表現78)I was held up at the customs.(税関で足止めされちゃってさ)
僕が小さい頃、アメリカのギャング映画で、「ホールドアップ!」と言われた男が手を挙げているシーンをよく見かけたものです。そこで、自分もギャングごっこをする時、相手にモデルガンを構えて、「ホールドアップ!」と格好つけて言っていたのを、今懐かしく思い出します。意味は「手を挙げろ!」ってことはわかっていましたが、それが、hold upであることは、中学で英語を習い始めるまではわかりませんでした。
でも、このhold upという動詞(熟語)の「手を挙げろ」の意味は、実は結構マイナーで、限られた状況にしか使われません。そこで、今回は、多少のノスタルジアも感じながら、僕が幼少の頃によく使った、hold up の使い方についてお話したいと思います。
まずは、その語感から理解しましょう。hold(ホールド)(他動詞として) は、「~を握る(手に持つ)」「支える」「抱きしめる」「心に抱く」といった意味を持つことから、日本語の語感でいうと、「持つ」が意味の中心と考えてください。その「持つ」の意味が様々な文脈で使われ、それに類する意味に変化します。「持つ」→「抱く」→「そのままの状態にする」→「有効である」「耐える」→「持続する」…ね、共通するイメージ、わかるでしょ。
海外でどこかの会社に電話をすると、きまってオペレータに、Can you hold on, please?あるいは、Can you hold the line, please?(電話そのままで待っていただけますか?)と言われます。電話が繋がらない時には、録音の声が、I will put you on hold.「保留にします」「待ちの状態にします」とか言います。
そのhold がupと一緒になると、意味がどう違ってくるのか?upは「上」「上がっている」ですよね。ということは、upの状態がhold されるわけですから、何かが「上」にある状態を「そのままもたせる」ということになり、「持続する」「維持する」「持ちこたえる」といった意味になります。そこで、こんな表現もできます。
He is holding up all right in such a difficult time.
(彼はそんな難しい状況にもしっかり頑張ってるよ)
How are you holding up?
(頑張ってるかい?)
「で、今回の表現は?」はい、今そちらへ行くところです(…)。これまでのhold upは、どちらかというとプラスな意味で、「持続する」「そのままでいる」だったわけですが、ある自然な状態を止めてしまって、「そのままにする」「持続する」こともあり得るわけで、その場合、このhold up はマイナスの表現となります。そのような使い方の場合、hold up は、「妨げる」「止める」「進行を遅らす」「遅滞させる」「渋滞させる」といった意味を持ち、今回の表現の「足止めする」も、その中の一つというわけです。
[人+be+held up]という受動態の表現は、よく使われます。意味は、「誰々が(~によって)そのままの状態に置かれた/進行を妨げられた/前に行くのを阻まれた」→「足止めをくらった」「足止めされた」となります。文脈によって意味は多少変わるので、日本語は適当に当ててくださいね。
では、今回の表現が会話でどう使われるか、確認してみましょう。Here you go!
(at Narita Airport)
John: Where have you been, Naoki? I was so worried about you.
(どこにいたんだい、ナオキ?心配してたよ)
Naoki: Sorry, John. I was held up at the customs.
(悪かったね、ジョン。税関で足止めされちゃってさ)
John: What happened?
(どうしたの)
Naoki: When they checked my baggage, they found Arabic seasonings I bought in America, and…
(係官が荷物検査した時に、僕がアメリカで買ったアラブの調味料を見つけてさ、それで…)
John: And you were taken to the office A-1 for a check-up, weren't you?
(それで、A-1オフィスに連れて行かれたってわけね)
Naoki: Exactly. But, how do you know?
(その通り。でも、何でわかるの?)
John: They did the same thing to me when I returned from America.
(やつら、僕にも同じことしたからさ、アメリカから帰って来た時に)
Naoki: Did you have Arabic seasonings, too?
(やっぱり、アラブの調味料、持ってたわけ?)
John: Not really. In my case, it was a DVD.
(いや、そうじゃなくてさ。僕の場合は、DVDだったんだけどね)
Naoki: Shame on you, John.
(そりゃ、なさけないわ、ジョン)
たしか、そんなこともありましたね~、昔。いや、僕のことじゃないですよ。僕が引率していた学生です(ホントです!)。それはともかく、何かで遅れた時、何かに邪魔されて時間通りにいかなかった時に使う表現、それが、I was held up (byとかatが付きます)です。使う機会があったら、あ、本当はそんなことがなかったとしても、試しに使ってみましょう。でないと、いつまで経っても頭に入りませんからね。では、今回はこの辺で。See you, guys! Nao

僕が小さい頃、アメリカのギャング映画で、「ホールドアップ!」と言われた男が手を挙げているシーンをよく見かけたものです。そこで、自分もギャングごっこをする時、相手にモデルガンを構えて、「ホールドアップ!」と格好つけて言っていたのを、今懐かしく思い出します。意味は「手を挙げろ!」ってことはわかっていましたが、それが、hold upであることは、中学で英語を習い始めるまではわかりませんでした。
でも、このhold upという動詞(熟語)の「手を挙げろ」の意味は、実は結構マイナーで、限られた状況にしか使われません。そこで、今回は、多少のノスタルジアも感じながら、僕が幼少の頃によく使った、hold up の使い方についてお話したいと思います。
まずは、その語感から理解しましょう。hold(ホールド)(他動詞として) は、「~を握る(手に持つ)」「支える」「抱きしめる」「心に抱く」といった意味を持つことから、日本語の語感でいうと、「持つ」が意味の中心と考えてください。その「持つ」の意味が様々な文脈で使われ、それに類する意味に変化します。「持つ」→「抱く」→「そのままの状態にする」→「有効である」「耐える」→「持続する」…ね、共通するイメージ、わかるでしょ。
海外でどこかの会社に電話をすると、きまってオペレータに、Can you hold on, please?あるいは、Can you hold the line, please?(電話そのままで待っていただけますか?)と言われます。電話が繋がらない時には、録音の声が、I will put you on hold.「保留にします」「待ちの状態にします」とか言います。
そのhold がupと一緒になると、意味がどう違ってくるのか?upは「上」「上がっている」ですよね。ということは、upの状態がhold されるわけですから、何かが「上」にある状態を「そのままもたせる」ということになり、「持続する」「維持する」「持ちこたえる」といった意味になります。そこで、こんな表現もできます。
He is holding up all right in such a difficult time.
(彼はそんな難しい状況にもしっかり頑張ってるよ)
How are you holding up?
(頑張ってるかい?)
「で、今回の表現は?」はい、今そちらへ行くところです(…)。これまでのhold upは、どちらかというとプラスな意味で、「持続する」「そのままでいる」だったわけですが、ある自然な状態を止めてしまって、「そのままにする」「持続する」こともあり得るわけで、その場合、このhold up はマイナスの表現となります。そのような使い方の場合、hold up は、「妨げる」「止める」「進行を遅らす」「遅滞させる」「渋滞させる」といった意味を持ち、今回の表現の「足止めする」も、その中の一つというわけです。
[人+be+held up]という受動態の表現は、よく使われます。意味は、「誰々が(~によって)そのままの状態に置かれた/進行を妨げられた/前に行くのを阻まれた」→「足止めをくらった」「足止めされた」となります。文脈によって意味は多少変わるので、日本語は適当に当ててくださいね。
では、今回の表現が会話でどう使われるか、確認してみましょう。Here you go!
(at Narita Airport)
John: Where have you been, Naoki? I was so worried about you.
(どこにいたんだい、ナオキ?心配してたよ)
Naoki: Sorry, John. I was held up at the customs.
(悪かったね、ジョン。税関で足止めされちゃってさ)
John: What happened?
(どうしたの)
Naoki: When they checked my baggage, they found Arabic seasonings I bought in America, and…
(係官が荷物検査した時に、僕がアメリカで買ったアラブの調味料を見つけてさ、それで…)
John: And you were taken to the office A-1 for a check-up, weren't you?
(それで、A-1オフィスに連れて行かれたってわけね)
Naoki: Exactly. But, how do you know?
(その通り。でも、何でわかるの?)
John: They did the same thing to me when I returned from America.
(やつら、僕にも同じことしたからさ、アメリカから帰って来た時に)
Naoki: Did you have Arabic seasonings, too?
(やっぱり、アラブの調味料、持ってたわけ?)
John: Not really. In my case, it was a DVD.
(いや、そうじゃなくてさ。僕の場合は、DVDだったんだけどね)
Naoki: Shame on you, John.
(そりゃ、なさけないわ、ジョン)
たしか、そんなこともありましたね~、昔。いや、僕のことじゃないですよ。僕が引率していた学生です(ホントです!)。それはともかく、何かで遅れた時、何かに邪魔されて時間通りにいかなかった時に使う表現、それが、I was held up (byとかatが付きます)です。使う機会があったら、あ、本当はそんなことがなかったとしても、試しに使ってみましょう。でないと、いつまで経っても頭に入りませんからね。では、今回はこの辺で。See you, guys! Nao