昔の家の工場に古い柱時計があった
いや小さいから掛け時計だ
1週間に一回くらい僕が脚立を持ってきてねじを巻く
巻くねじ穴は2つあった
4の脇と8の脇
4のねじは左に巻いて8のねじは右に巻く
両方とも内側6に向かって巻いた巻いた巻いた・・巻いた
別に疲れたわけじゃない
もう巻きたくないと言ったわけじゃないけど
いつの間にかその時計は姿を消した
工場の中は埃だらけだ
その埃の中でいつもしっかりと時を刻んで
僕の仕事が終わるのを待っていてくれた
忘れたころにガラスを拭いてやるとまた新しい顔になる
いつも仕事しながら振り返ってはその文字盤を覗いた
いやな仕事の時はちっとも進んでくれないけど
楽しい仕事の時はめちゃんこ速い
モーターの音に負けないようにボ~~ンと鐘を鳴らす
最初のころは5つ鳴っても仕事は続き
6つ鳴ってもまだ終わらなかった
6つの次の1つが鳴ると仕事が終わる
やがて時は過ぎ、6つの鐘で仕事が終わるようになった
もっと過ぎると5つの後の1つで終わった
今は違う時計だけれど 音はしないけれど
5つ鳴るはずの時に仕事は終わる
とにもかくにもこの時にはホッとする
また今日も頑張れたと
その古い時計は親父が近所の喫茶店のママさんに上げたのだ
もう巻く必要が無くなった僕は
子育てを終えたような気持ちでその喫茶店の時計を見上げた
それからもう20年ほど経った
たくさん生きたよね
いや小さいから掛け時計だ
1週間に一回くらい僕が脚立を持ってきてねじを巻く
巻くねじ穴は2つあった
4の脇と8の脇
4のねじは左に巻いて8のねじは右に巻く
両方とも内側6に向かって巻いた巻いた巻いた・・巻いた
別に疲れたわけじゃない
もう巻きたくないと言ったわけじゃないけど
いつの間にかその時計は姿を消した
工場の中は埃だらけだ
その埃の中でいつもしっかりと時を刻んで
僕の仕事が終わるのを待っていてくれた
忘れたころにガラスを拭いてやるとまた新しい顔になる
いつも仕事しながら振り返ってはその文字盤を覗いた
いやな仕事の時はちっとも進んでくれないけど
楽しい仕事の時はめちゃんこ速い
モーターの音に負けないようにボ~~ンと鐘を鳴らす
最初のころは5つ鳴っても仕事は続き
6つ鳴ってもまだ終わらなかった
6つの次の1つが鳴ると仕事が終わる
やがて時は過ぎ、6つの鐘で仕事が終わるようになった
もっと過ぎると5つの後の1つで終わった
今は違う時計だけれど 音はしないけれど
5つ鳴るはずの時に仕事は終わる
とにもかくにもこの時にはホッとする
また今日も頑張れたと
その古い時計は親父が近所の喫茶店のママさんに上げたのだ
もう巻く必要が無くなった僕は
子育てを終えたような気持ちでその喫茶店の時計を見上げた
それからもう20年ほど経った
たくさん生きたよね