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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

【ministock-10(lab)】遺書-グランドピアノがある小さい家-

2019-12-22 20:30:14 | ministock-10(lab)
ミニストック-10の図面がついに完成。

これから工務店さんが積算をして、ご契約、着工へと進んでいきます。

積算はおそらく1カ月くらいかかるでしょう。
図面を読み解くのにしばらく時間がかかると思うので。


皆さんも電話帳を全部読んでくださいって言われたら、休みなく読んでも相当時間かかりますよね。


それに近い感じ。
今回の建物は23坪ですが、その建物に要した図面は104枚




なんでそんなに描く必要があるんでしょう。

ある程度は工事中に職人さんに直接言えば伝わる内容もあります。

第一の理由は何よりも建物を良くするため。
その理由は以前お伝えしました。
【ministock-11(lab)】理由ある設計と図面が必要な理由-新潟の小さい家-


「どの位住める家なんですか?」



世の中にあふれている
「永く住める家」
「百年住める家」
「長寿命な家」


日本の住宅の平均寿命はわずか30年弱。
欧米の80年~100年といった寿命と比べるとはるかに短いことはギョーカイでは有名で、国としてもリフォームやリノベーションに力を入れているのは皆さんの耳にも届いているのではないでしょうか。

「勿体ない-mottainai-」を世界に広めた国なのに、なぜか住宅はすぐ壊しちゃう。

相当恥ずかしい業界なんです。
壊したくなる家しか作ってこなかったんです。

それが嫌なので、私が手がける住まいは少しでも「長く住める」、「永く住みたくなる」住まいにしたい。

だから、打ち合わせをひたすら繰り返して住まいに愛着を持っていただきたいのが入口で

図面を描く理由は、

その建物が私よりも長生きする予定だから。


私が生きてるうちは、私が直接点検をしたり、口頭でメンテナンスを指示できますが、私が死んじゃったら、それができなくなります。

私の代わりに誰が伝えるのか?

ネイティブディメンションズは一子相伝の拳法でもなんでもありません。


だから、何かに残さなければいけない。

それが図面。

私の知らない見ず知らずの同業者が図面を見れば、
これがどんな作り方をしているのか分かりますし、


これが、どんな順番で組み立てられているのかも分かります。


さらには、これがどんな目的で作られたのかも伝えることができます。



長く住める家とかなんちゃらは、長持ちする材料を使うとか、性能のいい家を作るとか、格好いい家を作るとか、条件は色々ですが、

「直しやすい、変えやすい」がそこになければ机上の空論になってしまうんです。

これから長く住むためには、沢山の点検やメンテナンスが必要になってきます。
その時、

壊さなければ分からないじゃなくて、

図面があるから分かる。

にしておく必要があります。







だから、図面は私の遺書です。






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