お人形さんになっていた老母は、病気が治っても、首ひとつ起こそうともしない。
暑い、寒い、ラジオのチュウーニング、靴下を、履かせて、ぬがせてなど、すべて口先ひとつで指示する。
もう、自分でやろうとしようね。暑いときは布団をはねあげる、寒ければ布団を掛ける、ラジオのチューニングをやってみよう、
靴下は自分で脱げるよ。などと言ったら、眉をひそめて、嫌な顔をして、息子(私の夫)を呼んで、同じことを頼んだ。
何、何?
夫が断ったら、切れた。
えー!我が儘。
食事は、ゼリーを卒業し、お粥、ほうれん草のペースト、おからのペースト、カボチャのスープなど、美味しそうなメニューが出てきたが、ふたくち、三口だけしか受け付けなかった。
「"えんげ"というより、意欲の問題でしょう」と言われている。
明日は、退院後の身の振り方の相談をする。
どうなることか。