もう10年以上も前のことだろう
数軒ある近所の古本屋の一つで立ち読みをした
ちょうど目の前の高さの棚に置いてある一冊 分厚い一冊だった
奥田英朗の「最悪」
どうやら町工場のオヤジが主人公のようだ
しばらく・・僕にしては珍しくしばらくの間その出足を楽しんだ
確か300円台の後半だったように思う
でも、こんな分厚い本読んでる時間あるのか?と思ってポケットから小銭を出すのを躊躇した・・・
暫くの間それはそこにあった
ここの店主は立ち読みを良しとしない人格者
自分は言われたことがないが、よく学生にマンガの立ち読みを注意していた
そして数年前、そこは飲み屋さんの看板に架け替えられてしまった
先日、ブックオフに行ったら 「最悪」は108円コーナーに並んでいた
意を決して買ったわさ
108円の方ではなくて分厚さの方
今風呂で読み続けている
(ここまでが枕ね)(すんません)
その町工場のオヤジの話
一番のお得意さんに 2000万する機械を入れないかと打診された
入れてくれたら勿論仕事は出すし、あんたんとこの仕事も軌道に乗るだろう
従業員2人を抱えた社長は確かにそうだろうと思う
その進言者はそのお金を借りれるように都銀を紹介する
実はそのオヤジは信用金庫との付き合いしかない
信用金庫は庶民の味方と信じてた
僅かに300万ほどの預金もある
都銀には信金に500万の預金があると見栄を張る
「その500万をこちらの口座に移してもらうのが融資の条件」 ということで
大体の審査を終え、親に借りた200万を加えて500枚の万札を用意して銀行員がやってくるその日
その日の部分を今夜湯船に浸かりながら読んだ
町工場は町にある
しかしその周りには住宅地が隣接するようになった
新しい住民がこのオヤジの鉄工所の騒音を問題にするようになった
隣の自動車工場の音とともに
住民も最初から居丈高に乗り込んできたわけではなく
残業する時間を月単位で7時間ほどにしてくれませんか と
町工場は残業をやってなんぼの仕事
住民の条件はとんでもないレベルのものだった
役所の人間が絡んでくる
それでも 隣の社長と共にその要求を突っぱねた
その日、銀行員がやってくるはずのその日の朝
騒音反対の看板が目の前に立った
逆上したオヤジ ペンチをもって止めてある針金を切り始める
そこへやってきたのが住民代表のいけ好かない野郎(すまんが町工場の立場に立ってしまってる)
やめてくださいよ 邪魔をするな の押し問答でバランスを崩していけす野郎が自分に寄りかかって二人で倒れた
その折に持ってたペンチがこの人の口許に当たった
銀行員に見せたくはない看板
それがもうすぐやってくる
人を傷つけてしまった
看板が・・・
そういう焦りがとんでもなく落ち着きを欠いた態度になってしまい 自分を見失う
この野郎に謝る。お願いする。 もうすぐ銀行員が来るからまずはここは穏便に済ませてくれないか と土下座
住民は救急車を呼ぶという 大したケガではないのだが
そこへ奥さんが行員さんがお見えになったよ と呼びに来る
500枚の札束を出して話は進むが心ここに非ず
やがて警官が来る 救急車が来る・・・
風呂で最低一日10ページ進める 予定だが「最悪」は上手くいくと30くらい進む
前にも書いたことがあるが僕らの同業者たちも同じような運命を辿ってきた
街の真ん中で仕事をしていたのがだんだん出来なくなって
名古屋近郊の田んぼの真ん中で工場を建てて仕事を始めた
一応街からそんなに離れていないので近くにちらほら新築住宅が出来始める
それが高度成長期にどんどん増えていつの間にか自分の工場の周りは家だらけになる
そして廃材処理の煙が出る 音がうるさい 臭いがする
周りから責められながら だんだんとその人一代の仕事を終えてゆくようになる
息子が継ぐわけがない
似たようなお話は沖縄でもあります
普天間はもともと家も何もないただの荒れ地に出来た米軍基地
しかしだんだんその周りに家が出来る 店ができる 町ができる
そりゃほとんど産業のない沖縄の地にやってきた米軍の豊かさに便乗しようとするのは人情だ
それがどんどん大きくなって米軍本隊が危険だということでそこに居れなくなった
沖縄の場合はそれからが大問題です
行き場が日本国とプロ市民+一部地元民の間でぎくしゃくする
僕個人はこの問題でも町工場の側の心境だ
収まるべきところに早く収まって欲しいものだ
数軒ある近所の古本屋の一つで立ち読みをした
ちょうど目の前の高さの棚に置いてある一冊 分厚い一冊だった
奥田英朗の「最悪」
どうやら町工場のオヤジが主人公のようだ
しばらく・・僕にしては珍しくしばらくの間その出足を楽しんだ
確か300円台の後半だったように思う
でも、こんな分厚い本読んでる時間あるのか?と思ってポケットから小銭を出すのを躊躇した・・・
暫くの間それはそこにあった
ここの店主は立ち読みを良しとしない人格者
自分は言われたことがないが、よく学生にマンガの立ち読みを注意していた
そして数年前、そこは飲み屋さんの看板に架け替えられてしまった
先日、ブックオフに行ったら 「最悪」は108円コーナーに並んでいた
意を決して買ったわさ
108円の方ではなくて分厚さの方
今風呂で読み続けている
(ここまでが枕ね)(すんません)
その町工場のオヤジの話
一番のお得意さんに 2000万する機械を入れないかと打診された
入れてくれたら勿論仕事は出すし、あんたんとこの仕事も軌道に乗るだろう
従業員2人を抱えた社長は確かにそうだろうと思う
その進言者はそのお金を借りれるように都銀を紹介する
実はそのオヤジは信用金庫との付き合いしかない
信用金庫は庶民の味方と信じてた
僅かに300万ほどの預金もある
都銀には信金に500万の預金があると見栄を張る
「その500万をこちらの口座に移してもらうのが融資の条件」 ということで
大体の審査を終え、親に借りた200万を加えて500枚の万札を用意して銀行員がやってくるその日
その日の部分を今夜湯船に浸かりながら読んだ
町工場は町にある
しかしその周りには住宅地が隣接するようになった
新しい住民がこのオヤジの鉄工所の騒音を問題にするようになった
隣の自動車工場の音とともに
住民も最初から居丈高に乗り込んできたわけではなく
残業する時間を月単位で7時間ほどにしてくれませんか と
町工場は残業をやってなんぼの仕事
住民の条件はとんでもないレベルのものだった
役所の人間が絡んでくる
それでも 隣の社長と共にその要求を突っぱねた
その日、銀行員がやってくるはずのその日の朝
騒音反対の看板が目の前に立った
逆上したオヤジ ペンチをもって止めてある針金を切り始める
そこへやってきたのが住民代表のいけ好かない野郎(すまんが町工場の立場に立ってしまってる)
やめてくださいよ 邪魔をするな の押し問答でバランスを崩していけす野郎が自分に寄りかかって二人で倒れた
その折に持ってたペンチがこの人の口許に当たった
銀行員に見せたくはない看板
それがもうすぐやってくる
人を傷つけてしまった
看板が・・・
そういう焦りがとんでもなく落ち着きを欠いた態度になってしまい 自分を見失う
この野郎に謝る。お願いする。 もうすぐ銀行員が来るからまずはここは穏便に済ませてくれないか と土下座
住民は救急車を呼ぶという 大したケガではないのだが
そこへ奥さんが行員さんがお見えになったよ と呼びに来る
500枚の札束を出して話は進むが心ここに非ず
やがて警官が来る 救急車が来る・・・
風呂で最低一日10ページ進める 予定だが「最悪」は上手くいくと30くらい進む
前にも書いたことがあるが僕らの同業者たちも同じような運命を辿ってきた
街の真ん中で仕事をしていたのがだんだん出来なくなって
名古屋近郊の田んぼの真ん中で工場を建てて仕事を始めた
一応街からそんなに離れていないので近くにちらほら新築住宅が出来始める
それが高度成長期にどんどん増えていつの間にか自分の工場の周りは家だらけになる
そして廃材処理の煙が出る 音がうるさい 臭いがする
周りから責められながら だんだんとその人一代の仕事を終えてゆくようになる
息子が継ぐわけがない
似たようなお話は沖縄でもあります
普天間はもともと家も何もないただの荒れ地に出来た米軍基地
しかしだんだんその周りに家が出来る 店ができる 町ができる
そりゃほとんど産業のない沖縄の地にやってきた米軍の豊かさに便乗しようとするのは人情だ
それがどんどん大きくなって米軍本隊が危険だということでそこに居れなくなった
沖縄の場合はそれからが大問題です
行き場が日本国とプロ市民+一部地元民の間でぎくしゃくする
僕個人はこの問題でも町工場の側の心境だ
収まるべきところに早く収まって欲しいものだ