旅するくも

『旅が旅であることを終わらせる為の記録』

PEACE

2012-01-15 17:27:21 | 編集長の本棚
『PEACE』
みうらじゅん 著
角川文庫

『やはり今だけを現実と受け止めて何かをやっていくしかないわけで。
そこには「幸せだった」も「幸せになりたい」もなく、「今、幸せだ」
と、言い切れる自信が必要だよね。』あとがきより

300ページまるまるくだらない話で終わってしまう本だが、ひとつひとつ
というよりは、全体でひとつのメッセージとして読んだ方が良さそうだ。
みうらさんは本当にくだらないことばかり書くが、いまを幸せにしようと
一生懸命な人なのだろう。
そのくだらない話に300ページも付き合ったあげく、台湾のSOGOで
輸入本として買ったので667円の本を1000円近く出して買ったのは
実にマヌケだ。

TOKYO 0円ハウス 0円生活

2012-01-15 16:22:17 | 編集長の本棚
『TOKYO 0円ハウス 0円生活』
坂口恭平 著
大和書房

07年のSpectatorという雑誌で初めて坂口恭平さんの写真を見て
気にはなっていたものの、ずっとそのままになっていたことを、アジカンの後藤さんの
新聞で思い出し、台湾へ行く前に大阪駅周辺で購入。

よくある珍しいものを見つけて特集を組んで一発当てよう的なものではなく、建築、生活空間
という視野で坂口恭平という人物が大まじめにホームレスの生活に潜入していく。
そこで彼はホームレスは決してホームレスなどではなく、素晴らしいホームと暮らしを持っている
ことに気がつくのだ。

建築に興味がある人物の専門家の特別なデザインではなく、人間の本能的な生活デザインに
魅せられていく様子が細かく書かれた本。
ホームレスという普段接することの無い人たちの話が、ごく普通に違和感無く受け入れられる
のは、坂口さんが持つホームレスの方たちへの尊敬があるように僕は思う。

台湾のダン君にこの本を貸したらえらく面白がっていたので、もしかしたら北京語に翻訳された
ものが台湾で売られる日が来るかもしれない。

蝶文明

2012-01-15 15:05:59 | 編集長の本棚
『蝶文明』
正木 高志 著
さんこう社

最南端2号目で言った『われわれは地球人だ!』を正木さんが細かく説明してくれたような本で、
正木さんの性格を知っている側からすると、本当に正木さん本人が書いたのかと疑うくらい、
良いことが書いてある本。

われわれは産まれた時は日本人ではなく地球人である。
そこから日本人の大好きな常識や、これまた大好きな縛りあうマナーを教育して日本人に
なっていくわけだけど、日本人になると同時に地球の上の上手な歩き方まで失ってしまい、
奪われてしまったのが今ある問題の根本である。

ローリング・サンダーなどが言う「国というのは地球の上に敷かれた絨毯みたいなもの」という
視野で世界を見るなら、いまはその絨毯の下にいかにして触れるのか、いかにしてその下に
あったものを思い出すかの時代であると思う。
そして、その時代はアメリカ先住民が教えを外部に伝えるようになったときからいまも
ずっと続いている。

世界を東洋と西洋と分けてみる見方の中でアメリカ・インディアンを東洋として話を進めるのには
疑問を感じるが、後半の7世紀にできた日本という国の成り立ちについては充分に読む価値がある。
いや、読む必要があると言った方が正しい。

短い話

2012-01-15 14:05:51 | 物語
『日本にいんのか?』

『ああ、台湾に行って台湾のネイティブの人たちと会ってきた。』

『そいつはいいな!歩き続けろよ!』

『歩いて自分の中のネイティブ・マインドと話してんだ。』

『じゃあ、そいつに俺がアメリカから「hi!」って言ってるって伝えてくれよ』

『OK…でも、英語がわからんてさ!』

はみだしインディアンのホントにホントの物語

2012-01-15 13:51:28 | 編集長の本棚


『はみだしインディアンのホントにホントの物語』
シャーマン・アレクシー 著
エレン・フォーニー 絵
さくまゆみこ 訳

アメリカ先住民の本は必ずと言っていいほど本の表紙が
「良い事が書いてありまっせ!」
「難しいこと書いてありまっせ!」という表紙が多い。
ご覧の通り、この本はそれらの本とは全く違う。
もちろん、インディアンの教えについて書かれた本がこんな表紙では困るのだけれど。

アメリカ先住民として保留地に産まれることは、その後の人生を決めてしまう
ところが、この本からも読み取れるように少なくとも70年代のリザベーションには
あるようだ。
スポケーン族の保留地に産まれた男の最高に悲しくて最高に泣ける78%事実の物語。
この残酷な世界で笑うことが持つ力の強さを改めて感じさせられた。

J・ケルアックの「路上」のような、ずば抜けた文章力で物語に引き込まれる。
2011年に読んだ本の中で僕がもっともおすすめしたい本。

ただ、この本はアメリカのリザベーションを舞台にした物語ではあるが、あらかじめ
自由を奪われた日本というリザベーションで暮らす我々にも学べることはたくさんある。


Google画像より Sherman Alexie



例えばさ、アンパンマンなんていうアニメをみんなも見たことあるだろ?
あれを見るとさ、俺はメチャクチャ悲しくなるわけよ。
だって、バイキンマンはさ、産まれた時からバイキンで更生の余地すらないわけだよな?
残酷すぎると思わねえか?
バイキンに産まれちまったバイキンマンはさ、毎日死にたくてしょうがねぇだろうよ。
なんでバイキンに産まれちまったんだって。
残酷すぎるよな。

アラスカ 永遠なる生命

2012-01-15 01:54:41 | 編集長の本棚
『アラスカ 永遠なる生命』
星野道夫 著
小学館文庫

5年前、アラスカで「ノーザンライツ」を読んでいらい、久しぶりの星野さんの本だった。
星野さんの本を調べてみると読んだ事が無い本がまだ何冊かある事に気がついたので久しぶりに
購入。
文章を読んでいるうちに、またアラスカに行きたくなった。
温かい土地の方が人が暮らしやすいのだろうが、僕はアラスカのように寒い世界にひかれる人の
ひとりだ。

ちなみに僕は裏で宮崎駿監督を「宮さん」。
星野道夫さんのことを「みっちゃん」と勝手に呼んでいる。

ミュータント・メッセージ

2012-01-15 01:33:06 | 編集長の本棚
『ミュータント・メッセージ』
マルロ・モーガン 著
小沢 瑞穂 訳
角川文庫

九州を歩いていた時に友人が勧めてくれた本で、その1ヶ月後にカマクラ号建造に
関わる方からも同じ本を勧められたので読んでみた。

アメリカの白人女性がオーストラリア先住民アボリジニの真実の人族と何も持たずに
オーストラリアのアウトバックを裸足で旅する物語。

『なにも持たずに生まれ、なにも持たず死ぬ。私は最高に豊かな人生を、
なにも持たずに目撃した。』
マルモ・モーガン

著者が言うように我々が所有していると思っているものは全て与えられたものである。
自分に与えられたものという世界で、どうして人と分ちあう事などできようか。
地球の上で生きるということの理解を深めるのに役立つ本。