日曜日の朝は、頭の体操とストレッチをします。
今朝は、先日投稿した『チェンジ・エージェント』についてのつづきをメモしてみました。
あらためて
『チェンジ・エージェント』とは、
「組織内の風通し役兼組織意識のブレンダー」であり、「情報コンシェルジェ&コミュニティマネジャー」の役割りを担う、「縦組織に横串をさすバウンダリー・スパナー*とも言えるプロ職です。
【*多様な価値観を受け入れながら、組織や部門の「境界を超える人」を経営学では、「バウンダリー・スパナー(Boundary Spanner)」と呼ぶ。ハーバード・ビジネススクールの教授、マイケル・タッシュマンが1977年に発表した論文で広まった概念】
独自の専門領域を複数持っており、観察力とコミュニケーション力や調整力、そして何よりも社会力と人間力(信頼される力)があるプロフェッショナルです。
日本の組織社会には、こうしたプロは存在しません。
何故か?
その理由は、日本の組織社会が こうした専門ミッションを「価値創造=仕事」と捉えていない事に起因しているように思います。
縦割り組織の中で目標管理を徹底し、部門予算の達成や成果(手柄)に邁進するワーカーにとっては、自分の評価に結び付かない「手間」や「余計な労力」に時間を割いている暇は無い!と思い込んでいるもの。
全ての人々がそうでないにしても、この傾向はどの組織社会にも在るものです。
仕方ないですよね!
組織の評価軸に「横串をさす」ミッションなど課されていない人にとっては、意識すらないのが普通です。
でも、経営層は「組織横断的なコミュニケーションと連携強化」は重要!と言います。
一方、現場のノルマを課されている責任者や担当者は、普通は今日のチーム(自分の)数字つくりに追われ、「横串仕事」には意識を向けることができません。
でも、『優秀』と言われる社員は、この部分を自分仕事に取り込み、円滑に成果をあげてゆける方々でもあります。
私からは、今の日本の組織社会に「チェンジ・エージェント」を実装定着させる事が大切!との問題提起をしたいと思います。
今朝は手始めに、バウンダリー・スパナーの重要性について考えてみたいと思います。
組織内の「サイロ」を上手く繋ぎ合せて風通しの良い組織を構築するには、コミュニケーションデザインをしっかりと設計しなくてはなりません。
コミュニケーションデザインで重要な要素の一つは、情報アーキテクチャ(Information Architecture. IA)、つまり、「情報を分かりやすく構築する技法」を知っておくことです。
IAの第一人者である、ピーター・モービルは『アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅』中で、
『ネットワークにおける人と人とのインタラクションを分析する尺度は「活動性」「媒介性」「近接性」と定義し、これらの尺度は個人、組織、企業のいずれのレベルでも適用可能である。またこれらは、トポロジ最適化のためにコンピュータネットワークに適用したり、ファインダビリティ改善のために情報システムに適用することもできる。
なぜなら、「バウンダリー・スパナー」はたちまち、図書館やGoogle検索で探し出せるドキュメントになることがあるからだ。』と述べています。
バウンダリースパナーとは「境界連結者」と訳され、ネットワークにおいて異なるクラスター(サイロ?)間をネットワーク的に結びつけるハブの役割をするノードを指します。
この概念は組織におけるコミュニケーション・ファシリテーションにも共通するものです。
そして、モービルは次のように続けています。
『ノードは人でもコンテンツでもかまわないし、終端としても経路としても、データとしてもメタデータとしても機能しえる。記事や書籍やブログは単に目的地であるだけではない。時にそれらは、ユーザーを著者に引き寄せる逆引き参照としても機能するからである。何かを書くということは、ただその内容を伝達するためだけでなく、自分個人のファインダビリティを強化するためでもあるのだ。』
組織におけるコミュニティ(部門、グループやチーム)には、ある種の閉鎖性がありサイロ化する傾向があります。
つまり、人間は、仲間意識を共有している集団の中に、異分子たる他所者が入る事を無意識的に「拒絶」する意識が働く傾向があります。「村意識」とも言える感覚です。
組織の中でこのような「クラスター」化したコミュニティが並存している状態を「サイロ化(蛸壺化)」と呼びます。
組織内の「サイロ」は確固な境界をもったものとして扱われがちです。
しかし、ネットワークの観点から見れば境界は「バウンダリー・スパナー」の存在によって容易に乗り越え可能なものとなります。
「バウンダリー・スパナー」のチームが「チェンジ・エージェント」の機能を果たしてゆく事になります。
次回は、どのようにして組織内にこの機能を作り出すかの具体的な手法をお話しします。
-続く-