「スローフード運動」は政治活動から始まりました。 1986年にイタリアのカルロ・ペトリーニによって提唱された国際的な社会運動です。
ファストフードの代表格マクドナルドが出店されて事に対して唱えられた考え方で、その土地の伝統的な食文化や食材を見直す運動でした。
今では、150カ国以上に1,500を超える支部を持ち、その会員数は数百万人にものぼる食に強い関心を持つ人々の活動です。
スローフード運動の大義は、
「地域の食文化や伝統の消滅を防ぎ、ファストフードやファストライフの席巻を阻止し、自分たちの食べている物について、またそれがどこから来て、私たちの食べ物の選択がどのように世界に影響を与えるかについての人々の興味の減退に対抗する」こと。
とのことですが、
要は、「おいしい、きれい、ただしい」食の在り方です。
〈おいしい〉
私たちの味覚を満足させ、地域文化の一部となっている、新鮮で風味豊かな旬の食べ物
〈きれい〉
環境や人間の健康を脅かすことのない食料生産および消費
〈ただしい〉
生産者にとって公正な条件と報酬、および消費者にとって手ごろな価格
生命産業としての農業に従事する生産者および生産物、そして生命の源である食物の消費者たる全ての人たちは、「おいしい、きれい、ただしい」という、ある意味当たり前の「スローフード理念」を認識する事が大切です。
私自身、「スローフード理念」を知る事で、食べ物を自然から授かることに感謝し、作物を育て、美味しく健康的な食材を提供してくれる人たちへの感謝の心を忘れず、食の大切さに想いを馳せられるようになりました。
今まで、美味しい食事を食べたり、味わい深い日本酒やワイン、ビールを楽しむことしか考えていませんでしたが、農家や造り手の方々がどれだけ苦労を重ねながら、美味しい食材やお酒を作られているか!
農業は、厳しい自然と向き合い、長年の経験とノウハウ頼りながら肥料や農薬を使い生産する「慣行栽培法」が主流ですが、これからの農業は、より組織的かつ科学的に「スローフード理念」に沿った無農薬有機栽培、そして肥料や農薬を一切使わない「自然栽培法」という、究極の健康食の生産に移行してゆくものと思っています。一般的に普及するのにはまだまだ時間がかかりそうですが....
最近、私は、生命産業である「農業」や「醸造業」そして「バイオケミストリー」の領域について、もっと勉強しなくてはとの思いが強くなっています。土壌学、発酵学、気象学、遺伝子学、....またまた面白そうな勉強領域です。
食は「健康」の最も重要な要素です。
少し勉強してみると、食を支えている生命産業たる農業、そして、日本の農業に関係する多くのステークスホルダーの実情や社会システムは、知れば知るほど既得権と制度の縛り、そして高齢化や自由化の波の狭間でジレンマを抱えているように感じます。
社会の「場」つくり視点で、私ができる事を色々と考えている休日です。