尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

山は名前のあるものだろうか

2006年12月19日 10時00分42秒 | 詩の習作
生駒山
二上山
金剛山
信貴山…
しかし山は名前の
あるものだろうか

山は峠に
超えられるもの
だろうか

峠を越えたとき
名前のないものの
圧力に負けて
僕は
振り返った
それから
大声で山の名を呼ぶ
フタカミヤマ!

答えないのが山だ
そんなことは
分かっている
シーンとするのが山だろう
叫びの中で
叫ばななかったのが俺だろう
山と一緒になって

俺は名前の
あるものだろうか

真夜中
ふいに
霧が切れ
僕の肩のような
峠が現れた
その峠を越えたとき
振り返ったのは
誰なのだろうか
声の出ない声で
僕の名前のない名前を
呼んでくれたのは
誰なのだろうか

生まれなかった
僕の
子供なのだろうか
そんなことは
分からない
しかし
彼は
これから先も
ずっと
名前のないもの
だろうか
この寂しい肩が
無くなれば
どこを
歩いていくのだろうか

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