旅するくも

『旅が旅であることを終わらせる為の記録』

蝶文明

2012-01-15 15:05:59 | 編集長の本棚
『蝶文明』
正木 高志 著
さんこう社

最南端2号目で言った『われわれは地球人だ!』を正木さんが細かく説明してくれたような本で、
正木さんの性格を知っている側からすると、本当に正木さん本人が書いたのかと疑うくらい、
良いことが書いてある本。

われわれは産まれた時は日本人ではなく地球人である。
そこから日本人の大好きな常識や、これまた大好きな縛りあうマナーを教育して日本人に
なっていくわけだけど、日本人になると同時に地球の上の上手な歩き方まで失ってしまい、
奪われてしまったのが今ある問題の根本である。

ローリング・サンダーなどが言う「国というのは地球の上に敷かれた絨毯みたいなもの」という
視野で世界を見るなら、いまはその絨毯の下にいかにして触れるのか、いかにしてその下に
あったものを思い出すかの時代であると思う。
そして、その時代はアメリカ先住民が教えを外部に伝えるようになったときからいまも
ずっと続いている。

世界を東洋と西洋と分けてみる見方の中でアメリカ・インディアンを東洋として話を進めるのには
疑問を感じるが、後半の7世紀にできた日本という国の成り立ちについては充分に読む価値がある。
いや、読む必要があると言った方が正しい。

短い話

2012-01-15 14:05:51 | 物語
『日本にいんのか?』

『ああ、台湾に行って台湾のネイティブの人たちと会ってきた。』

『そいつはいいな!歩き続けろよ!』

『歩いて自分の中のネイティブ・マインドと話してんだ。』

『じゃあ、そいつに俺がアメリカから「hi!」って言ってるって伝えてくれよ』

『OK…でも、英語がわからんてさ!』

はみだしインディアンのホントにホントの物語

2012-01-15 13:51:28 | 編集長の本棚


『はみだしインディアンのホントにホントの物語』
シャーマン・アレクシー 著
エレン・フォーニー 絵
さくまゆみこ 訳

アメリカ先住民の本は必ずと言っていいほど本の表紙が
「良い事が書いてありまっせ!」
「難しいこと書いてありまっせ!」という表紙が多い。
ご覧の通り、この本はそれらの本とは全く違う。
もちろん、インディアンの教えについて書かれた本がこんな表紙では困るのだけれど。

アメリカ先住民として保留地に産まれることは、その後の人生を決めてしまう
ところが、この本からも読み取れるように少なくとも70年代のリザベーションには
あるようだ。
スポケーン族の保留地に産まれた男の最高に悲しくて最高に泣ける78%事実の物語。
この残酷な世界で笑うことが持つ力の強さを改めて感じさせられた。

J・ケルアックの「路上」のような、ずば抜けた文章力で物語に引き込まれる。
2011年に読んだ本の中で僕がもっともおすすめしたい本。

ただ、この本はアメリカのリザベーションを舞台にした物語ではあるが、あらかじめ
自由を奪われた日本というリザベーションで暮らす我々にも学べることはたくさんある。


Google画像より Sherman Alexie



例えばさ、アンパンマンなんていうアニメをみんなも見たことあるだろ?
あれを見るとさ、俺はメチャクチャ悲しくなるわけよ。
だって、バイキンマンはさ、産まれた時からバイキンで更生の余地すらないわけだよな?
残酷すぎると思わねえか?
バイキンに産まれちまったバイキンマンはさ、毎日死にたくてしょうがねぇだろうよ。
なんでバイキンに産まれちまったんだって。
残酷すぎるよな。

アラスカ 永遠なる生命

2012-01-15 01:54:41 | 編集長の本棚
『アラスカ 永遠なる生命』
星野道夫 著
小学館文庫

5年前、アラスカで「ノーザンライツ」を読んでいらい、久しぶりの星野さんの本だった。
星野さんの本を調べてみると読んだ事が無い本がまだ何冊かある事に気がついたので久しぶりに
購入。
文章を読んでいるうちに、またアラスカに行きたくなった。
温かい土地の方が人が暮らしやすいのだろうが、僕はアラスカのように寒い世界にひかれる人の
ひとりだ。

ちなみに僕は裏で宮崎駿監督を「宮さん」。
星野道夫さんのことを「みっちゃん」と勝手に呼んでいる。

ミュータント・メッセージ

2012-01-15 01:33:06 | 編集長の本棚
『ミュータント・メッセージ』
マルロ・モーガン 著
小沢 瑞穂 訳
角川文庫

九州を歩いていた時に友人が勧めてくれた本で、その1ヶ月後にカマクラ号建造に
関わる方からも同じ本を勧められたので読んでみた。

アメリカの白人女性がオーストラリア先住民アボリジニの真実の人族と何も持たずに
オーストラリアのアウトバックを裸足で旅する物語。

『なにも持たずに生まれ、なにも持たず死ぬ。私は最高に豊かな人生を、
なにも持たずに目撃した。』
マルモ・モーガン

著者が言うように我々が所有していると思っているものは全て与えられたものである。
自分に与えられたものという世界で、どうして人と分ちあう事などできようか。
地球の上で生きるということの理解を深めるのに役立つ本。

Seediq Bale 霧社事件

2012-01-14 13:19:46 | 物語




ウォークに合流してから、しばらくして台南に着いた。
台湾で注目を集め、話題になっている「Seediq Bale」という映画の存在を知った。
「Seediq Bale」とは「本当の人の意味」。
映画館に着くと、映画は前半・後半合わせて5時間。
前半を観てから続けて後半を観るか決めようと相談するが、前半終了後すぐに後半も観る事で一致した。


1930年、台湾の原住民セデック族による最大規模の抗日暴動「霧社事件」を再現した映画。
出演者は日本でもおなじみのビビアンスー(先住民の血を引く)や木村祐一、安藤 政信で
セデック族の頭首モーナ・ルダオなど重要な人物は台湾の役者が演じるが、それ以外は
みな原住民の素人が演じている。
そして、原住民どうしの会話は全て原住民の言葉が使われ、映画を観ている台湾人も
字幕でしかわからないという映画である。

映画の中に日本軍がセデック族を野蛮人と呼ぶシーンがあるが、人類学者によって
「彼らは動物と同じである」という事がいわれ、それは自分たちがどのように扱ってもかまわない
という「GOサイン」でもある。
しかし、日本軍はその野蛮人に全くとらえる事ができず、違うセデック族をお金で雇うという歴史で
おなじみのやりかたで戦うわけである。

監督は台南市出身の鍵屋の息子。
映画の構想十数年。
映画の制作費は20億円。
この20億円の制作費を作る為に監督は前作品でふざけた映画をつくり「Seediq Bale」の制作費を
稼いだそうだ。
映画収入はいまのところ15億円ほどだそうだ。

ボリビアで先住民出身で初の大統領となったエボ・モラレス大統領は映画「アバター」を絶賛して
いたが、このSeediq Baleはアバターとは次元が違う。

日本軍を非難し、かわいそうな原住民という構図の映画ではなく可能な限りありのままを伝える
ということに力が注いで映画が5時間になったと映画を観たあとダン君の解説を聞いて感じた。
そのくらい1シーンごとに意味が込められている。
霧社事件は原住民がいかにSeediq Bale「本当の人」であり続けるかという戦いであり、それは
セデック族でいう「戦士」として生き続ける事を意味する。

日本での上映は難しいとは思うけど、もし観れる機会に恵まれたら、なにがなんでも観た方がいい。


セデック族の頭首モーナ・ルダオの銅像  霧社にて



韓国メンバー

2012-01-13 21:45:35 | Quiet Adventure
韓国メンバー


左:チャントル 34歳 ハングル語

今回出会った中で一番のアホである。
それも世界規模のどアホ!
日本で行われた洞爺湖サミットで捕まり、しばらく日本に入国できないそうだが、
今年から来れるようになるらしい。
北朝鮮に歓迎されて北朝鮮を歩くものに参加するが、実は兵隊と毎日ほとんど寝ず、
食事も歩きながら食べるもので1日100キロを数日歩いて本気で死ぬかと思ったそうだ。

いつも先頭を歩いて歩くペースとみんなの安全を確保してくれていた。

相手が誰であろうと理解できないハングルでひたすら話しかけ、一人で笑っている
いつもご機嫌な男である。

メンバーの中で寝る時間が一番早いのがチャントルで、
「いま8時ってことは韓国は9時って事だ!こりゃ寝る時間だ!」
と台湾にきて一ヶ月以上たっても言っているところはさすがアホである。

「アホが世界を変える!」というのが彼のモットーのようだ。

中:フニ 31歳 ハングル語・簡単な英語・簡単な日本語

韓国人はチャントルを中心に非常に突っ走るメンバーが多い。
その突っ走るメンバーとまわりとのバランスをとるのがフニだった。
親切すぎるくらい親切で、良い奴だ。
「デブ」と言うと非常に傷つく。

右:ロッキー 31歳 ハングル語・日本語・北京語・タイ語・英語

最初にロッキーがダン君と出会った事から台湾を一周しようということに
なったそうだ。
普通、韓国国籍のビザでは台湾に1ヶ月しかいられないけれど、ダン君が韓国メンバーの
受け入れ人となって最初から最後までの2ヶ月滞在することができるようになった。

ロッキーは人間翻訳機かと思うほどたくさんの言語を話し、ウォーク中は通訳をしてくれた。
夜の街や店の中を一人でうろつくのが好きなようで、いつもウロウロしている。
太巴朗という台湾の原住民のアミ族の曲がお気に入りでいつも歌っている。

ミーティングのあとにテントで寝ようとしている僕に興奮して、
「今日のミーティング面白かったね~!」と横になって、「うーん」としか答えない僕に
永遠と話し続けるところは彼もチャントルと同じく突っ走る韓国人である。

韓国はオルン 16歳(女)と ヒョヨン15歳(女)の合わせて5人だった。

韓国メンバーはとにかく仲が良くて、家族のようだった。
ウォーク中は大量のキムチをみんなで仕込むのも役割が勝手にできていて見事だった。
そして、なによりみんなでキムチ鍋をしたときは韓国の特に男3人の連携は実に見事で、
チャントルが鍋の番人になって、フニがチャントルの指示を実行し、ロッキーが全体の修正をする
といった実に見事な連携で、僕が鍋のふたを開けようとすれば「まだだ!」と、3人同時に言う。
韓国人と鍋をする時は手を出さない方がいい。

台湾メンバー

2012-01-13 20:39:11 | Quiet Adventure
台湾を11月11日から1月30日まで歩いた今回のウォーク。
台湾の西側の高雄という街から僕が合流してメンバーは台湾5人、韓国5人、日本5人でバランスが良かった。
主要メンバーと雰囲気をふまえて紹介をすることにする。

台湾メンバー



左:ミンジェ 21歳 北京語

スタートの日に突然、出発地に現れたらしく、基本的には歩かずにサポートカーの運転をしていた。
いつも携帯電話でFacebookをチェックしている。

「とんでもないのが混じってる」と僕が思っていたら彼は交渉の達人であった。
後半のスケジュールは、どこに泊まるのかも全く決めずに朝にスタートして、午後にみんなが地図を見て
「ここに学校があるぞ!」と言う。
このウォークでは「学校=宿泊地」または「寺=宿泊地」であった。
台湾は日本と比べると凄くゆるい国なので、学校に行ってうまく交渉すれば泊めてもらえる。
その交渉の達人がミンジェである。
相手に分け入る隙をあたえず、早口であっという間に交渉成立させる達人である。

ある日、台南でミンジェが運転する車がタクシーとぶつかったが車には傷ひとつ付けなかった
奇跡の男でもある。

大晦日の日には飲み過ぎで吐いていた。

中:ダン君 29歳 北京語・台湾語・大阪弁

台湾の原住民へイホー族の血をひいている。
関西の大学を卒業して日本で就職。
日本語ペラペラで本の翻訳や通訳をしていて、今回の台湾巡礼はダン君との出会いから始まったそうだ。
ウォーク中に出会う台湾人の話を全て通訳してくれた。

原発反対の団体に所属していたが、かなり窮屈だった事もあって、ウォークをきっかけに仕事を辞め参加。
同じ歳ということもあって、かなり仲良くなった。
話のわかる良い奴で、良い意味でアホである。

日本語を勉強している時に小室哲哉の曲を聴いて何が言いたいのか、さっぱりわからず
「日本語って難しい」と思ったそうだ。

日本のお笑いが好きである。

右:シャオション 15歳 北京語・簡単な英語

台湾の学校のシステムは進んでいて、学校に申請して認められれば学校に行かなくても授業に
参加したことになるので15歳で参加できている。
決められた日にレポートを提出する必要はあるそうだが、学校で黒板を眺めているよりも
外で歩いていた方がよほど勉強になるのは確かだ。

最終日、最後の休憩を終えて「いよいよ、次はゴールだ!」と歩き始めてすぐに、
突然シャオションの母親が生姜の利いたお茶を持って現れ、みんな拍子抜けしていた。
台湾ではバスケが人気があり彼もバスケが大好きでNikeばかり着ていた。

あと、ルンジェ(男)18歳、ケンティン(女)18歳。
合わせて5人の台湾メンバー。