* ば ん ご は ん *

空は高く街は広いまま それが何故だかは判らないけれど

1月19日白菜と豚バラの柚子おろし蒸

2011-01-19 22:02:36 | 野菜
*大根と蕪の葉と春菊の味噌汁
*白菜と豚バラ柚子のおろし蒸
*鳥腿の香揚

ある休日の夕方、自宅すぐそばの大通り沿いにあるスーパーに買い物に行った帰りの事。
大通りを背後から走って来たビッグスクーターがゆっくりと通り過ぎ、唐突に
「サザエさーんはゆっかっいだっな~」
のワンフレーズだけを大音量でスピーカーから流して去っていった。
どうなんすかそれ、とは思ったものの、
一緒に買い物に出た来客とも特に顔を見合わせることもなく
軽く失笑して帰宅、しかしまんまとそれからそのアニメを観て、夕食を食べた。
その頃は不定休、時間もシフト制の仕事だった為、土日祝の夕方に自宅にいるとは限らず、
たまに同一人物かは不明だが稀に同じように何かの音楽をワンフレーズだけ奏でていく
車やスクーターがいたようで、自室にいても聞こえる事があったようだが、
この通りで流行っているのかな、とあまり気にする事はなかった。

それから少し後。その仕事を退職し、暫くゆっくりとしながら就活をしており、
家にいる割合は格段に増え、特に土日祝は活動も出来ず
節約のために外出もそこそこに抑えていたので通常の休日には自宅で夕食を摂る事が続いた。
その期間の最初の方の、ある日曜日の夕方。
突然、
「鬼畜の極、南無阿弥陀仏!!!」
外から大きな音楽が聞こえた。
在職中も土日祝のどれかに在宅だった事は何度となくあったが、
「ワンフレーズ流し魔」が出たのは随分久々だった。
知らないアップテンポな曲で、聞いた瞬間は正確に歌詞を理解していなかったので、
おおっとぉ、とびくっとして、数秒後にああ、そう言ってたのかな、と思った。
また出てきたんだなぁ、若けーなおい、と来客とまた苦笑したまま、忘れていた。

が、次の週、また同じ曜日の同じ頃。
「!寂しい…大丈夫…寂しいーー!!」

大音量で、そのワンフレーズ。ポルノグラフィティ。
大丈夫かな?的な、何かメッセージ?的な、以前とはひと味違う印象。
先週の歌詞とも相まって少し不安な感じがしたので、
その翌週はかなり気にしていた。
日曜、夕方でもこの季節はもう真っ暗になっている時間。
この日は来客もなく、一人だったので、夕食の支度も取り立てて手を掛けず、
例のアニメを付けて何となく観ていたが、
いつものワンフレーズはもう少し前の時間に来るので、
もう来ない可能性が高いかと気を抜いてビールを飲んでいた。
「~の三本です」、とアニメの予告が終わるか終わらないかの時。

「!!!!死んでなんかいません~死んでなん死んで死ん死んでな死んで死んで死んで」
キュルキュルキュルッ!!!

後半はその部分を早送りし切れ切れになった音声が繰り返し、雑音が響き渡って…、唐突に止まった。
これまでの大音量よりもっと大きな、爆音だった。
身体が固まった。数秒そのままフリーズし、TVの音だけ暫く聞こえていた。
そのまま手に持っていたジョッキをゆっくりテーブルにおいて、
ベランダから外を見ようかと思ったが、何かそれに嫌悪感があり、
とりあえず外に出て様子を、と立ち上がった途端。
ベランダに出るガラス戸に、
ドンッ!!!
と、部屋全体が震えるほど激しく、何かがぶつかった。
再度凍り付いて、ベランダと反対にある部屋のドアの方を向いたまま振り向く事が出来なかった。
その次の瞬間、

「このおーもーいを、ビンビン伝えて欲しいからー、ヘビーローテーションヘビーローテーションヘビーローテーション」

すぐ後のベランダからと思える程近い大きな音が繰り返し、また唐突に終わった。
鳴りやまないうちに、何かを考える前に、
無意識の反射神経で部屋を出て、階段を降り、外に出た。
ベランダの下の歩道や周りには何も変わったところはなく、
歩いている人もいたが、誰も何も気にしている様子はなかった。

半泣きになりながら、その足で市内にある実家まで歩き、その日は泊めて貰った。
翌日、母に付き添って貰い帰宅したが、ベランダにも何の痕跡もない。
ただ、ガラス戸のサッシが少し歪み、鍵が若干掛けづらくなっていた。
最後のヘビーローテーション、の意味は怖くて考えたくないので、
AKBて!と突っ込むに留める事にした。

それ以降、日曜の夕方は一人で自宅にいる事が出来ない。




と言う怪談はどうですかね?