(H30年11月23日更新:平成三十年度より井上円了が哲学館開館届けを出した本来の創立記念日・9月16日に変更になったとのこと)
11月23日は勤労感謝の日で休日でありました。普段はあまり熱心に勤労に励んでいない筆者ではありますが一人前に休ませていただきました。
この11月23日という日は東洋大学の“創立記念日”でもあります。学校の創立記念日といえば世間のカレンダーとかかわりなくお休みになるのが通例のようですが、東洋大学はもともと休みなのであります。筆者の時代はこの頃に合わせて学園祭=白山祭が行われていました。
(最近は年間の授業時間数の関係なのか祭日でも通常授業の日があるようです)
創立時の樣子を忍ぶ意味で当時の新聞記事を見てみることにいたしましょう!
ん、十六日…何!九月…???…そうか、明治だから旧暦なんだ!!!
などと頓珍漢な早合点をしてはいけません!
東洋大学の前身である哲学館が開設されたのは明治20年9月16日。なのにどうして11月23日が創立記念日なのでありましょうか……?
もともとの起こりは明治36年の12月13日に「哲学館記念会」が開かれたことにあります。この12月13日と言う日は、前年の明治35年におこった“哲学館事件”で教員免許無試験検定の許可取消命令書が出された日でありました。そこで同窓会が毎年開いていた例会を、この年は事件一周年のこの日に合わせ「哲学館記念会」として講演会を開き、終了後には学生有志の余興も行われました。また、その日の夕方からは館主・井上円了主催の記念会も上野精養軒で開かれ、一年前の事件についた語り合ったのでした。(12月13日は明治29年に蓬莱町の校舎を焼失した日でもあり、哲学館にとっての“厄日”でもありました)
以後、哲学館では毎年12月13日を「哲学館記念日」として同窓会の大会を記念会として開催し、東洋大学に改称した後も「東洋大学記念会」として12月13日に講演会や余興などが行われ、創立二十周年の明治41年からは学生各クラスからの展事や模擬店なども出されるなど、次第に今日でいう学園祭のような形になっていきました。
この「東洋大学記念日」が明治44年からは11月23日に変更されました。変更された理由は
“12月じゃ寒いから!”
なのであります!
すでに無試験検定の許可が明治40年には再び下りていたためなのでしょうか、哲学館事件を以って記念日と定めた意義は次第に薄れていったようなのであります。
この「東洋大学記念日」が「創立記念日」へと変わっていく経緯について『百年史』では
と記しています。
先にも述べたように、現在では勤労感謝の日で祭日となっているため、筆者の在学中はあまり意識もしていなかった創立記念日ですが、もともとあまり関係ない日だったのであります…。
また、大学祭が行われるようになった経緯については、昭和八年の創立記念日が大講堂建設のため延期され翌昭和九年一月二十七、二十八日に行われた際、大講堂落成の記念も兼ねて全学上げて大々的に東洋大学祭として行われるようになったとしています。
『図録 東洋大学百年史』 “講堂新築を祝う大学祭”
『図録 東洋大学百年史』 “大学祭”
今では大学祭=白山祭は11月3日の文化の日前後で行われているようです。
戦時色濃い昭和16年の創立記念式と大学祭を伝える“護国会報”
創立130周年を記念して9月16日に変更
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11月23日は勤労感謝の日で休日でありました。普段はあまり熱心に勤労に励んでいない筆者ではありますが一人前に休ませていただきました。
この11月23日という日は東洋大学の“創立記念日”でもあります。学校の創立記念日といえば世間のカレンダーとかかわりなくお休みになるのが通例のようですが、東洋大学はもともと休みなのであります。筆者の時代はこの頃に合わせて学園祭=白山祭が行われていました。
(最近は年間の授業時間数の関係なのか祭日でも通常授業の日があるようです)
創立時の樣子を忍ぶ意味で当時の新聞記事を見てみることにいたしましょう!
井上圓了の哲學館=開館
湯島切通し上の麟祥院内に設置せし哲學館は、一昨十六日假開館式を執行したり。午後二時頃來賓及び生徒一同は式場に着席するや、館主井上圓了氏は該館設立の趣旨を詳かに演じ終て、此設立を賛成して多少の寄附金を贈與ありたる諸氏に對し、懇ろなる謝辞を述べたり。・・・中略・・・式畢りて堂の書院に於て招待の人々へ茶菓を供せり。當日の來賓は多く大學の學士と各宗の學僧等にてありき。
(『東京日日新聞』明治二十年九月十八日付)
ん、十六日…何!九月…???…そうか、明治だから旧暦なんだ!!!
などと頓珍漢な早合点をしてはいけません!
東洋大学の前身である哲学館が開設されたのは明治20年9月16日。なのにどうして11月23日が創立記念日なのでありましょうか……?
もともとの起こりは明治36年の12月13日に「哲学館記念会」が開かれたことにあります。この12月13日と言う日は、前年の明治35年におこった“哲学館事件”で教員免許無試験検定の許可取消命令書が出された日でありました。そこで同窓会が毎年開いていた例会を、この年は事件一周年のこの日に合わせ「哲学館記念会」として講演会を開き、終了後には学生有志の余興も行われました。また、その日の夕方からは館主・井上円了主催の記念会も上野精養軒で開かれ、一年前の事件についた語り合ったのでした。(12月13日は明治29年に蓬莱町の校舎を焼失した日でもあり、哲学館にとっての“厄日”でもありました)
以後、哲学館では毎年12月13日を「哲学館記念日」として同窓会の大会を記念会として開催し、東洋大学に改称した後も「東洋大学記念会」として12月13日に講演会や余興などが行われ、創立二十周年の明治41年からは学生各クラスからの展事や模擬店なども出されるなど、次第に今日でいう学園祭のような形になっていきました。
この「東洋大学記念日」が明治44年からは11月23日に変更されました。変更された理由は
“12月じゃ寒いから!”
なのであります!
『東洋哲学』第十九編第一号(明治四十五年一月一日)の「東洋大学記念式」に「同記念式は毎年十二月十三日東洋大学記念日に挙行し来たるも其頃は気候余りに寒く来賓の会せらるるに都合よろしからざる為這会より毎年十一月二十三日即ち新嘗祭当日に引上げ挙行することとなりたるなり」(附録一頁)と記されている。
(『東洋大学百年史 通史編Ⅰ』)
すでに無試験検定の許可が明治40年には再び下りていたためなのでしょうか、哲学館事件を以って記念日と定めた意義は次第に薄れていったようなのであります。
この「東洋大学記念日」が「創立記念日」へと変わっていく経緯について『百年史』では
大正五年には、創立二十九年に相当するというので、恒例の十一月二十三日の記念日は、あたかも創立記念と関係あるもののように、「東洋大学創立記念日祝賀式」または「東洋大学創立記念式」として『東洋哲学』(第二十三編第十一号・第二十四編第一号)で紹介されている。以上述べたような経緯から、しだいに当初のいわゆる厄日を記念するものと創立を記念して祝う式とが区別されなくなっていったと考えられる。あるいは意識的にこれらの式を一緒にまとめておこなうことにしたのかもしれないが、ともかく、以後十一月二十三日に開催される式(会)は「第何回創立記念式」あるいは「創立何周年記念式」と名称されることとなった。
現在も十一月二十三日は、東洋大学の創立記念日となっている。創立記念日とは言いながら、少なくとも創立記念日として納得できる日付、すなわち実際に哲学館が開館届を提出して開館式を挙行した九月十六日となっていないのは、以上のような事情によるものであろう。
(『東洋大学百年史 通史編Ⅰ』)
と記しています。
先にも述べたように、現在では勤労感謝の日で祭日となっているため、筆者の在学中はあまり意識もしていなかった創立記念日ですが、もともとあまり関係ない日だったのであります…。
また、大学祭が行われるようになった経緯については、昭和八年の創立記念日が大講堂建設のため延期され翌昭和九年一月二十七、二十八日に行われた際、大講堂落成の記念も兼ねて全学上げて大々的に東洋大学祭として行われるようになったとしています。
『図録 東洋大学百年史』 “講堂新築を祝う大学祭”
大学祭と銘打つについて、ある学生の投書が『東洋大学新聞』(第105号 昭和八年九月三十日)に掲載された。
文明国にあっては、どこでも、大学祭が行はれてゐるようだ、行われてゐないまでも、それに近い行事は行はれてゐるようである、然るに、我が国のみ、かかる行事がなく、弾圧だ弾圧だで、まるでダンスホールにも通へない状態である、……春秋二回の、ささやかな、法事めいた新入生歓迎会、及び記念等にあまんじてゐられるものではない。……そこで、我々同志で、我我の母校に於いて、諸校に率先して華々しく大学祭を挙行したいものである。その具体的な方法として春秋二回の歓迎会、及び記念祭を一緒にして「東洋大学祭」と称し十一月二十三日の創立記念日を期して、前後三日間、上下をあげて大いに歓楽の極をつくしたいと思ふ次第である。
この意見によったのかどうかはわからないが、大学と学友会の一致をみて、東洋大学祭が開催されることになった。
(『東洋大学百年史 通史編Ⅰ』)
『図録 東洋大学百年史』 “大学祭”
今では大学祭=白山祭は11月3日の文化の日前後で行われているようです。
戦時色濃い昭和16年の創立記念式と大学祭を伝える“護国会報”
創立130周年を記念して9月16日に変更
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