さん、どうですかと問いかけるのはおかしい。もし、市民の意見を聞くのであれば、9月定例会で階段撤去工事費の予算が否決された後ではなく、9月定例会に予算を提案する前に求めるべきであった。
ちなみに、9月定例会の前にパブリックコメントを実施しなかったのは、「そこまでの必要性を認めなかった」という判断(佐藤議員の質問に対する副市長の答弁)。
◎このような形でのパブリックコメントは、住民投票と言われても仕方ない要素が多いと思うが、市にはその認識はなく、あくまでも意見をいただいたとのスタンスだった。一般質問(中野)や委員会審査(三苫議員)でも、パブリックコメントでの意見提出や署名・意見書という形で「市に対して意思表示をした市民」の約75%が、階段撤去に反対しているという事実を伝えた。これに対して、総務部長は、「選挙や住民投票の結果であればそうかもしれないが、逆に7割という数字が一人歩きするのはいかがかなという思いもしている」と答弁した。
◎パブリックコメントの開始と同時に、「階段撤去を進めたい、皆様の御理解と御協力を」という市長メッセージが示されたので、「偏ったものではないか、公平さを欠いていないか」と質問した。これに対して、「提出側の意思を伝えた上で、判断いただきたいということは、当然の経緯だと考えている」(中野の一般質問に対する答弁)、「右か左かを明記した上での市民意見の聞き方という手段であり、正直問題はないと感じている」(三苫議員の質疑に対する総務部長の答弁)との認識が示された。
◎9月定例会最終日(23日)の本会議中、市長は、委員長報告を聞くその場で、その指摘事項を「より丁寧に準備を進めるように」と解釈し、散会直後に12月定例会までの再提案を明言した。また、同日中には、「年度末の繁忙期までに工事を完了させるため」のスケジュールを話し合っており、階段撤去という結論ありきで、庁舎内の協議が進められたのではないか。